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REST APIとGraphQLの違いを「一言」でつかむ
社内システムやSaaS連携、スマホアプリ開発でよく出てくるのがREST APIとGraphQLです。どちらも「アプリから別システムのデータを安全にやり取りするための窓口(API)」ですが、考え方が違います。非エンジニアの方は、まずは次のイメージで押さえると判断が速くなります。
- REST API:「用途ごとのメニューが決まっている定食屋」。注文(URL)ごとに返ってくる内容が固定されやすい。
- GraphQL:「必要な具材を指定して作ってもらうサラダバー」。欲しい項目だけ指定でき、必要以上のデータを受け取らずに済む。
たとえば「顧客一覧と、各顧客の最新注文日だけ欲しい」という場合、REST APIでは「顧客一覧」「顧客詳細」「注文情報」など複数のエンドポイントを順番に呼ぶ設計になりがちです。一方GraphQLは、欲しい項目を1回の問い合わせでまとめて取得しやすいのが特徴です。
ただし、GraphQLが常に上位互換というわけではありません。実務では運用・セキュリティ・キャッシュ・社内の扱いやすさまで含めて選ぶ必要があります。この記事では、ITに詳しくない情シス・経営層でも判断できるように、違い・向き不向き・選び方・導入時の注意点を業務シーンで解説します。
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比較表:意思決定に効くポイントだけ先に確認
まずは「比較軸」を揃えると、社内説明が楽になります。以下は、REST APIとGraphQLの差が出やすいポイントです。
- 取得できるデータの柔軟性:REST APIは提供側が決めた形/GraphQLは利用側が必要項目を指定
- 通信回数:REST APIは複数回呼び出しになりやすい/GraphQLは1回に集約しやすい
- 実装・運用の複雑さ:REST APIはシンプルに始めやすい/GraphQLは設計・ガバナンスが重要
- キャッシュ:REST APIはHTTPキャッシュと相性が良い/GraphQLは工夫が必要(設計次第)
- セキュリティ統制:REST APIはエンドポイント単位で管理しやすい/GraphQLはクエリ制御が要
- 変更への強さ:REST APIはバージョン運用が増えがち/GraphQLはスキーマ進化で吸収しやすい
「現場が困るポイント」に直結するのは、通信回数(遅さ・不安定さ)、変更に強いか(改修コスト)、そして運用のしやすさ(障害対応・監査対応)です。次章から、もう少し具体的に噛み砕きます。
REST APIが向いているケース:社内標準・堅牢運用・監査に強い
REST APIは、現在もっとも一般的なAPIスタイルの一つです。特に「社内の標準化」「外部公開」「長期運用」を考える企業では、REST APIを選ぶメリットが多いです。
業務シーンでの向きどころ
- 外部パートナーにAPIを公開する:ドキュメントが整備しやすく、利用者が増えても説明がしやすい
- 監査・統制が必要:機能(エンドポイント)ごとに権限・ログ・レート制限を設計しやすい
- キャッシュで高速化したい:同じURLなら同じ結果、という設計に寄せやすくCDNとも相性が良い
- 段階導入したい:小さく作って小さく増やすのがやりやすい
たとえば「基幹システムから、会計・販売管理・在庫管理へデータを提供する」といった場面では、REST APIで機能を分けておくと、責任範囲が明確になります。障害時も「どのエンドポイントが遅いのか」「どの機能が落ちているのか」を切り分けしやすいです。
注意点:データ取得が“回り道”になりやすい
REST APIは構造が分かりやすい反面、画面や業務が複雑になるほど「必要なデータを集めるために何回も呼ぶ」状態になりがちです。これがいわゆるオーバーフェッチ(不要データが多い)や、逆に「何度も呼ぶ」問題につながります。
例として、営業担当のダッシュボードで「顧客名・担当者・直近の商談・今月の売上」を表示する場合を考えます。REST APIでは、顧客→担当者→商談→売上と、複数APIを順に呼び出す設計になりやすく、モバイル回線やVPN越しで体感が遅くなることがあります。ここは後述するGraphQLが得意な領域です。
