SaaSの料金体系を解説|月額課金の仕組みと考え方

SaaSとは?「買い切りソフト」と何が違うのか

SaaSとは、ソフトウェアを自社でインストールして所有するのではなく、インターネット経由で「サービスとして利用する」形のソフトウェアです。たとえば、営業の案件管理(SFA)、顧客管理(CRM)、会計、勤怠、電子契約、チャット、Web会議など、今の業務の多くがSaaSで置き換えられるようになりました。

従来の買い切りソフトは、最初にライセンスを購入して導入し、必要に応じてサーバーやPCにインストールして使います。一方でSaaSは、ブラウザやアプリからログインして使い、料金は月額・年額などのサブスクリプション(定期課金)が一般的です。企業側にとっての大きな違いは、「初期費用を抑えやすい」反面、「使い続ける限り支払いが続く」点にあります。

また、SaaSは提供会社が機能改善やセキュリティ対応、法改正への追随を継続して行います。自社でアップデート計画を立てる必要が少なく、最新機能が自然に使えるのが強みです。逆に言えば、価格改定やプラン変更が起こり得るため、契約時に「将来の増員・拠点追加・他システム連携」を見越した料金体系の理解が重要になります。

この記事では、専門知識がなくても判断できるように、SaaSの代表的な料金体系(月額課金の仕組み)、見積もりで見落としがちな費用、比較のポイント、導入後の運用で損をしない考え方までを、業務シーンに沿って解説します。

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月額課金の基本構造:何に対してお金を払っているのか

月額課金と聞くと「毎月いくら」とだけ捉えがちですが、実際は複数の要素が組み合わさって料金が決まります。まず押さえるべきは、SaaSの料金が「利用権(ライセンス)」+「提供側の運用コスト」+「継続的な改善」を含むという点です。買い切りソフトのように購入時点で終わりではなく、提供会社はサーバー運用、監視、障害対応、セキュリティ対策、バックアップ、アップデートを継続します。その分が月額に含まれます。

料金の単位として多いのは次の3つです。

  • ユーザー課金:利用者数(ID数)に応じて増える。営業チームの人数が増えると費用も増える。
  • 機能(プラン)課金:Basic/Standard/Proのように使える機能範囲で料金が変わる。
  • 利用量課金:データ容量、送信件数、API呼び出し、電子署名の通数など「使った分だけ」増える。

現場でトラブルになりやすいのが「ユーザー課金だと思っていたら、実は利用量課金も組み合わさっていた」ケースです。たとえば、MA(メール配信・顧客育成)のSaaSでは、ユーザー数は少なくても配信通数や保有リスト件数で費用が大きくなることがあります。逆に、プロジェクト管理ツールではユーザー課金が中心で、利用量はあまり増えません。

さらに、SaaSは月額だけでなく、契約期間によっても総額が変わります。年払い(年間契約)にすると割引される代わりに、途中解約の返金条件が厳しいこともあります。「月額の安さ」ではなく「1年・3年でいくらか」で比較すると、意思決定がブレにくくなります。

代表的なSaaSの料金体系パターンと向いている会社

SaaSの料金体系にはいくつか定番があります。ここでは、比較検討時に判断しやすいように、パターンごとのメリット・デメリットと向いている企業像を整理します。自社に近い運用シーンを想像しながら読むと、選び方がクリアになります。

ユーザー課金(ID課金):人数に比例して分かりやすい

最も一般的なのがユーザー課金です。営業SFAやCRM、グループウェア、チャットなどでよく見られます。費用は「月額単価×ユーザー数」で増減するため、管理がしやすい一方、部署横断で展開するとコストが膨らみやすいのが特徴です。

向いているのは、利用者が限定される業務(例:営業部だけ、経理だけ)や、利用者数が大きく変動しない企業です。注意点として、アカウントを「とりあえず発行」して休眠ユーザーが増えると、払っているのに使っていない状態になりがちです。月1回でも棚卸しして「使っていないIDを減らす」だけで、年間コストが目に見えて下がります。

