WebhookとAPIの違いを理解して使い分ける方法

WebhookとAPIの違いを一言でいうと(非エンジニア向け)

WebhookとAPIはどちらも「システム同士をつなぐ仕組み」ですが、考え方が逆です。APIは“取りに行く”、Webhookは“向こうから知らせてくる”と捉えると、かなり整理できます。

APIは、必要なタイミングでこちらから相手のシステムに問い合わせてデータを取得したり、登録したりします。たとえば「受注一覧を取得する」「顧客情報を更新する」といった操作です。一方Webhookは、相手側でイベント(例:注文が入った、支払いが完了した、フォームが送信された)が起きた瞬間に、あらかじめ指定したURLへ通知(データ)を送ってくれる仕組みです。

イメージでいうと、APIは「電話で状況確認する」、Webhookは「ベルが鳴って知らせてくれる」。どちらが優れているというより、用途(更新頻度・リアルタイム性・責任範囲)で最適解が変わります

また、Webhookは「APIの一種」と説明されることもありますが、実務上は“呼び出しの主体”が違うため、設計・運用の注意点も変わります。この記事では、ITに詳しくない方でも判断できるように、業務シーンに落とし込んで使い分けの基準と導入手順を整理します。

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APIの基本:できること・向いていること・注意点

APIは、外部システムの機能やデータにアクセスするための窓口です。代表的には「Web API(HTTPで呼ぶAPI)」で、SaaS(会計、CRM、EC、チャット等)にはほぼ用意されています。APIは“こちらが必要なときに必要な情報を取りに行ける”ため、業務フローの中心に据えやすいのが特徴です。

具体例として、情シスや業務担当がよくやりたいのは次のようなことです。

  • 基幹システムから受注データを取得して、請求書発行システムへ連携する
  • 人事システムの在籍情報を定期取得して、アカウント棚卸しを自動化する
  • CRMの顧客ステータスを更新して、メール配信の対象を切り替える

APIが向いているケースは、(1)データが多い/複雑、(2)過去分も含めて参照したい、(3)検索条件を付けて取りたい、(4)「登録・更新・削除」など双方向の操作が必要、のような場面です。たとえば「今月の売上だけ取得」「特定顧客の履歴をまとめて取得」といった、条件付きの取得はAPIが得意です。

一方、注意点もあります。APIは呼び出す回数に上限(レート制限)があったり、認証の設定(APIキー、OAuthなど)が必要だったりします。さらに「何分ごとに確認するか」という設計が必要で、頻繁に問い合わせるとコストや負荷が増えます。“定期的に取りに行く”運用は、最終的に障害調査や改修の負担になりやすいため、更新頻度が高い情報ではWebhookの検討価値が上がります。

Webhookの基本:リアルタイム通知の仕組みと落とし穴

Webhookは、イベント駆動(Event-driven)で動きます。あるサービス側で出来事が起きた瞬間に、通知先のURLへHTTPリクエストを送ります。たとえば「決済完了」「問い合わせフォーム送信」「新規リード登録」「チケットステータス変更」などが典型です。Webhookは“変化が起きたときだけ”届くので、無駄な問い合わせが減り、反応も速くなります。

業務でわかりやすい例は次の通りです。

  • ECで注文が入ったら、在庫管理・出荷指示・Slack通知を同時に走らせる
  • 問い合わせフォーム送信をトリガーに、CRMへ登録して担当者に自動アサインする
  • 請求の入金(決済成功)を受けて、サービスの利用権限を自動で有効化する

ただしWebhookは便利な反面、落とし穴もあります。まず「届かなかったらどうするか」。ネットワークの一時障害や受信側のエラーで、通知が失敗する可能性があります。多くのサービスは再送機能を持ちますが、回数や条件はまちまちです。そのため受信側では同じ通知が複数回届いても壊れない設計(冪等性)が重要になります。

また、セキュリティ面では「本当に相手サービスから来た通知か」を確認する必要があります。一般的には、署名(署名ヘッダー)や共有シークレット、IP制限などを組み合わせます。Webhookを「URLを公開して待つ」だけにすると、第三者が偽の通知を送れる状態になりかねません。

さらに、Webhookは“イベントの概要”だけ届き、詳細情報は別途APIで取りに行く設計が多いです。たとえば「注文IDだけ届く→注文内容の詳細はAPIで取得」といった流れです。つまり実務では、WebhookとAPIは対立ではなく、組み合わせて使うと最も強いことがよくあります。

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使い分けの判断基準:業務フロー別チェックリスト

非エンジニアの方が迷いやすいのは、「結局どっちを採用すればいいのか」です。ここでは実務で判断しやすい基準をチェックリスト化します。結論から言うと、リアルタイム性と呼び出し回数が焦点になります。

Webhookが向くケース

  • 即時性が重要:決済完了→権限付与、エラー検知→アラートなど、数分の遅れが困る
  • イベントが発生したときだけ反応したい:「変化がないのに取りに行く」無駄を減らしたい
  • 通知の種類が明確:「注文作成」「入金」「退会」など、トリガーが定義しやすい
  • 担当者の初動を速めたい:Slack/Teams通知、チケット自動起票など

APIが向くケース

  • 過去データや一覧を扱う:月次集計、検索、レポート、監査ログなど
  • 条件付き取得や更新が必要:特定条件の顧客だけ更新、在庫差分の取得など
  • データの整合性をこちらで担保したい:連携漏れが許されない場合に、定期照合(突合)をする
  • 相手サービスがWebhookを提供していない:APIのみ提供のSaaSも多い