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GraphQLが向いているケース:画面が多い・要件変更が多い・統合が複雑
GraphQLは「クエリで欲しい項目を指定して取得する」仕組みです。特に、画面や機能が増えやすいアプリ、あるいは複数システムをまとめて扱う統合基盤で力を発揮します。
業務シーンでの向きどころ
- スマホアプリ/Webアプリの画面が多い:画面ごとに必要項目が違っても、同じ窓口で柔軟に取れる
- 要件変更が頻繁:「この項目も追加で表示したい」に、バックエンド改修を最小化しやすい
- 複数システム横断:CRM、受注、在庫、問い合わせなどを“1つのAPI”として見せやすい
- フロント主導で改善したい:フロントエンド開発が自走しやすい(ただし統制が必要)
たとえば「顧客サポート画面」で、顧客情報・契約状況・請求状況・過去の問い合わせ履歴・配送状況を1画面に集約するケースはよくあります。これをREST APIで構築すると、画面側が複数のAPIを呼び分けて組み立てる必要があり、遅延や例外処理が複雑になりがちです。GraphQLなら、必要な情報を1回の問い合わせでまとめて取得する設計がしやすく、結果として画面性能と開発速度が両立しやすくなります。
注意点:自由度が高い分、運用ルールがないと危険
GraphQLは「何でも取れる」ように見えるため、制御が甘いと重いクエリが乱発され、サーバー負荷や情報漏えいリスクにつながります。特に情シス・管理部門の観点では、次の統制が重要です。
- クエリの深さ・複雑さ制限:無限に関連を辿る要求を抑止する
- レート制限:ユーザー/アプリごとに呼び出し回数やコスト上限を設定
- 権限設計:項目単位・フィールド単位で参照可否を設計する場合もある
- 監視:どのクエリが遅いか、どの画面が重いかを可視化する
つまりGraphQLは、作り始めのスピードは出しやすい一方で、“ガバナンス込みで設計する”ことが成功条件になります。運用担当が不在だったり、ルールを決めずに現場任せにすると失敗しやすい点は押さえておきましょう。
選び方の結論:迷ったら「変化の大きさ」と「責任分界」で決める
REST APIかGraphQLかで迷ったら、技術の好みよりも「事業と運用の現実」から決めるのが安全です。判断のために、社内で次の質問に答える形にすると合意形成が進みます。
質問リスト(そのまま稟議・要件定義に使えます)
- データ提供先は誰か:社内だけか、取引先・一般公開もあるか
- 画面や要件はどのくらい変わるか:月1で変わるか、年1で安定か
- 統合の難易度:1システムか、複数システム横断か
- 性能課題の主因:通信回数か、DB処理か、ネットワークか
- 運用体制:APIの責任者、監視、障害対応、権限棚卸しは誰がやるか
この答えをもとに、ざっくり次のように決めると失敗が減ります。
- REST APIを推奨:外部公開・監査重視・責任分界を明確にしたい・キャッシュで高速化したい
- GraphQLを推奨:UI改善が頻繁・複数システム統合・画面ごとの必要データがバラバラ・フロントの開発速度を上げたい
また、現実的には「どちらか一択」ではなく、基幹はREST API、アプリ向け統合はGraphQLのような併用も多いです。基幹系は安定運用を優先し、フロントに近い層は柔軟性を優先する、という分け方は説明もしやすく、組織にフィットしやすいです。
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導入・移行の進め方:非エンジニアが押さえるべき実務ポイント
API方式の選定は、導入後のコストに直結します。非エンジニアの発注側・プロジェクトオーナーとしては、次の観点を要件に入れておくと「作ったけど運用できない」を避けられます。
要件定義で必ず確認したい項目
- 認証・認可:誰が何を見られるか。社内SSO連携(SAML/OIDC)やAPIキー運用の方針
- ログ:いつ誰がどのデータにアクセスしたか。監査対応が必要なら必須
- 性能SLO:「画面表示は何秒以内」など目標値。APIのレスポンス基準を決める
- 変更手順:項目追加・廃止のルール、互換性、周知、リリース手順
