TypeScript導入で開発費は上がる?見積もりに反映されるポイントの見抜き方(Next.js編)

TypeScriptで開発費は本当に上がる?結論は「上がることもあるが、総コストは下がりやすい」

「TypeScriptを入れると開発費が上がるのでは?」という不安はよく聞きます。結論から言うと、初期の開発工数(見積もり上の金額)が少し増えるケースはある一方で、運用・保守や追加開発を含めた“総コスト”は下がりやすいのが実務上の傾向です。

TypeScriptは、JavaScriptに「型(データの種類のルール)」を足したものです。型があると、たとえば「数字を入れるべき欄に文字が入ってしまった」「あるはずの項目がない」などのミスを、実行する前(開発中)に検知しやすくなります。人間でいう“ダブルチェック”が自動化されるイメージです。

一方で、導入直後は「型を付ける作業」「開発メンバーの書き方を揃える作業」「既存のJavaScriptを型対応に直す作業」などが発生し、見積もり上は増額要因になり得ます。特にNext.jsのように画面(フロントエンド)とAPI連携が密な構成では、型定義を整えるほどメリットが出ますが、整え方次第でコストが上下します。

そこで本記事では、ITに詳しくない発注側でも「TypeScript導入が見積もりにどう反映されるか」「増額が妥当か」を判断できるよう、見積もりのチェックポイントと、Next.js案件での具体的な落とし穴・交渉のコツを整理します。

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見積もりが増える主な理由:TypeScriptのコスト要因を分解すると見抜ける

TypeScript導入で開発費が上がる場合、その理由はだいたい次のどれかに分類できます。「何が増えるのか」を分解して説明できない見積もりは要注意です。

型設計(データのルール作り)に時間がかかる

たとえば「顧客」「注文」「権限」など、システムの中心データは型が複雑になります。最初に型をきちんと設計すると、後の追加機能で“同じミスの繰り返し”が減りますが、初期は一定の工数が必要です。逆に、ここを雑にするとTypeScriptを入れたのに品質が上がらず、単に「書き方が難しくなっただけ」になりがちです。

既存コードの移行(JavaScript → TypeScript)が発生する

すでに動いているWebサイトや管理画面を改修する場合、既存のJavaScriptをTypeScriptに移す作業が発生します。ここで確認したいのは、「全面移行」なのか「触る範囲だけ段階移行」なのかです。後者なら初期費用を抑えつつメリットを享受できます。

周辺ツールの整備(Lint/Formatter/CI)を入れる

TypeScriptを導入するタイミングで、コードの品質を保つ仕組み(ESLint、Prettier、テスト、CIなど)を整える提案が来ることがあります。これは悪いことではなく、むしろ運用コストを下げる王道です。ただし、どこまでやるかで費用が変わります。「何を自動化し、誰の作業が減るのか」が説明されていれば妥当性を判断しやすいです。

型の“やりすぎ”で逆に高くなる

TypeScriptは突き詰めると非常に厳密にできますが、プロジェクトの規模や期限に対して過度に厳密にすると、開発速度が落ちます。発注側が押さえるべきポイントは、「必要な安全性」と「納期」のバランスを取る方針があるかです。たとえば、管理画面の一部だけ急ぎで作るなら、段階的に型を強化する戦略も現実的です。

Next.js案件でTypeScriptが効く場面:費用対効果が出やすいポイント

Next.jsは、画面表示だけでなく、データ取得、ルーティング、認証、サーバー処理(Server ActionsやAPI Routesなど)まで含めて設計することが多いフレームワークです。この“つながりの多さ”が、TypeScriptの効果を出しやすくします。

画面とAPIの不整合を減らす(フォーム・一覧・検索)

よくある不具合は「画面が期待するデータ項目と、APIが返す項目がズレる」ことです。たとえば、一覧画面でcustomerNameを表示したいのに、API側はnameで返している、など。TypeScriptで型を共有(あるいはAPI仕様から自動生成)すると、ズレが早期に見つかります。手戻りが減るほど、見積もり上の増額分を回収しやすい領域です。

認証・権限・ロールのバグを減らす

情シスや管理部門が関わるシステムほど、権限の不備は事故につながります。Next.jsではログイン状態や権限制御を複数箇所(ミドルウェア、サーバー処理、画面)で扱うことがあり、型があると実装ミスを減らせます。特に「管理者だけ見える」「部署ごとに見える」などの条件が多い場合、TypeScriptの恩恵が大きいです。

長期運用(改修が続くサイト)で効く

Next.jsで作ったWebシステムは、公開して終わりではなく、機能追加・ABテスト・新しい連携先追加が続くことが一般的です。TypeScriptは、既存コードを変更したときに影響範囲が分かりやすく、将来の改修が安全になります。「作る費用」より「育てる費用」が大きいプロジェクトほど、TypeScriptは投資対効果が出やすいと考えると判断しやすいです。

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発注側が見抜く:TypeScript導入の見積もりで確認すべきチェックリスト

ここが本題です。見積書に「TypeScript対応 一式」などと書かれていると妥当性が判断できません。次の観点で質問すると、相手が誠実に設計しているか、過剰に盛っていないかが見えます。質問に対して具体的な根拠(対象範囲・成果物・手順)が返ってくるかがポイントです。

  • 対象範囲:新規開発部分のみか、既存のJavaScriptをどこまで移行するのか(全面/段階的/触る箇所のみ)
  • 型の方針:どのレイヤー(画面・API・DB)で型を揃えるか。型の共有や自動生成を検討しているか
  • 成果物:型定義ファイル、APIのスキーマ、コーディング規約、Lint設定、テスト方針など、何が納品物に含まれるか
  • 品質ゲート:PRレビュー基準、ビルド時型チェック、CIでの自動チェックを入れるか
  • 工数の内訳:「型付け」「修正」「動作確認」「リファクタ」の割合。増えた分の工数がどこに載っているか
  • 将来運用:追加開発時に型がどう効くか、引き継ぎ時に誰が触れる想定か(社内・別ベンダー)