機能別プラン(ティア課金):必要な機能だけ選べるが、上位プラン前提のことも

Basic/Pro/Enterpriseのように、機能範囲で価格が変わるタイプです。最初は低価格プランで始めて、必要に応じてアップグレードできる点がメリットです。

ただし現実には、「SSO(シングルサインオン)」「監査ログ」「権限の細分化」「IP制限」「ワークフロー」など、管理者が欲しい機能が上位プランにまとまっていることが多いです。現場が使えるだけでは運用が回らず、結果的に上位プランに上げるケースもあります。比較時は、現場機能だけでなく、管理・統制に必要な機能がどのプランにあるかまで確認しましょう。

利用量課金(従量課金):スモールスタート向きだが、伸びると急増

利用量課金は、API回数、データ転送量、処理件数、電子署名通数、生成AIのトークン量など「使った分だけ」費用が増えるタイプです。導入初期は安く収まりやすく、試しやすいのが利点です。

一方で、業務が軌道に乗って利用量が増えると、月額が読みづらくなります。営業活動が強化されてメール配信が増えたり、取引が増えて電子契約の通数が増えたりすると、想定より上振れします。向いているのは、利用量の上限が見積もりやすい会社、または「使った分だけ払う」考え方を許容できる会社です。上限設定(アラート)や、超過時の単価は必ず確認しましょう。

フリーミアム:無料で始められるが、業務利用の条件が揃うと有料化しやすい

無料プランがあり、小規模で試せるSaaSも多いです。個人利用や小チームなら有効ですが、会社の正式運用にすると「ユーザー数上限」「保存期間」「権限」「外部共有」「監査」といった制限がボトルネックになり、有料プランに移行せざるを得ないことがよくあります。

無料で試す際は、単に使い勝手を見るだけでなく、将来の運用要件(セキュリティ、権限、ログ、バックアップ)を満たせるかをチェックすると、後戻りを減らせます。

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見積もりで見落としがちな費用:月額以外に何がかかる?

SaaS導入で「思ったより高い」と感じる原因の多くは、月額料金以外の費用を見落とすことにあります。特に中小企業では、導入後に担当者の工数が増えたり、別ツールが必要になったりして、実質コスト(TCO)が膨らみがちです。ここでは、事前に押さえておきたい代表的な項目をまとめます。

  • 初期費用(セットアップ費):初期設定、環境構築、アカウント設計、テンプレ作成など。無料のSaaSもあるが、B2B向けでは発生することが多い。
  • 導入支援・トレーニング:操作説明会、管理者研修、マニュアル作成支援。現場定着を急ぐほど重要。
  • データ移行:Excelや旧システムからの顧客データ移行、名寄せ、項目設計。移行が難しいと導入が止まる。
  • 連携(インテグレーション)費:会計・基幹・MA・チャットなど他システムとの連携開発、API利用。月額の他に開発費がかかることも。
  • オプション:追加ストレージ、追加ログ保存、IP制限、電話サポート、専任CSなど。
  • 運用工数:権限管理、棚卸し、設定変更、問い合わせ対応。社内の「見えない人件費」になりやすい。

具体例として、営業SFAを入れる場合を考えます。月額は「ユーザー課金×人数」だけに見えても、最初の項目設計(案件ステージ、入力ルール、レポート)、既存顧客データの整備、定着のための運用ルールづくりが必要です。ここを省くと、入力されず、見たい数字が出ず、「結局使われないツール」になり、費用対効果が出ません。月額料金よりも「運用設計の質」が成果を左右すると理解すると、投資判断がしやすくなります。

見積もりを取るときは、「月額」「初期」「オプション」「連携」「社内工数」を分けて、1年・3年の総額で比較しましょう。料金体系が違うSaaS同士でも、同じ土俵で判断できます。

