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IoTとクラウドが支える次世代システム開発|現場の実例と導入ポイントまとめ
AIと並んで2025年に必ず押さえておきたいのが、IoTとクラウド活用です。
センサーや通信インフラの進化により、「現場の情報がリアルタイムで見える化される」ことが、業務改善の鍵になっています。
本記事では、IoT・クラウドそれぞれの進化と、スマートファクトリー・自動運転・予知保全といったリアルな活用事例をわかりやすくご紹介します。
Contents
IoT(モノのインターネット)の発展
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、あらゆるモノがネットワークにつながることで新たな価値を生み出す技術です。センサーを取り付けた機器からデータを収集し、そのデータを分析・活用することで、業務の効率化やサービスの高度化が可能になります。ここでは、IoT技術の進化と、その具体的な活用例について解説します。
IoT技術の進化と可能性
- 多様なセンサーでデータを収集:IoT技術の進歩により、温度・湿度・振動・位置情報など、さまざまな種類のセンサーからリアルタイムでデータを取得できるようになりました。例えば、農業分野では土壌センサーや気象センサーを設置し、土の状態や天候データを集めて分析することで、作物に最適な環境を維持し収穫量の向上につなげています。また、物流業界では荷物にGPSや加速度センサーを取り付け、輸送中の位置や衝撃を追跡・記録しています。これにより、配送ルートの最適化や、商品破損リスクの低減が可能となり、より信頼性の高い物流サービスが提供できます。
- AIとの連携でデータを高度活用:IoTによって集まる膨大なデータは、AIと組み合わせることでさらに価値を発揮します。例えば、スマートシティでは街中に配置したセンサーから交通量や電力消費量などのデータを収集し、AIがリアルタイムに分析することで、交通渋滞の緩和やエネルギーの最適配分を実現しています。また、製造業ではIoT+AIにより設備の予知保全(故障の事前検知)が進化しており、機械の振動や温度データから異常の兆候をAIが捉えることで、計画的なメンテナンスを可能にしています。これによって、無駄なダウンタイム(稼働停止時間)を減らし、安定した運用を続けることができます。
産業分野でのIoT活用
- スマートファクトリー(次世代工場):IoTを導入したスマートファクトリーでは、工場内のあらゆる機械や設備がネットワークでつながり、常にデータをやり取りしています。センサーから得た情報で生産ラインの状況をリアルタイム監視し、最適な生産ペースを維持できます。例えば、ある機械の温度や振動に異常が見られた場合、即座にアラートを発して担当者に通知し、故障を未然に防止します。また、過去の生産データをAIが分析して最適なスケジュールを自動調整すれば、無駄を省いて生産効率を最大化できます。これにより、省エネやコスト削減だけでなく、品質向上にもつながる革新的な工場運営が可能になります。
- 物流管理の高度化:IoTを活用した物流管理システムでは、倉庫内の在庫から配送トラックまで、物流プロセス全体をセンサーとネットワークで把握できます。倉庫では在庫棚にセンサーを設置して在庫数を自動検知し、リアルタイムに在庫情報を更新します。これによって在庫切れや過剰在庫を防ぎ、在庫管理の精度が向上します。さらに、配送車両にGPS追跡システムを搭載すれば、荷物が今どこにあるかを常に把握でき、最適な配送ルートをAIが提案してくれます。結果として、燃料費の削減や配送時間の短縮など、効率的なサプライチェーンの構築に寄与します。
- 自動運転への応用:IoTとAIの組み合わせは、自動運転技術の発展にも不可欠です。車両に取り付けられた各種センサーやカメラが周囲の状況(他の車や歩行者、標識など)をリアルタイムで検知し、その情報をAIが瞬時に解析してハンドルやブレーキを制御します。これにより、人間が運転するよりも安全でスムーズな走行が可能になります。さらに、IoTでつながった車両同士や交通インフラからのデータ共有によって、渋滞情報を車が自動で取得し最適ルートを選択するなど、交通全体の効率化も期待できます。自動運転技術が本格化すれば、物流業界の人手不足解消や公共交通の安全性向上にも大きく貢献すると見込まれています。
- 予知保全によるメンテナンス最適化:IoTセンサーとAIを活用した予知保全システムにより、設備の故障予兆を早期に捉えて計画的なメンテナンスが可能になっています。製造プラントでは、機械に取り付けたセンサーから振動や温度、電流値などのデータを常時収集し、AIがその変化を分析します。通常と異なるパターンが検出され「そろそろ部品の寿命が近い」と判断された場合、故障に至る前に部品交換のアラートが発せられます。これにより、突然の機械故障でラインが止まるリスクを減らし、メンテナンスコストの削減と安定稼働を両立できます。電力会社や通信インフラでも同様に、老朽化設備のデータを監視して最適な更新計画を立て、コスト削減とサービス安定供給に役立てています。
クラウドシステム活用の拡大
インターネット経由でコンピュータ資源を利用できるクラウドコンピューティングは、システム開発・運用のあり方を大きく変えました。サーバーやソフトウェアを自社で保有しなくても、必要なときに必要なだけ借りて使えるクラウドシステムの活用があらゆる業界で広がっています。ここでは、クラウド技術に関する最新トレンドを紹介します。
クラウドサービスの種類と特徴
クラウドサービスには、大きく分けて次の3種類があります。それぞれ特徴が異なり、目的に応じた使い分けがされています。
