「テスト工程」を軽視すると損する理由 〜リリース後の地雷を防ぐ“最後の関門”〜

はじめに:「もう完成したから納品でOKですよね?」

設計も開発も終わった。
見た目も動きも「それっぽい」し、なんとなく完成しているように見える。
──だから、もう納品してOKじゃない?

実はそれ、とても危険です。

システム開発における“最後の砦”が、この【テスト工程】です。
軽く見られがちですが、ここをおろそかにすると、
リリース後に「バグだらけ」「業務が止まった」なんてトラブルに直面することになります。

今回は、テスト工程の役割と、経営者が理解しておくべきポイントをお伝えします。


テスト工程とは?「ちゃんと動くか」をチェックする段階

テスト工程とは、開発が完了したシステムに対して、「ちゃんと仕様通りに動くか?」「想定外のバグがないか?」を確認する作業です。

開発会社では以下のような段階的なテストを実施します:


単体テスト(ユニットテスト)

機能を“部品単位”でテストします。
例:ログイン機能だけを単独でチェックして、「正しいID・パスワードなら通るか」「間違った情報ならエラーが出るか」などを検証します。


結合テスト

複数の機能がつながって動くかを確認します。
ログイン → 会員情報の呼び出し → 編集画面の表示…という一連の流れで、機能同士が干渉して不具合を起こさないかをチェックします。


システムテスト(総合テスト)

システム全体としての完成度を検証します。
表示速度、同時アクセス時の負荷、操作性、データ整合性など、実際の業務に近い状況を想定して動作検証を行います。


テストを甘く見た結果、こうなる…


① リリース後にバグが多発

「納品後に使ってみたら、エラーだらけで業務が止まった…」
こうした事例は実は少なくありません。

特に重要な業務に関わるシステムでは、1つのバグが売上損失や信頼失墜に直結します。


② 修正対応で想定外のコストが発生

リリース後に不具合が見つかると、開発会社に改修依頼をする必要があります。
でもそのたびに、

  • 原因調査

  • 修正作業

  • 再テスト

  • リリース対応

といった工程が追加で必要になり、スケジュールも費用も膨らみがちです。


③ 「このシステム、信用できない」と現場が離れる

ユーザーが初めて使うときに不具合に遭遇すると、それだけで不信感を持たれます。
結果として「結局、前のExcelの方が良かったかも…」となり、せっかく作ったシステムが使われないリスクも。


経営者が知っておくべきテストに関する現実


「バグゼロ」はほぼ無理。だからテストが重要

どれだけ優秀な開発者が作っても、人間の手でコードを書いている以上、初期のバグ発生は避けられません。

だからこそ、丁寧なテストが欠かせないのです。


「テストは短縮してもいい」は間違い

開発スケジュールが押してくると、真っ先に削られがちなのがテスト期間。
でもこれはリリース後の爆弾を抱えて出荷するようなもの。

経営者としては、「テストは最後の保険」だと認識して、あえて時間と予算を確保する姿勢が大切です。


「テストしてもらえば安心」ではなく、“観察”が必要

テスト結果は、できれば発注者側も確認することをおすすめします。

  • どういうテストをしたのか

  • どんなバグが出たのか

  • 未対応のバグはないか?

  • 想定外の使い方に耐えられるか?

こうした点を共有してもらい、システムの完成度を一緒に評価する意識が必要です。


ユーザーテスト(受け入れテスト)をやるかどうか

開発会社のテストだけでなく、**発注者側のテスト(UAT=User Acceptance Test)**を実施することもあります。

本番と同じデータや環境で操作してみて、違和感がないか、業務フローに合っているかをチェックします。

「実際に操作してみたら、やっぱりこの導線は使いにくい」といった気づきは、ユーザーテストでしか見つかりません。


テストのポイントを経営者目線でまとめると…

✅ テストは“完成チェック”ではなく“信頼確保のための工程”
✅ 開発と同じくらい重要な時間
✅ テスト内容や結果は発注者も把握しておく
✅ 「使う人の目線」での確認が一番大事


次回予告:リリース後も“仕事”は続く

「リリースしたら終わりでしょ?」
実はそうじゃありません。

次回(最終回)は、運用・保守フェーズについて。
本番環境で起こりがちなトラブルや、よくある誤解、保守契約のポイントまで、実務に即した内容をお届けします。

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