失敗しないSaaS選定:料金比較のチェックリスト

料金体系を理解したら、次は比較・選定です。ここでは、ITに詳しくなくても判断できるように「実務で詰まりやすいポイント」をチェックリスト形式で整理します。商談時にそのまま質問できる内容にしています。

  • 課金対象は何か:ユーザー数、機能プラン、利用量(通数・容量・API)、拠点数など、どの要素で増えるか。
  • 最低契約数・最低利用期間:5ユーザー以上、年契約必須などの条件がないか。
  • 追加費用の条件:ストレージ超過、ログ保存延長、権限機能、SSO、IP制限などは標準かオプションか。
  • 将来の拡張時の単価:ユーザーが10人→50人になった場合の総額、上位プランへの移行費用。
  • 解約・ダウングレード:いつから反映されるか、違約金、返金の有無。席数を減らしたいときのルール。
  • データの持ち出し:解約時にデータをCSVで出せるか、保存期間、エクスポートの制限。
  • サポート範囲:問い合わせ手段(メール/チャット/電話)、対応時間、緊急時の窓口、オンボーディングの有無。

特に重要なのは、「今の人数」で安いかどうかではなく、半年後・1年後に使い方が広がったときの費用です。営業チームが成果を出すと、入力項目が増え、連携先(会計、請求、MA)が増え、権限管理が必要になり、結果的に上位プランやオプションが必要になります。最初から将来像を描き、段階的に投資する前提で選ぶと失敗が減ります。

もう一点、SaaSは「入れれば成果が出る」ものではありません。導入効果は、利用率、入力品質、運用ルール、現場の習慣化で決まります。料金体系の比較と同じくらい、運用設計(誰が管理し、どの指標を見て、どう改善するか)をセットで考えるのが現実的です。

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月額課金を「投資」に変える運用の考え方(中小企業向け)

月額課金は、放っておくと「固定費が増えた」だけになりがちです。ですが、運用次第で「成果が積み上がる投資」に変えられます。中小企業で実行しやすいポイントに絞って解説します。

まず、導入直後にやるべきは「利用目的の明文化」です。例えば営業SaaSなら、「商談数を増やす」では曖昧です。“週次で案件ステージ別の滞留を見て、停滞案件を減らす”のように運用に落ちる目的にします。目的が運用の行動に結びつかないと、入力が形骸化します。

次に、「入力を増やす」より「入力を減らす」発想が有効です。現場は忙しく、項目が多いほど使われません。最初は必須項目を最小限にし、会議で使うレポートに直結する項目だけに絞ります。運用が回り始めてから、必要な項目を追加する方が定着しやすいです。

そして月額課金で損をしないコツは、席数と権限の設計です。全員にフル権限・フルライセンスを配るとコストが増えます。閲覧のみのメンバーには閲覧ライセンス、外部パートナーにはゲスト権限など、SaaS側のライセンス体系を活用すると最適化できます。「誰が何をするか」を先に決めると、過剰なプラン購入を避けられます。

最後に、3か月ごとの棚卸しを仕組みにしましょう。具体的には「休眠ユーザーの削除」「使っていない機能の停止」「不要なオプションの見直し」「利用量の上限アラート設定」を定例化します。月額課金は小さな漏れが積み上がりやすいので、定例化するだけでコスト最適化とガバナンスが同時に進みます。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

まとめ

SaaSの料金体系は、月額の安さだけで判断すると失敗しやすく、課金対象(ユーザー・機能・利用量)と「月額以外の費用(初期、移行、連携、運用工数)」まで含めた総額で比較することが重要です。中小企業ほど、導入後の運用設計(目的、入力ルール、権限、棚卸し)で費用対効果が大きく変わります。

これからSaaSを導入・見直しする場合は、1年・3年の総額、将来の拡張時の単価、解約やデータ持ち出し条件まで確認し、「固定費」ではなく「成果に変える投資」として設計しましょう。

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