システム開発費を削減するテクニック｜外注・ツール・テンプレの上手な使い方

費用を抑えながらも、高品質なシステムを実現するためにはどうすればよいか？

このパートでは、フリーランスの活用・オフショア開発・テンプレートや開発ツールの活用方法など、具体的かつ実践的なコスト削減テクニックを解説します。

自社の状況に応じた最適な選択肢を見つけて、予算内で最大の成果を引き出しましょう。

システム開発のコスト削減に効果的な具体策

続いて、実際にシステム開発の費用を抑えるためにすぐ実践できる具体的な方法（具体策）を紹介します。ここでは外注の活用やツールの利用など、コスト削減に効果的な手法を4つ取り上げます。自社の状況に合わせて、使えそうなものはどんどん取り入れてみましょう。

フリーランス人材の活用で柔軟に外注する

開発コストを抑える方法の一つに、フリーランスのエンジニアに仕事を依頼する（外注する）ことがあります。フリーランスは企業に比べて比較的リーズナブルな料金で発注でき、特定の専門スキルを持つ人材をプロジェクト単位で柔軟に活用できるのが魅力です。ただし、フリーランス特有の注意点もあるため、メリットとデメリットを理解した上で適切な人材を選定することが重要です。

【メリット】 人件費のコスト削減と必要なスキルの活用。一般的に開発会社に依頼するより費用を抑えられるケースが多く、ピンポイントでその分野に精通したプロに依頼できるため高い専門性を得られます。また、フリーランスはスケジュールの融通が利きやすく、短期間の開発にも対応しやすい傾向があります。

【デメリット】 個人で活動している分、開発途中で連絡が取れなくなるリスクや、サポート体制が不十分な場合があることです。進行管理や品質管理も自己責任となるため、信頼できる人かどうかの見極めが重要です。事前に実績や評価をしっかり確認し、契約内容も明確に取り決めておきましょう。また、フリーランスは基本的に一人で対応するため、大規模プロジェクトや長期の保守には向かない場合もあります。

フリーランス人材を探す方法としては、フリーランス向けのマッチングサイトを活用するのが一般的です。例えば「ランサーズ」や「クラウドワークス」「Workship」といったプラットフォームでは、スキルや実績のプロフィールを確認しながら自社のニーズに合うエンジニアを選ぶことができます。また、知人の紹介や Twitter・LinkedIn などの SNS で探すのも有効です。候補者のポートフォリオや過去の開発事例をチェックし、事前に十分コミュニケーションを取ることで、ミスマッチを減らしスムーズに契約・プロジェクト進行ができるでしょう。適切にフリーランスを活用できれば、コストを抑えつつ高品質な開発を実現することも可能です。信頼できる人材を慎重に選び、必要に応じて外部の力を上手に借りましょう。

オフショア開発（海外アウトソーシング）の活用

開発費用を抑えるもう一つの手段に、オフショア開発の活用があります。オフショア開発とは、海外の開発チームにシステム開発を委託する手法で、人件費の安い国のリソースを活用してコスト削減を図る方法です。特に東南アジアや東欧など、技術力が高いにもかかわらず人件費が比較的低い地域のエンジニアに依頼することで、多くの企業が開発コストの圧縮に成功しています。

オフショア開発の最大のメリットは、海外人材を活用することによる人件費面でのコスト優位性です。例えば、日本国内でエンジニアを雇用・発注する場合と比べて、国にもよりますが 費用が半分以下 になることも珍しくありません。特に大規模なシステム開発や長期プロジェクトの場合、人件費差によるコスト削減効果は非常に大きくなります。また、日本国内では確保が難しいエンジニアリソースを海外の豊富な人材プールから確保できる点も魅力です。必要な技術スキルを持つ人材を海外から調達し、プロジェクトを進められます。

一方で、オフショア開発には注意すべき点もあります。最大の課題は文化・言語の壁によるコミュニケーションの難しさです。海外の開発チームとは英語もしくは現地の言語でやり取りする必要があるため、小さな意思疎通のズレが積み重なる可能性があります。また、働き方の文化やプロジェクト管理の進め方が日本と異なることも多く、それが原因で納期の遅れや品質のばらつきにつながる場合もあります。これを防ぐために、プロジェクト管理者としてブリッジSE（橋渡し役のエンジニア）を配置し、日本語と現地語の両方で対応できる人に間に入ってもらうのがおすすめです。さらに、仕様書や設計書を綿密に用意し、定期的にオンライン会議で進捗確認するなど、国内開発以上に丁寧なコミュニケーションと管理を心がけましょう。

適切に進めれば、オフショア開発はコストメリットを活かしつつ高品質なシステムを構築する強力な手段になります。事前にリスクを把握した上で信頼できる海外パートナーを選定し、役割分担を明確に決めておくことが成功のポイントです。海外チームとの円滑な連携体制を整え、低コストと高品質の両立を目指しましょう。