現場では「Webhookで即時に動かしつつ、APIで定期的に突合する」というハイブリッドがよく採用されます。たとえば、注文が入ったらWebhookで即時に出荷指示を作り、夜間バッチでAPIから当日の注文一覧を取得して「漏れがないか」を照合する、といった運用です。“速さ”と“確実さ”の両立ができるため、予算がある情シス・管理部門ほどこの設計が向きます。

導入手順:失敗しない設計・運用のポイント(小さく始める)

Webhook/API連携の導入は、いきなり全社最適を狙うと失敗しがちです。まずは影響範囲が限定的で、効果が見えやすい業務(例:通知、簡易自動登録)から始めるのが安全です。最初に決めるべきは「何を自動化し、何を人が確認するか」です。

進め方の基本ステップ

  1. 業務イベントを定義:「何が起きたら、何をしたいか」(例:入金完了→権限付与)
  2. データ項目を整理:必要な項目(顧客ID、金額、日時、ステータス等)を洗い出す
  3. 連携方式を選定:Webhookで足りるか、詳細取得にAPIが必要かを判断
  4. エラー時の運用を決める:失敗時の再送、手動復旧、担当者通知
  5. 監視・ログ:「いつ、何が来て、どう処理したか」を追える状態にする

Webhook運用で特に重要な設計

  • 受信確認(200系応答):受信側が正常処理したときだけ成功応答を返す
  • 冪等性:同じ通知が2回届いても二重登録しない(イベントIDで重複排除)
  • 署名検証:署名ヘッダーやシークレットで正当性を検証する
  • キューイング:受け取ったら一旦保存し、処理は非同期にして取りこぼしを減らす

API運用で特に重要な設計

  • レート制限対策:呼び出し頻度、ページング、差分取得(更新日時で絞る)
  • 認証情報の管理:APIキーの保管、権限最小化、定期ローテーション
  • データ突合:定期的に「元データ」と「連携先」の差分を検知する

開発が難しそうに見えても、最近はiPaaS(連携ツール)やワークフロー製品で、Webhook受信・API呼び出しをノーコード/ローコードで組める場合があります。ただし、重要データ(請求・権限・個人情報)を扱う場合は、要件整理とセキュリティ設計が肝になります。“簡単に見える連携ほど、後から困るポイントが運用に出る”ため、最初からログと復旧導線を作っておくのがコツです。

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よくある業務シーン別:Webhook/APIの使い分け例

判断をより具体化するために、現場で多いシーンごとに「Webhook・APIどちらが中心か」「組み合わせ方」を紹介します。業務の目的(通知・自動化・統制)で最適な構成が変わることが見えてきます。

請求・決済(権限付与、入金消込)

決済完了やサブスク更新はリアルタイム性が高いのでWebhookが適しています。入金イベントを受けて、利用権限を有効化・領収書発行・社内通知を実行します。一方で、月末締めや監査対応ではAPIで一覧取得し、未入金や二重計上がないか突合します。

問い合わせ対応(フォーム→チケット→担当アサイン)

フォーム送信やチャット開始はWebhookで即時にチケット作成、担当者へ通知が鉄板です。追加で、顧客の過去履歴や契約状況をAPIで引き、チケットに付与すると初動品質が上がります。Webhook単体だと「最低限の情報しか届かない」ことがあるため、APIで補完する設計が実務的です。

在庫・出荷(EC/倉庫/基幹)

注文作成・キャンセルはWebhookで即時反映し、欠品や出荷遅延を減らします。ただし在庫は多システムでズレやすく、最終的にはAPIで定期同期(棚卸し的な突合)が必要です。在庫は“リアルタイム”と“整合性”の両方が必要なので、ハイブリッドが向きます。

社内申請(入退社、権限管理、アカウント棚卸し)

申請が承認されたら即時にアカウント作成・権限付与、という流れはWebhookが便利です。一方、退職者アカウントの棚卸しや権限の定期監査はAPIで一覧取得して照合するのが確実です。情シス領域では「普段はWebhook、統制はAPI」が機能します。

どのケースでも共通して重要なのは、「連携が止まったときに誰が気づき、どう復旧するか」です。通知だけが止まるなら影響は小さいですが、権限付与や請求に関わると損失に直結します。“止まっても業務が回る逃げ道”を設計に含めると、安心して自動化を進められます。

まとめ

WebhookとAPIの違いは、シンプルに言うと「取りに行く(API)」か「知らせてもらう(Webhook)」かです。リアルタイム性が必要ならWebhook、一覧・検索・更新など幅広い操作にはAPIが向きます。

  • Webhook:イベント発生時に即時通知。無駄が少ないが、冪等性・再送・署名検証など運用設計が要。
  • API:必要なときに取得・更新できる。過去データや突合に強いが、ポーリングやレート制限への配慮が要。
  • 実務の最適解:Webhookで即時処理+APIで詳細取得や定期突合のハイブリッドが多い。

導入は「影響が限定的で効果が見えやすい業務」から小さく始め、ログ・監視・復旧フローまで含めて設計すると失敗しにくくなります。もし「うちの業務ではどちらが適切?」「連携が増えて管理できない」といった課題があれば、要件整理から一緒に進めるのが近道です。

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