- パブリッククラウド:一般企業向けに提供される共有型のクラウド環境です。Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud、Microsoft Azureなどが代表例です。インターネット経由でサーバーやデータベースなどのリソースをオンデマンドで利用でき、初期費用を抑えてスケーラブルなシステムを構築できる点がメリットです。また、運用管理やセキュリティ対策はクラウド提供企業側で行われるため、利用企業はシステム運用の手間を大幅に軽減できます。ただし他社とインフラを共有するため、機密情報を扱う場合は追加のセキュリティ対策が必要です。
- プライベートクラウド:特定の企業や組織専用に構築されたクラウド環境です。自社内にサーバーを置いて構築するオンプレミス型と、データセンターのサービスを借りるホスティング型があります。他社とリソースを共有しないためセキュリティやカスタマイズ性が高く、金融機関や医療機関など高い安全性が求められる分野で多く採用されています。一方で、自社専用環境を整える分だけ構築・運用コストが高くなり、運用には専門的なITスキルが必要となる点に注意が必要です。
- ハイブリッドクラウド:パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせて利用する形態です。一般的な業務システムはパブリッククラウドで運用し、機密性の高いデータやコアなシステムはプライベートクラウド上で運用するといった具合に、メリットを組み合わせて使います。これによってコストとセキュリティのバランスを取ることが可能です。柔軟で効率的な反面、異なるクラウド環境を連携させるためネットワーク設計やデータ管理が複雑になるという課題もあります。
サーバーレスアーキテクチャの台頭
クラウド活用のトレンドとして、近年はサーバーレスアーキテクチャも注目されています。サーバーレスとは、開発者がサーバー(サーバOSやハードウェア)の管理を意識せずにアプリケーションを稼働できる仕組みです。クラウドプロバイダー側が必要なサーバー資源を自動で割り当ててくれるため、開発者はアプリのコードを書くことに専念できます。代表的なサービスにAWS LambdaやGoogle Cloud Functionsなどがあります。
- 開発・運用コストの削減:サーバーレスは、使った分だけ料金が発生する従量課金制が基本です。需要が少ないときはほとんどコストがかからず、アクセスが増えたときだけリソースが使われるので、その分だけ支払います。常時サーバーを立ち上げておく必要がないため、未使用時のコストをゼロにできるのが大きな利点です。また、サーバーのセットアップや保守に費やす時間も減るため、少人数のチームでも効率よくシステムを運用できます。アクセスの波が激しいWebサービスなどでは、サーバーレスを採用することでコスト最適化できるケースが増えています。
- スケーラビリティ(拡張性)の向上:サーバーレスアーキテクチャでは、アクセスの増減に応じてシステムが自動的にスケール(拡張・縮小)します。例えば、ECサイトでキャンペーン時にアクセスが急増しても、サーバーレスなら必要な分だけ瞬時にサーバーが追加され、処理性能を維持できます。逆にアクセスが落ち着けば自動でリソースが解放されます。この自動スケーリング機能により、常に安定したサービス提供が可能です。また、機能ごとに独立した小さなプログラムとして実行されるため、新機能の追加や変更も一部分だけデプロイすれば良く、システム全体への影響を抑えつつ素早く改良できます。開発スピードが求められる現代のサービス開発において、サーバーレスは非常にマッチしたアーキテクチャと言えます。
クラウドネイティブ開発の進化
クラウドの浸透に伴い、クラウドネイティブな開発手法も発展しています。クラウドネイティブとは、最初からクラウド環境を前提としてシステムを設計・開発する考え方で、その中心にあるのがマイクロサービスとコンテナ技術です。
- マイクロサービスアーキテクチャ:マイクロサービスとは、大規模なアプリケーションを機能ごとに分割し、独立した小さなサービス(マイクロサービス)の集合体として構築する手法です。それぞれのサービスはAPIを通じて連携します。この方式により、各サービスを別々に開発・デプロイできるため、一部の機能を変更してもシステム全体を止めずにすみます。例えば、ECサイトであれば「商品管理」「決済」「在庫管理」などを独立したサービスに分けることで、特定の機能だけ個別にスケールアップ(サーバー増強)したり、障害発生時にも他の部分には影響を及ぼさず迅速に対処したりできます。結果として、開発スピードの向上とシステムの柔軟性確保につながります。
- コンテナ技術による効率的な運用:クラウドネイティブ開発では、アプリケーション実行環境としてコンテナが広く使われます。コンテナとは、アプリケーションとその動作に必要な環境をひとまとめにパッケージ化したもので、どのサーバー上でも同じように動作するという利点があります。代表的なコンテナ技術にDockerがあり、コンテナの管理ツールとしてKubernetes(クバネティス)が利用されています。コンテナを使うことで、開発時の環境と本番運用の環境差異を小さくでき、**「開発マシンで動いたのに本番で動かない」**といった問題が減ります。また、Kubernetesを用いれば複数のコンテナを自動でスケーリングさせたり負荷分散したりできるため、システムの安定運用とリソース効率化が図れます。クラウド上で大規模システムを運用する際に、コンテナ技術は今や欠かせない存在となっています。
テクノロジーをどう活かすかは「導入方法」で大きく変わります。
第3部では、DevOpsやローコード、エッジコンピューティングなど、最新の開発手法と注意点、2025年以降の展望まで一気にご紹介します。
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