テンプレートや既存ソリューションの利用による開発コスト削減

一からシステムを作り上げるフルスクラッチ開発は、自社の要件にピッタリ合わせられる反面、多くの時間とコストがかかります。そこで有効なのが、既存のテンプレートやソリューション（パッケージソフトやフレームワークなど）を活用する方法です。あらかじめ完成度の高い土台を利用することで、開発費用を大幅に節約できる可能性があります。特に業務管理システムやECサイト、予約システムなどでは、既に実績豊富なテンプレートが多数提供されており、上手に使えば短期間での導入が可能です。

テンプレート活用による具体的なメリットを見てみましょう。

• 開発工数の削減：基本的な機能があらかじめ用意されているため、ゼロからコードを書く必要が減り、設計やプログラミングの手間を大幅に省けます。その結果、開発期間が短縮され人件費を抑えることができます。例えば会員管理や決済など共通機能が備わったECサイトテンプレートを使えば、一から作る場合に比べて圧倒的に少ない工数でサイト構築が可能です。
• テスト・バグ修正コストの削減：多くのユーザーに利用され実績があるテンプレートなら、基本的な動作は既に検証済みです。そのため新規開発よりも品質が安定しており、大きなバグが発生しにくい傾向があります。完全オリジナル開発の場合はテスト工程に時間と費用をかける必要がありますが、テンプレート利用ならその負担も軽減できます。結果として、追加の開発コストやリリース後のメンテナンス費用も抑えられるでしょう。
• 将来的な拡張性の確保：多くの既存ソリューションはプラグインやカスタマイズ機能を備えており、必要に応じて後から機能追加できます。まずはテンプレートを使って初期費用を抑えて導入し、運用しながら徐々にシステムを自社向けに最適化・拡張していくことが可能です。つまり、最初から大規模開発をせずとも、必要に応じて段階的にシステムを成長させられる柔軟性があります。

このように、既存テンプレートやソリューションを上手に活用すれば、開発コストを大幅に削減しつつスピーディーなシステム導入が可能になります。ただし、自社の必要な機能との適合性も見極めることが大切です。テンプレートが持つ機能と自社が求める機能とのバランスを考え、足りない部分だけを追加開発するようにすれば、費用対効果の高い開発が実現できます。必要な機能とコストのバランスを意識しながら、最適な選択を行いましょう。

開発効率を高めるツール・プラットフォームの活用

システム開発では、適切な開発ツールやプラットフォームを活用することでもコストを抑えながら開発スピードを向上させることができます。最近は無料で使えるサービスやオープンソースのソフトウェアも充実しており、上手に取り入れることで予算を節約しつつ高品質なシステムを構築できます。代表的なものをいくつか見てみましょう。

• 無料・オープンソースのソフト活用：例えば CMS（コンテンツ管理システム）には「WordPress」や「Drupal」、ECサイト構築には「Magento」や「WooCommerce」、アプリ開発には「React Native」や「Flutter」など、用途ごとに数多くのオープンソースソリューションが存在します。こうした既存のフレームワークやソフトを使えば、一からすべて開発するよりも 短期間でシステムを構築 でき、結果的にコスト削減につながります。必要に応じてプラグインを追加したりコードをカスタマイズしたりできるものも多く、無料とはいえ十分実用的なシステムを作り上げることが可能です。
• 開発効率を上げるチーム向けツール：開発プロジェクトをスムーズに進めるには、チームの連携や作業管理を効率化するツールも活用しましょう。ソースコード管理には「GitHub」や「GitLab」、タスク・進捗管理には「Trello」や「Jira」、チーム内のチャットコミュニケーションには「Slack」や「Microsoft Teams」などがよく使われます。これらを導入すると、メンバー間で常に最新のコードやタスク状況を共有でき、バグ修正やレビューの効率が飛躍的に向上します。結果として無駄な手戻りが減り、開発スピードアップとコスト削減に寄与します。
• クラウドプラットフォームの利用：開発や運用の基盤としてクラウドサービスを使うのもコスト面で有利です。例えば「AWS（Amazon Web Services）」や「Google Cloud Platform (GCP)」「Microsoft Azure」などを利用すれば、自前でサーバーを購入・設置する必要がなく、使った分だけ料金を支払う形で始められます。必要に応じてサーバーリソースを増減できるため無駄なインフラ費用が発生しにくく、スモールスタートで徐々に拡張していくことも容易です。またクラウド環境なら環境構築もテンプレート化・自動化しやすいため、開発環境準備や保守にかかる手間も削減できます。

このように、便利なツールやプラットフォームを活用することで、人手や時間のかかる作業を効率化しながらコストダウンを図れます。特に無料で使えるものや既存のサービスは積極的に調べて導入を検討しましょう。自社のプロジェクトに合った最適な開発環境を整えることで、スピードも品質も妥協しないコスト削減が実現できます。

 

効果的な手段を知ったあとは、それをどう組み合わせて成果につなげるかが重要です。

第3部では、コスト削減とリスク管理のバランス、成功事例、プロジェクト終了後の振り返りまでを解説します。

Series Navigation

<< システム開発の発注費用を抑える秘策｜外注活用で無駄を削減する具体例も解説成果を最大化するコスト戦略｜リスクを抑えて予算内で開発を成功させる方法 >>