IT知識がない営業でもノーコードを使える理由と始め方

なぜIT知識がない営業でもノーコードを使えるのか

「営業がツールを作るなんて無理」と感じる方は多いはずです。ですが近年は、プログラミングをしなくても業務アプリや自動化が作れるノーコードが普及し、IT部門がなくても現場主導で改善を進められる環境が整ってきました。特に中小企業では、システム担当が不在・兼任で、改善要望が滞留しがちです。その「詰まり」を解消する選択肢として、ノーコードは非常に相性が良い手段です。

営業がノーコードを使える最大の理由は、ツール側が「業務の言葉」に寄り添う設計になっている点です。たとえば、顧客リスト、案件管理、見積、請求、問い合わせ対応など、営業が普段扱う情報は「表(テーブル)」と「フォーム」と「通知」の組み合わせで表現できます。ノーコードでは、こうした要素を画面操作で組み立てられるため、難しい構文や開発環境の準備が不要です。言い換えると、営業の頭の中にある業務フローを、そのまま形にしやすいのです。

また、IT知識がない状態でも進めやすい背景として、SaaS(クラウドサービス)が前提になっていることも挙げられます。サーバー設定やインストール作業を極力省き、ログインしてすぐ使える設計が一般的です。さらにテンプレート(例:顧客管理、日報、問い合わせ管理)を使えば、ゼロから作らずに「既製品を自社用に調整する」感覚で始められます。これは、エクセルが得意な営業ほど取り組みやすい流れです。

一方で「ノーコードなら何でもできる」と誤解すると失敗します。ノーコードにも得意・不得意があり、複雑な権限設計や高度な独自仕様が必要になると、途中で詰まるケースがあります。ですが安心してください。営業現場でよくある課題の多くは、まずは小さく置き換えるだけで成果が出ます。たとえば「日報の入力負荷を減らす」「見積依頼をフォーム化する」「案件ステータスを見える化する」などは、ノーコードの得意分野です。最初は“業務の一部を軽くする”ことから始めるのが、最短で成果に近づくコツです。

さらに、ノーコードの活用は営業のパフォーマンスにも直結します。情報が散らばっていると、引き継ぎのたびに抜け漏れが起き、上司は状況を追えず、担当者は探す時間が増えます。ノーコードで「入力の入口」と「見たい一覧」を整えるだけでも、報告・共有・意思決定が速くなります。結果として、商談の準備時間が増え、受注確度を上げる行動に集中できるようになります。

このあと本記事では、ノーコードの基本、営業・経営者が押さえるべき導入手順、失敗しやすいポイント、そして中小企業でも運用を回せる定着のコツまで、実務目線で整理します。読了後には「うちの会社なら何から作るべきか」「どこまでを現場でやり、どこからプロに頼むべきか」が判断できる状態を目指します。

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ノーコードとは?できること・できないことを営業目線で整理

ノーコードとは、プログラミングを書かずに、画面操作でアプリや業務システムを組み立てる手法です。ドラッグ&ドロップで画面を作ったり、条件分岐や通知を設定したりして、業務に必要な仕組みを短期間で用意できます。営業の現場では「エクセルを卒業して、チームで同じ情報を扱えるようにする」用途で導入されることが多いです。

営業や経営者の方がイメージしやすいように、できることを「業務で起きている困りごと」に置き換えます。

  • 入力の統一:問い合わせフォーム、名刺情報の登録、商談メモの記録などをフォーム化し、入力ルールを揃える
  • 一覧・検索:顧客・案件・見積・タスクを一覧で確認し、担当者や期限で絞り込みできるようにする
  • ステータス管理:「新規→提案→見積→受注→失注」など、進捗をボードやリストで可視化する
  • 通知・自動化:期限が近いとSlack/メールで通知、フォーム送信で担当者に割り当て、データを自動転記する
  • 簡易な集計:月次の案件数、受注率、活動量などをグラフ化して会議資料を作りやすくする