特にNext.js案件では「型を揃える範囲」が重要です。たとえば、フロントだけTypeScriptでも、API仕様が曖昧だと結局手戻りは起きます。逆に、API仕様(レスポンス形式)を固め、型を共有できる形にすると、開発チームが変わっても品質を保ちやすくなります。

見積もりの妥当性を測る簡単な考え方として、TypeScriptの増額分について「その分、どんな手戻りが減るのか」「どんな確認作業が減るのか」を言語化してもらいましょう。“安く見せる”ためにTypeScriptの整備を削る提案は、後から高くつくことが多いです。

よくある失敗パターン:TypeScript導入が「高いだけ」「効果がない」になる理由

TypeScriptは入れれば勝手に品質が上がる魔法ではありません。発注側が関与しなくても起こりやすい失敗パターンを知っておくと、提案の良し悪しを判断できます。失敗の多くは“方針不在”です

「とりあえずany」で型が形骸化する

TypeScriptにはanyという“何でもOK”の型があり、これを多用すると型チェックの意味が薄れます。納期が厳しい現場ほど起こりがちです。対策としては、重要な境界(APIレスポンス、フォーム入力、権限情報)だけでも厳密にし、その他は段階的に強化する方針を最初に決めることです。

型定義がコードとズレてメンテ不能になる

型を手書きし、APIやDBの変更が入ったのに型だけ更新されないと、現場は混乱します。ここで効果的なのが「単一の正(Single Source of Truth)」の考え方です。たとえばAPI仕様から型を生成する、DB定義から型を生成するなど、ズレが起きにくい仕組みにします。“ズレない仕組み”まで提案に含まれているかを確認しましょう。

レビュー体制がなく、書き方がバラバラになる

TypeScriptは書き方の自由度が高く、チームでルールを揃えないと読みにくくなります。ESLint/Prettierなどの自動整形や、レビューの観点(型の境界、例外処理、Null対応など)を決めることで、属人化を防げます。見積もりに「レビュー工数」が含まれている場合は、単なる水増しではなく品質保証の一部である可能性があります。

Next.js特有の落とし穴(サーバー/クライアント境界)

Next.jsでは、サーバーで動く処理とブラウザで動く処理が混在します。たとえば環境変数や認証情報の扱いを誤ると、情報漏えいリスクも出ます。TypeScriptは境界のミスを減らす助けになりますが、設計が曖昧だと防げません。発注側としては「どこがサーバー処理で、どこがクライアント処理か」を設計書やREADMEに残す提案があるかを見ると安心です。

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費用を抑えつつTypeScriptの効果を出す進め方:発注時の合意ポイント

予算に限りがある場合でも、TypeScriptの恩恵を得る方法はあります。ポイントは「全部を完璧にしない」「重要な境界から固める」です。段階導入の設計ができるベンダーは、見積もりの説明も明快な傾向があります。

最優先で型を固めるべき3領域

  • APIの入出力(リクエスト/レスポンス):画面とバックエンドのズレを減らす。手戻り削減の効果が大きい
  • フォーム入力:バリデーション(入力チェック)と型を揃えると、問い合わせや運用事故が減る
  • 権限・認証:ロール定義を型として持つことで、画面表示や操作制限の漏れを減らす

この3つを固めるだけでも、TypeScriptの費用対効果は出やすいです。逆に、画面の細かな部品まで最初から厳密にしすぎると、開発が重くなることがあります。

段階導入の例(見積もり交渉で使える言い方)

発注側からは、次のように依頼すると現実的な提案を引き出せます。

  • 「まずはNext.jsプロジェクトをTypeScript前提で開始し、重要なAPI境界だけ厳密にしてください。細部は段階的に強化で」
  • 「既存のJavaScriptは全面移行せず、今回改修する画面と関連APIのみTypeScript化してください」
  • 「型の厳密さ(any許容範囲)と、後で直す予定(技術的負債)を一覧化して合意したい」

見積もりとしては、初期費用が少し下がるだけでなく、後から追加費用になりやすい“隠れ作業”を見える化できます。「今やらないこと」を明文化できると、予算超過のリスクが下がるためです。

受け入れ基準(Doneの定義)を決める

「TypeScript対応完了」とは何を意味するのか、受け入れ基準を持つと揉めにくくなります。例としては、ビルド時の型チェックが通る、ESLintが致命的エラーなし、主要画面のE2E/単体テストの最低限、などです。すべてを求める必要はありませんが、“品質を測る物差し”があるプロジェクトは成功しやすいです。

まとめ

TypeScript導入で開発費が上がるかどうかは、プロジェクトの状態(新規か改修か)、移行範囲、型の方針、品質担保の仕組み次第です。特にNext.jsは画面・API・認証などが密接につながるため、TypeScriptで不整合を早期に潰せるメリットが大きく、運用まで含めた総コストは下がりやすい傾向があります。

発注側としては、「TypeScript一式」のような曖昧な見積もりを鵜呑みにせず、対象範囲・成果物・工数内訳・段階導入の可否を質問して、増額の根拠を具体化することが重要です。増えた工数が“何の手戻りを減らす投資か”説明できる提案は、妥当である可能性が高いと言えます。

もし「自社のケースだとどこまでTypeScriptをやるべきか」「Next.jsでの作り方と運用費を含めて最適化したい」といった検討が必要なら、要件や体制に合わせて段階導入の設計からご相談ください。

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