SaaS開発を外注するメリットと失敗しない進め方

SaaSとは?中小企業が外注を検討する前に押さえる基礎

SaaSとは、ソフトウェアを「買い切り」で社内に入れるのではなく、インターネット経由で必要な機能を使う形のサービスです。たとえば、顧客管理、見積作成、勤怠、請求、在庫、問い合わせ管理など、業務で毎日使う道具が「ブラウザでログインして使える」イメージです。利用者は月額・年額で支払い、提供側(開発側)は継続的に改善や機能追加、障害対応を行います。

中小企業がSaaSを自社向け・自社サービスとして開発したい背景には、「Excelや属人運用が限界」「業務が複雑で既製品が合わない」「自社ノウハウをサービス化して新規売上を作りたい」といった事情があります。一方で、社内にエンジニアやプロダクトマネージャーがいない、IT部門が兼任で手が回らない、要件整理に自信がないというケースも多く、そこで「外注(開発会社への委託)」が現実的な選択肢になります。

ただし、SaaSは「作って終わり」ではありません。リリース後にユーザーの声を見ながら改善し、セキュリティや法令、運用コストにも継続して向き合う必要があります。外注を成功させるには、開発会社に丸投げするのではなく、ビジネス側が意思決定できる体制と、成果物・運用範囲の合意が重要です。

この記事では、専門知識に自信がない方でも進めやすいように、SaaS開発を外注するメリット、よくある失敗、具体的な進め方、開発会社の選び方、契約・運用の注意点まで、実務目線で整理します。

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SaaS開発を外注するメリット:スピード・品質・リスクの最適化

SaaS開発を外注する最大のメリットは、「必要なスキルを必要な期間だけ」確保できる点です。社内採用でエンジニアを集める場合、採用費・教育・マネジメントが継続的に発生し、採用難で計画が崩れることも珍しくありません。外注であれば、要件定義、設計、開発、テスト、インフラ、セキュリティ、UI/UXなどの専門人材を、チームとして早期に立ち上げられます。

また、外注先は過去の開発経験から「ハマりどころ」を把握しているため、失敗パターンを回避しやすくなります。たとえば、SaaSでは権限管理(誰が何を見られるか)、請求と契約(プラン変更、解約、日割り)、監査ログ(操作履歴)、運用監視(障害検知)、問い合わせ導線など、業務ソフトとして欠かせない要素が多いです。これらは見落とすと後で大きな手戻りになり、結果的にコスト増につながります。

さらに、外注は「費用の見通し」が立てやすいことも利点です。月額の準委任(時間ベース)で小さく検証し、手応えが出たら開発体制を増やす、といった柔軟な設計が可能です。特に新規事業としてのSaaSでは、最初から完璧を目指すより、まず最小限の機能(MVP)を短期間で出し、営業・現場で検証して改善する方が成功確率が上がります。

一方で「外注=安い」は誤解です。外注は、品質担保やスピードを買う側面が強く、安さだけを優先すると、コミュニケーションコストや品質問題で結果的に高くつくことがあります。外注の価値は「事業の勝ち筋が見えるまでの時間を短縮する」ことにある、と捉えると判断しやすくなります。

外注でよくある失敗:丸投げ・要件ブレ・契約不備が原因

SaaS開発の外注で多い失敗は、技術力以前に「進め方」に原因があります。代表的なのが丸投げです。発注側が「こういうの作って」で終わり、開発会社に仕様決定まで任せきりになると、出来上がったものが現場に合わず、結局使われない、という結末になりがちです。業務の優先順位や運用ルールは、最終的に事業側しか決められません。

次に多いのが要件ブレです。SaaSは開発途中で「やっぱりこの機能も」「この画面も必要」となりやすい一方、変更の影響範囲は広がります。特に、権限・データ構造・料金体系に関わる変更は、後からだと大工事になりがちです。要件ブレ自体が悪いのではなく、変更を受け止める仕組み(優先順位付け、バックログ管理、変更時の見積もり・納期調整)がないことが問題です。

また、契約・成果物の定義が曖昧で揉めるケースもあります。請負契約で「何を納品とするか」、準委任で「何をどこまでやるか」、運用保守で「障害対応の時間帯や復旧目標はどうするか」など、文章で合意しないと期待値がズレます。特にSaaSでは、リリース後の改善が前提なので、初期開発と運用の境界を明確にしないと、発注側は「当然やってくれると思った」、受注側は「契約外」となりがちです。

さらに、データ・セキュリティの考慮不足も致命傷になり得ます。顧客情報や取引情報を扱うSaaSでは、アクセス制御、暗号化、ログ、脆弱性対応、バックアップ、権限付与の運用などが必要です。ここを軽視すると、事故が起きたときに信用と売上に直結します。外注先に任せるとしても、発注側が最低限の観点を理解し、要求事項として明文化しておくことが重要です。

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失敗しない進め方:MVPから始めるSaaS開発の外注プロセス

専門知識がなくても進めやすい基本は、SaaSを「最小で作って、早く使って、学んで育てる」ことです。そのための外注プロセスを、現場で使える形に分解します。

目的と成果指標を決める(機能より先)

最初に決めるべきは機能一覧ではなく、目的と成果指標です。たとえば「見積作成のリードタイムを半分にする」「問い合わせ一次対応を30%削減する」「代理店が自走して提案できる状態を作る」など、数字でなくても構いませんが、判断基準を置きます。目的が曖昧だと、仕様の良し悪しを決められず、開発が長期化します

