- システム開発の流れを経営者向けに解説! 〜発注前に知っておきたい5つの基本工程〜
- 要件定義の失敗が後悔を生む理由とは? 〜発注前に絶対に押さえておきたい、最初の“落とし穴”〜
- 設計と開発の違い、分かりますか? 〜トラブルを防ぐ“確認のタイミング”とは〜
- リリース後の落とし穴!運用と保守の現実とは 〜「作って終わり」にしないシステム開発の話〜
- 「テスト工程」を軽視すると損する理由 〜リリース後の地雷を防ぐ“最後の関門”〜
Contents
はじめに:「もう完成したから納品でOKですよね?」
設計も開発も終わった。
見た目も動きも「それっぽい」し、なんとなく完成しているように見える。
──だから、もう納品してOKじゃない?
実はそれ、とても危険です。
システム開発における“最後の砦”が、この【テスト工程】です。
軽く見られがちですが、ここをおろそかにすると、
リリース後に「バグだらけ」「業務が止まった」なんてトラブルに直面することになります。
今回は、テスト工程の役割と、経営者が理解しておくべきポイントをお伝えします。
テスト工程とは?「ちゃんと動くか」をチェックする段階
テスト工程とは、開発が完了したシステムに対して、「ちゃんと仕様通りに動くか?」「想定外のバグがないか?」を確認する作業です。
開発会社では以下のような段階的なテストを実施します:
単体テスト(ユニットテスト)
機能を“部品単位”でテストします。
例:ログイン機能だけを単独でチェックして、「正しいID・パスワードなら通るか」「間違った情報ならエラーが出るか」などを検証します。
結合テスト
複数の機能がつながって動くかを確認します。
ログイン → 会員情報の呼び出し → 編集画面の表示…という一連の流れで、機能同士が干渉して不具合を起こさないかをチェックします。
システムテスト(総合テスト)
システム全体としての完成度を検証します。
表示速度、同時アクセス時の負荷、操作性、データ整合性など、実際の業務に近い状況を想定して動作検証を行います。
テストを甘く見た結果、こうなる…
① リリース後にバグが多発
「納品後に使ってみたら、エラーだらけで業務が止まった…」
こうした事例は実は少なくありません。
特に重要な業務に関わるシステムでは、1つのバグが売上損失や信頼失墜に直結します。
② 修正対応で想定外のコストが発生
リリース後に不具合が見つかると、開発会社に改修依頼をする必要があります。
でもそのたびに、
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原因調査
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修正作業
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再テスト
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リリース対応
といった工程が追加で必要になり、スケジュールも費用も膨らみがちです。
③ 「このシステム、信用できない」と現場が離れる
ユーザーが初めて使うときに不具合に遭遇すると、それだけで不信感を持たれます。
結果として「結局、前のExcelの方が良かったかも…」となり、せっかく作ったシステムが使われないリスクも。
経営者が知っておくべきテストに関する現実
「バグゼロ」はほぼ無理。だからテストが重要
どれだけ優秀な開発者が作っても、人間の手でコードを書いている以上、初期のバグ発生は避けられません。
だからこそ、丁寧なテストが欠かせないのです。
「テストは短縮してもいい」は間違い
開発スケジュールが押してくると、真っ先に削られがちなのがテスト期間。
でもこれはリリース後の爆弾を抱えて出荷するようなもの。
経営者としては、「テストは最後の保険」だと認識して、あえて時間と予算を確保する姿勢が大切です。
「テストしてもらえば安心」ではなく、“観察”が必要
テスト結果は、できれば発注者側も確認することをおすすめします。
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どういうテストをしたのか
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どんなバグが出たのか
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未対応のバグはないか?
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想定外の使い方に耐えられるか?
こうした点を共有してもらい、システムの完成度を一緒に評価する意識が必要です。
ユーザーテスト(受け入れテスト)をやるかどうか
開発会社のテストだけでなく、**発注者側のテスト(UAT=User Acceptance Test)**を実施することもあります。
本番と同じデータや環境で操作してみて、違和感がないか、業務フローに合っているかをチェックします。
「実際に操作してみたら、やっぱりこの導線は使いにくい」といった気づきは、ユーザーテストでしか見つかりません。
テストのポイントを経営者目線でまとめると…
✅ テストは“完成チェック”ではなく“信頼確保のための工程”
✅ 開発と同じくらい重要な時間
✅ テスト内容や結果は発注者も把握しておく
✅ 「使う人の目線」での確認が一番大事
次回予告:リリース後も“仕事”は続く
「リリースしたら終わりでしょ?」
実はそうじゃありません。
次回(最終回)は、運用・保守フェーズについて。
本番環境で起こりがちなトラブルや、よくある誤解、保守契約のポイントまで、実務に即した内容をお届けします。
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