逆に、ノーコードが苦手になりやすい領域も押さえておくと、選定や期待値調整がスムーズです。

  • 複雑な基幹システム相当:会計・在庫・生産など、例外処理が多く厳密な整合性が必要な領域
  • 独自UI/高速処理が必須:特殊な画面操作や大量データの高速処理など、作り込みが必要なケース
  • 厳格な権限・監査:細かい閲覧制限やログ監査が必須で、ツール標準機能を超える要件がある場合

ただし「苦手=できない」ではありません。ノーコードで土台を作り、必要な部分だけ外部連携や拡張(いわゆるローコード、API連携)で補う設計も一般的です。重要なのは、業務の目的から逆算して“ちょうどよい道具立て”を選ぶことです。

営業組織で特に効果が出やすいのは、次のような「情報の散らばり」を収束させる取り組みです。たとえば、案件情報がメール、チャット、個人のスプレッドシート、紙のメモに分散していると、マネジメントは実態を掴めず、属人化が進みます。ノーコードで「入力→共有→確認→次アクション」を一連にすると、自然に運用が回りやすくなります。ここはツールの機能よりも、運用設計(誰がいつ何を入れるか)が成功の分かれ目です。

また、ノーコードは「内製化(自社で作って回す)」と相性が良い一方で、作った後の改善も容易です。営業の現場では運用を始めてから「この項目いらない」「この入力が面倒」「この一覧が見たい」が必ず出ます。ノーコードはその変更を素早く反映できるため、改善のスピードがそのまま競争力になります。ITに詳しくない組織ほど、完璧を目指すより「まず回して、すぐ直す」進め方が現実的です。

営業・経営者が最初に作るべき定番アプリ(小さく始めて成果を出す)

中小企業でノーコードを導入する際、最初から大きなCRMやSFAを置き換えようとすると負担が大きくなります。成功しやすいのは、日々のムダが見えやすい“痛みの強い業務”から小さく置き換えることです。ここでは、営業・経営者が「最初の1〜3本」として作ると効果が出やすい定番を紹介します。

問い合わせ・リード管理(取りこぼし防止)

Webフォーム、電話、紹介、展示会など、リードの入口が増えるほど取りこぼしが起きます。ノーコードで「問い合わせフォーム→自動登録→担当者通知→対応期限の管理」まで整えると、対応スピードが上がり、機会損失が減ります。特に、担当者が不在のときに誰も追えない状態は、仕組みで解消できます。

  • フォーム送信でリードを一元登録
  • 担当者を自動割り当て(地域/業界/当番制など)
  • 初回連絡期限を自動設定し、未対応をアラート

案件ボード(進捗の見える化)

「今月どれだけ見込みがあるか」「止まっている案件はどれか」を把握できないと、打ち手が遅れます。案件ボードは、ステータスと次アクション日だけでも十分価値があります。会議のたびに資料を作るのではなく、システムを見れば状況がわかる状態を作るのが狙いです。

  • 案件名、顧客、金額、確度、次回アクション日を最低限にする
  • 「最終更新日」が古い案件を自動で抽出する
  • 会議用に「今週の要フォロー案件」ビューを用意する

見積依頼〜承認フロー(スピードと統制を両立)

見積作成が属人化していたり、承認フローがメール往復だったりすると、受注機会を逃しやすくなります。ノーコードなら、見積依頼フォームと承認ステータスを作り、関係者に通知できます。金額帯ごとに承認者を変えるなど、簡易な統制も実現できます。

  • 見積依頼の必須項目を揃え、前提の抜け漏れを減らす
  • 承認待ち・差し戻し・承認済みを一覧化する
  • 承認完了で見積書テンプレに転記(可能な範囲で自動化)

日報・週報(入力負荷を下げて情報を集める)

日報が形骸化する原因は、入力が面倒で、書いても活用されないことです。ノーコードで入力項目を最小化し、集計やフィードバックに繋げると定着します。たとえば、訪問/架電数などの活動量よりも、次アクションと障害(困っていること)を短く入力する運用の方が、マネジメントに効きます。