業務フローを1枚にして、例外を後回しにする

次に、現状の業務フローを簡単に可視化します。ここで大切なのは「例外を全部盛らない」ことです。SaaSの初期版では、8割の標準ケースを優先し、残りは運用で回避できるかを検討します。たとえば「特殊な値引き」「一部顧客だけの例外請求」などは、最初は手作業で対応し、利用頻度が高いものから順に機能化する方が、結果として早く価値を出せます。

MVPの範囲を合意する(画面数ではなく“通し”で)

MVPの定義は「最低限の画面」ではなく「最低限の業務が最初から最後まで通ること」です。例として、営業支援のSaaSなら「リード登録→案件化→見積→受注→請求データ出力」など、価値の連鎖を途切れさせない範囲にします。開発会社とは、ユーザー(誰が)・入力(何を)・出力(何が)・権限(誰が見られる)をセットで合意すると、手戻りが減ります。

体制と役割を決める(発注側の“決め役”が必須)

外注でも、発注側に意思決定者が必要です。理想は「事業責任者(最終決定)」「業務代表(現場目線)」「窓口(資料・連絡)」の3役です。全員が兼任でも構いませんが、誰が最終的に決めるかが曖昧だと、レビューが滞り納期が延びます。開発会社側にはPM(進行管理)とエンジニアに加え、UI/UXやインフラが必要かを見極めます。

進め方は“短いサイクル”が安全(2週間単位が目安)

SaaS開発は、2週間など短いサイクルで「作る→見せる→直す」を回すほど失敗しにくくなります。発注側は毎回、優先順位の高い順に確認し、疑問点をその場で決めます。これにより「最後に見たら違った」を防げます。議事録や仕様は完璧でなくても良いですが、決定事項と未決事項は必ず残し、次のサイクルに持ち越さないことが重要です。

外注先の選び方:開発力より“伴走力”を見極めるチェックリスト

SaaS開発を外注する際、比較サイトの実績数や技術スタックだけで決めるとミスマッチが起きます。中小企業が求めるのは「何を作るかがまだ揺れている段階でも、整理しながら前に進めてくれる伴走力」です。選定時は、次の観点で確認すると精度が上がります。

  • 要件定義の進め方が具体的か:ヒアリング項目、成果物(業務フロー、画面案、データ項目、権限、非機能要件)の例を出せるか
  • MVP前提の提案ができるか:「まずこれだけで検証しましょう」と範囲を切る提案があるか
  • 運用・保守まで見通しているか:監視、障害対応、バックアップ、問い合わせ、改善サイクルの体制を説明できるか
  • セキュリティの基本を言語化できるか:権限管理、ログ、脆弱性対応、アクセス制御の方針を分かりやすく話せるか
  • コミュニケーション設計があるか:定例頻度、連絡手段、レビュー方法、意思決定の取り方が明確か
  • 見積もりの前提が透明か:含まれる範囲・含まれない範囲、変更時の扱いが明記されるか

相見積もりを取る場合は、金額だけでなく「前提の置き方」を比べてください。SaaSでは、同じ機能でも品質・運用性の考慮で工数が大きく変わります。たとえば、権限が1種類か複数か、監査ログをどこまで残すか、データのエクスポートが必要か、といった条件で工数は跳ねます。見積書を受け取ったら「この金額になる前提」を質問し、言葉で整理してくれる会社ほど、後のトラブルが少なくなります。

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契約・費用・運用で押さえる要点:SaaSは“育てるコスト”が本番

SaaS開発の外注では、初期開発費だけで判断すると失敗します。リリース後に必要になる費用と責任範囲を、最初から分けて設計することが重要です。

契約形態は大きく「請負」と「準委任」があります。請負は成果物(完成)に対して支払う一方、仕様が固まっていない段階では変更が増えやすく、追加費用や納期調整が頻発します。準委任は作業時間に対して支払うため、MVPの検証や改善サイクルと相性が良いことが多いです。どちらが良い悪いではなく、現時点で仕様がどれだけ固まっているかで選ぶと合理的です。

費用の内訳としては、要件定義・設計・開発・テストに加え、インフラ(サーバー)費、監視、バックアップ、ドメイン/証明書、エラー対応、軽微改修などが継続的に発生します。自社サービスとしてのSaaSなら、問い合わせ対応やマニュアル整備、オンボーディング(初期設定の支援)も重要です。外注先に運用を含めるのか、社内で担うのかを決め、SLA(どの時間帯にどこまで対応するか)や月次レポートの有無まで合意すると、運用フェーズで揉めにくくなります。

データの取り扱いも契約で確認すべき要点です。ソースコードや設計書の権利、クラウド環境のアカウント(どちらが管理者か)、障害時のログ提供、契約終了時のデータ返却などは、将来の乗り換えや内製化に直結します。「万一、別会社に引き継ぐとしたら何が必要か」という視点で、納品物と運用権限を整理しておくと安全です。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

まとめ

SaaS開発の外注は、採用や育成の負担を抑えながらスピーディに立ち上げ、品質・セキュリティ・運用まで含めてリスクを下げられる選択肢です。一方で、丸投げや要件ブレ、契約の曖昧さがあると、コスト増や「使われないシステム」につながります。

失敗しないコツは、目的と成果指標を先に置き、MVPで業務が“通る”範囲に絞り、短いサイクルで検証することです。外注先は技術力だけでなく、要件整理と伴走、運用まで見据えた提案ができるかで選ぶと成功確率が上がります。自社の状況に合わせた進め方を設計し、SaaSを「作る」だけでなく「育てて価値を伸ばす」前提で計画していきましょう。

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