要件定義の失敗が後悔を生む理由とは? 〜発注前に絶対に押さえておきたい、最初の“落とし穴”〜

はじめに:要件定義、ちゃんとやってますか?

システム開発を発注するとき、多くの経営者がこう考えがちです。

「ざっくり要望を伝えれば、あとは開発会社がうまくやってくれるでしょ?」

ですが、実際にはそれが大きなトラブルの原因になることも。
システム開発の8割は「最初の要件定義」で決まると言っても過言ではありません。

今回は、システム外注の最初の関門「要件定義」について、経営者として何を考えるべきかをわかりやすく解説します。


要件定義とは?「何を作るか」を決める工程

要件定義とは、簡単に言えば「システムで何を実現したいか」を明確にする作業です。

  • どんな目的で?

  • どんな機能が必要で?

  • どんな人が使って?

  • どんな場面で役立つのか?

これらを開発会社と一緒に整理し、**具体的な「開発の設計図の前提」**を作っていきます。


よくある失敗パターンとその原因

パターン①:目的があいまい

「業務効率化したい」「アナログ管理をやめたい」といった目的はありがちですが、どの業務をどう効率化したいのかまで落とし込まれていないことが多いです。

結果、「結局このシステム、何に使うの?」というモヤっとした仕上がりになります。


パターン②:必要な機能が洗い出せていない

現場の課題を知らないまま、上層部だけで要望を出すと現場の実情と合わないシステムになりがちです。

「入力作業はむしろ面倒になった」
「帳票が現場に合ってない」

こんな声があとから出てきて、追加開発→コスト増のループに。


パターン③:「あれもこれも」病にかかる

はじめは「最低限の機能で」と言っていたのに、途中から「あれも追加、これも必要かも」と要望が膨らんでしまうパターン。

これは開発会社だけの責任ではありません。要件定義で“本当に必要なこと”を決めきれていないと、こうした迷いが出やすくなります。


経営者として意識すべき4つの視点


1. システム導入の「目的」を言語化する

  • 業務のどこに課題があるか?

  • それをどう改善したいのか?

  • 成果としてどう変化してほしいのか?

このように目的を明確にしておくと、不要な機能が削ぎ落とせて、費用も納期もスッキリします。


2. 「Must」と「Want」を分ける

  • Must(絶対必要):これがなければ意味がない

  • Want(あれば嬉しい):後で考えてもよい

この2つを分けておくことで、「予算に合わせて後回しにする」判断がしやすくなります。


3. 現場の声を拾う

実際に使うのは現場のスタッフです。
営業、経理、カスタマーサポートなど、それぞれの立場でどんな課題があるのかをヒアリングしておくと、より実用的な要件を整理できます。


4. 優先順位をつける

どんなに理想のシステムでも、一気に全部は難しいのが現実です。
まずは「最小構成で使える状態(MVP)」を作り、あとで必要に応じて拡張する方が、無駄がありません。


開発者と認識を合わせる“伝え方”のコツ

要件を伝えるときは、専門用語や機能名ではなく、**「業務の流れ」や「困っているシーン」**をそのまま話してOKです。

例えば:

「今はExcelで請求書を作っているけど、毎月ミスが出るし、手間が大きい」
「顧客情報が分散していて、履歴がすぐに追えない」

こうしたリアルな声は、開発側にとってもヒントになります。


要件定義で使えるチェックリスト(簡易版)

  • システム導入の目的を言語化できている

  • 必須機能と希望機能が分かれている

  • 現場の声をヒアリング済み

  • 業務フローが整理されている

  • 開発側に業務課題を伝えている


次回予告:「設計」と「開発」はどう違うの?

「要件定義を終えたら、すぐに作り始めてくれるんでしょ?」

……実は、そうではありません。
次回は「設計フェーズ」でよくあるトラブルと、発注者として注意すべきポイントをお伝えします。

UI/UX、機能の繋がり、操作性――
後戻りが難しい「設計」の重要性をぜひ知ってください。


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