最初のアプリは「完璧な設計」よりも「現場が毎日触れるか」が重要です。入力が増えるほど嫌われます。項目を削る勇気が、定着率を上げることを覚えておいてください。

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ITが苦手でも失敗しないノーコード導入手順(現場主導で回す)

ノーコード導入を成功させるには、「何のツールを入れるか」より「どう進めるか」が重要です。特にITが得意でない組織では、最初のつまずきがそのまま挫折に直結します。ここでは、営業組織でも実行しやすい導入手順を、現場目線で整理します。

  1. 目的を1行で決める:例「問い合わせの初動を24時間以内にする」「案件の停滞を減らす」など、行動や結果に落とす
  2. 対象業務を“紙芝居”で描く:誰が、いつ、何を受け取り、どこに入力し、誰が見るか。図でOK
  3. データ項目を半分に削る:最初から網羅しない。運用してから増やす
  4. まずは1チーム・1ヶ月で試す:全社展開を急がず、使われる形を作る
  5. 週1回の改善会を15分だけ回す:「困った点」「直したい点」を集め、その場で直す(できないならバックログ化)

ポイントは、システム開発のように仕様書を固めないことです。ノーコードは「作ってみて気づく」ことが前提の道具です。営業の現場では、運用して初めて「入力のタイミング」「必要な一覧」「例外処理」が見えます。小さく作り、早く触り、短い周期で直すのが最適解です。

また、導入時には「責任者」を明確にしてください。ここでいう責任者は、ITの責任者ではなく業務の責任者です。たとえば営業マネージャーが「入力ルール」と「使い方」を決め、例外を裁く役になります。ツールだけ入れても、ルールがないと入力が揃わず、結局エクセルに戻ります。

小さな運用ルールの例を挙げます。

  • 商談後24時間以内に「次アクション日」と「メモ1行」を入れる
  • ステータスは必ず1つだけ選ぶ(自由記述で混ぜない)
  • 会議では資料を作らず、ボードの画面を見て話す

そして、導入初期に必ず起きるのが「既存データ移行」の悩みです。結論としては、最初から完璧に移行しない方がうまくいきます。重要なのは過去の全履歴より、これからの運用です。過去分は「必要になったら参照できる」程度で割り切り、直近の重要顧客・案件だけを移すなど、段階的に進めると負担が減ります。

最後に、セキュリティと権限も最低限は押さえましょう。顧客情報を扱う以上、誰でも全件見られる状態は避けたいケースがあります。ノーコードツールには、閲覧・編集権限の設定や、アクセスログ、二要素認証などが用意されていることがあります。「便利だから全員にフル権限」ではなく、業務上必要な範囲で開くのが基本です。

現場でよくあるつまずきと回避策(“使われない”を防ぐ)

ノーコードは導入が速い一方で、「作ったのに使われない」という失敗も起きやすいです。原因はツールの性能ではなく、現場運用と設計のズレにあることがほとんどです。ここでは、営業組織で頻発するつまずきを、回避策とセットで紹介します。

入力が面倒で更新されない

入力項目が多い、スマホで入力しづらい、入力タイミングが曖昧。これらが重なると更新が止まります。回避策はシンプルで、入力を「最小の必須項目」にして、入力の瞬間を業務フローに埋め込むことです。たとえば「商談終了後にその場でスマホから1分で入力」「フォーム入力で自動的に案件が作られる」など、手作業を減らします。

ルールが統一されず、データが汚れる

「会社名の表記ゆれ」「ステータスが自由記述」「担当者が複数名で曖昧」などは、集計や検索を一気に難しくします。回避策は、選択式(プルダウン)を増やし、自由記述を減らすことです。自由記述が必要な場合は「メモ欄」に閉じ込め、集計に使う項目は選択式に寄せると、後々の改善が楽になります。