- 障害時の切り戻し:API停止の影響範囲、代替手段、復旧手順
GraphQLを採用する場合の追加チェック
GraphQLは便利ですが、運用の“枠”がないと破綻します。要件に次を含めると安心です。
- クエリ制限:深さ制限、最大取得件数、コストベース制限の方針
- スキーマ管理:変更履歴、レビュー、命名規則、非推奨(deprecate)の運用
- キャッシュ戦略:画面側キャッシュ、サーバー側キャッシュ、CDNの使い方
REST APIを採用する場合の追加チェック
REST APIは増築しやすい分、無秩序に増えると管理が重くなります。次を決めておくと長期的に効きます。
- エンドポイント設計の原則:リソース命名、絞り込み、ページング、エラー形式
- バージョニング:URLで分けるか、ヘッダーで分けるか、廃止までの猶予
- ドキュメントとテスト:OpenAPI等での仕様共有、契約テストの仕組み
社内の合意形成としては、「今のチームが運用できる形」を優先するのが現実解です。たとえば、監視や統制のノウハウが少ないうちはREST APIで堅実に始め、アプリが増えて通信や開発のボトルネックが出た段階でGraphQLを段階的に導入する、という道筋も有効です。
よくある失敗と回避策:コストが膨らむパターンを先に潰す
REST APIとGraphQLのどちらを選んでも、失敗の原因は「方式」そのものではなく、運用設計・責任分界・スコープ管理にあります。よくあるパターンと回避策をまとめます。
失敗例:GraphQLにしたのに遅い/サーバーが高負荷
原因は、重いクエリの制御がない、N+1問題(関連データ取得の繰り返し)、無制限な取得件数などが典型です。回避策は、クエリ制限・ページング・キャッシュ・監視を最初から要件に入れること。特に「誰が制限値を決め、誰が例外を許可するか」を決めないと、現場の要望で上限が際限なく上がりがちです。
失敗例:REST APIが増えすぎて、どれを使うべきか分からない
REST APIはエンドポイントが増えるほど、ドキュメントの更新漏れや類似APIの乱立が起こります。回避策は、設計ルールとレビューの導入、仕様の自動生成、そして「廃止のルール」です。作るルールより、捨てるルールが重要になります。
失敗例:APIはできたが、社内データガバナンスに引っかかる
個人情報・機密情報が絡むと、監査・権限・ログが必須です。方式選定の前に、取り扱うデータの区分(公開可・社外秘・要マスキング等)を整理し、APIに必要な統制レベルを決めてください。GraphQLではフィールド単位の権限制御が必要になることもあり、REST APIではエンドポイント単位の権限に加え「返す項目の最小化」が重要です。
発注側としては、「速度」「柔軟性」だけでなく、監査・障害対応・運用引き継ぎまで含めた総コストで比較するのが成功の近道です。
株式会社ソフィエイトのサービス内容
- システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
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- UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
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まとめ
REST APIとGraphQLは、どちらが優れているかではなく「どの業務課題をどう解くか」で選ぶのが正解です。REST APIは標準化・外部公開・監査・キャッシュなど堅牢運用に強く、GraphQLは画面要件の変化や複数システム統合、通信回数の削減に強みがあります。
迷ったら、「要件変更の多さ」「統合の複雑さ」「運用体制(監視・権限・ログ)」の3点で判断し、必要なら基幹はREST API、アプリ向けはGraphQLという併用も検討してください。方式を決めた後に重要なのは、性能目標・変更手順・セキュリティ統制を要件に落とし込むことです。社内事情に合う設計と運用ルールを整えれば、APIはDXの土台として長く効いてきます。
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