ツールが増えて逆に混乱する

チャット、メール、スプレッドシート、既存CRM、ノーコードアプリが混在すると、どれが正か分からなくなります。回避策は「正本(マスタ)をどこに置くか」を決めることです。たとえば「案件のステータスはノーコードが正」「やりとりはチャットだが、決定事項はノーコードに転記」など、役割分担を明確にします。

属人化して、作った人がいなくなると止まる

ノーコードは個人でも作れるため、逆にブラックボックス化することがあります。回避策は、最初から「運用担当」を複数名にし、設定の考え方を共有することです。具体的には、フィールド定義(項目の意味)、入力ルール、通知条件、権限を簡単なドキュメントにまとめます。難しい仕様書ではなく、A4一枚の運用ルールで十分です。

効果が見えず、改善が止まる

「便利になった気はするが、成果が分からない」状態だと、優先度が下がります。回避策は、最初に決めた目的に紐づく指標を1〜2個だけ追うことです。たとえば「初回連絡までの時間」「停滞案件数」「見積作成リードタイム」などです。数字が動くと、現場の納得感が出て改善が続きます。

ノーコード活用の本質は、ツール導入ではなく業務改善の習慣化です。“作って終わり”ではなく、“使って直す”を前提にすると、失敗確率は大きく下がります。

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ノーコードと生成AIを組み合わせると営業はさらに強くなる

ITに詳しくない営業組織ほど、ノーコードに加えて生成AI(文章生成や要約を行うAI)を組み合わせると効果が出やすくなります。理由は、営業の業務には「文章」「整理」「要点抽出」「転記」が多く、ここがボトルネックになりやすいからです。ノーコードは“仕組み化”、生成AIは“作業の軽量化”に強く、両方が揃うと業務の流れが一段スムーズになります。

たとえば、次のような組み合わせが現実的です。

  • 商談メモの要約:面談メモを貼り付けると、要点・次アクション・リスクを要約し、ノーコードの案件欄に転記する
  • 提案文の下書き:顧客課題と要件を入力すると、提案メールの叩き台を作り、担当者が整える
  • FAQの整備:問い合わせ内容を分類し、回答テンプレを生成してチームのナレッジ化を進める

ここでの注意点は、AIに丸投げしないことです。営業文書には事実関係、金額、納期、契約条件など、間違えると大きなトラブルになる情報が含まれます。生成AIの出力はあくまで下書きと捉え、最終確認は人が行う運用を前提にしましょう。

また、生成AIを使う場合は情報管理も重要です。顧客の機密情報や個人情報を入力する前に、利用ツールの設定(学習利用の有無、データ保持、権限)を確認し、社内ルールを定める必要があります。ノーコード側でも、閲覧権限や共有範囲を適切に設定して、必要最小限のアクセスに抑えます。

うまく進めるコツは、最初に「AIがやること」と「人がやること」を分けることです。AIはスピードとたたき台作成が得意、人は判断と責任を持つ領域が得意です。ノーコードで業務の入口と出口を揃え、AIで途中の文章作業を軽くする。これにより、営業が本来注力すべき“顧客理解と提案”に時間を戻すことができます。

まとめ

ノーコードは、IT知識がない営業でも「業務の言葉」で仕組みを作れるため、中小企業の現場改善と相性が良い手段です。ポイントは、最初から大きなシステムを目指さず、問い合わせ管理や案件ボード、見積フロー、日報など「痛みの強い部分」を小さく置き換えて成果を出すことでした。

導入を成功させるには、目的を1行で定義し、項目を絞り、1チームで試して改善する流れが有効です。入力が面倒、ルールが統一されない、ツールが増えて混乱する、といったつまずきは、運用ルールの設計と権限・データ設計の工夫で回避できます。さらに生成AIと組み合わせれば、要約や下書きなどの作業を軽くし、営業の時間を提案活動へ戻せます。

もし「自社の業務に合うノーコードの選び方が分からない」「現場が回る運用設計まで一緒に作りたい」「将来的にシステム開発へ拡張したい」という場合は、伴走支援を検討するのが近道です。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

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