Glideのデータ管理方法|Googleスプレッドシート連携の仕組み

「現場で使える業務アプリを早く作りたい。でも、データ管理やシート連携がよく分からない」——そんな中小企業の経営者・営業マネージャーの方に向けて、Glide(グライド)のデータ管理の考え方と、Googleスプレッドシート連携の仕組みを、専門用語をかみ砕いて解説します。

Glideは、表(テーブル)形式のデータをもとにアプリを作るノーコード/ローコードツールです。ポイントは「アプリの画面」よりも先に「データの置き方」を決めること。ここが整理できると、入力ミスが減り、集計や共有が楽になり、運用も安定します。

Glideのデータ管理は「アプリの裏側にある台帳」を整えること

Glideで作るアプリは、見た目はスマホアプリでも、裏側では業務の台帳(顧客台帳、案件台帳、在庫台帳など)が動いています。台帳の形が整っていないと、次のような困りごとが起きがちです。

  • 顧客名の表記ゆれ(株式会社/(株)など)で検索や集計が崩れる
  • 同じ顧客が複数行に重複し、履歴が追えない
  • 担当者ごとに入力項目がバラバラで、商談状況が見えない
  • 「案件」と「顧客」を同じ表に混ぜてしまい、更新が地獄になる

Glideのデータ管理を理解するうえで大切なのは、データを「1枚の表」で済ませようとしないことです。業務はたいてい複数の台帳で回っています。たとえば営業なら、顧客(会社)・担当者(人物)・商談(案件)・活動履歴(ログ)・商品(マスタ)といった具合です。

Glideでは、これらをテーブル(表)として分けて持ち、必要に応じて紐づけて表示します。紐づけは難しく聞こえますが、現実の業務でいう「顧客を開くと、その顧客の案件一覧が見える」のをデータで実現するイメージです。

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Googleスプレッドシート連携の仕組み:どこが“正”のデータかを決める

GlideはGoogleスプレッドシートをデータソースとして利用できます。ここで押さえたいのは、「どのデータを正本(マスター)として運用するか」です。運用の選択肢は大きく2つあります。

運用パターンA:Googleスプレッドシートを正本にする

  • 既にスプレッドシートで管理している業務(顧客リスト、案件表など)に向く
  • 社内の“台帳文化”を崩さずにアプリ化できる
  • 一方で、複雑な参照や大量データでは設計に工夫が必要

運用パターンB:Glide側(Glide Tables等)を正本にする

  • アプリ中心に入力・運用したい場合に向く
  • 権限・パフォーマンス・データ型の扱いが安定しやすい
  • 一方で、既存のスプレッドシート運用からの移行が必要

本記事のテーマである「Googleスプレッドシート連携」を前提にするなら、まずはパターンAが現実的です。ただし、スプレッドシートを正本にする場合でも、アプリ側での入力が増えると、入力ルール・権限・重複防止の設計が重要になります。つまり「連携できる」ことと「事故なく運用できる」ことは別問題です。

スプレッドシート連携のイメージを一言で言うと、Glideがシートの内容を読み書きして、アプリ画面に反映する仕組みです。例えば営業担当がアプリから商談ステータスを更新すると、その値がシートにも書き戻されます。逆に、管理者がシートで一括更新した内容がアプリに反映される運用も可能です。

データ設計の基本:1行=1レコード、IDでつなぐ、履歴は別表にする

スプレッドシート連携で失敗しやすいのは、「Excel的に便利な表」をそのままアプリに持ち込むことです。Glideでは、業務アプリとして扱いやすい形(正規化に近い考え方)を意識すると安定します。ポイントは次の3つです。

1行=1レコード(“一覧にしたい単位”を揃える)

「案件表」の1行は1案件、「顧客表」の1行は1社、というように、単位を崩さないのが基本です。よくあるNG例は、1行に複数の案件をカンマ区切りで入れたり、セル内改行で履歴を書いたりすること。見た目は1行でまとまりますが、検索・フィルタ・集計・権限のどれも壊れやすくなります。

IDでつなぐ(名前ではなく“番号”で紐づける)

顧客名で紐づけると表記ゆれや社名変更で破綻します。そこで、顧客ごとに顧客IDを付け、案件表には顧客IDを入れて紐づけます。例えば下のような形です。

Customers(顧客表)
customer_id | company_name | industry
C0001       | 株式会社A     | 製造
C0002       | 株式会社B     | 建設

Deals(案件表)
deal_id | customer_id | deal_name     | stage
D0101   | C0001       | 更新提案      | 提案中
D0102   | C0002       | 新規導入      | 見込み

これで「株式会社A」が「(株)A」に変わっても、C0001が同じならデータは崩れません。Glideでも、こうしたIDベースの設計が後々効いてきます。

履歴(活動ログ)は別表にする

「いつ誰が電話した」「いつ見積を送った」などの活動履歴を案件表に詰め込むと、すぐに限界が来ます。履歴は増え続けるため、別表(Activities)を作り、deal_idで紐づけるのが定石です。“増えるものは別表にする”と、検索も集計も見通しが良くなります。

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Glide×スプレッドシートでよくある業務シーン別:テーブル構成例

ここでは、専門知識がなくてもイメージしやすいように、典型的な業務アプリの台帳(テーブル)構成例を紹介します。Glideでアプリを作るときは、まず「何を一覧で見たいか」「何を入力したいか」を起点に、表を分けて考えるとスムーズです。

営業進捗管理(SFA簡易版)

  • Customers(顧客):顧客ID、会社名、住所、担当部署など
  • Contacts(担当者):人物ID、顧客ID、氏名、役職、メール
  • Deals(案件):案件ID、顧客ID、案件名、金額、確度、ステージ
  • Activities(活動):活動ID、案件ID、日時、種別(電話/訪問/メール)、内容
  • Users(社内ユーザー):メール、氏名、権限、担当エリア

この構成だと、顧客画面から案件一覧、案件画面から活動履歴が自然につながります。さらに、担当者のメールアドレスをキーにして「自分の案件だけ表示」も実装しやすくなります。

在庫・発注管理(倉庫が小規模な企業向け)

  • Items(商品マスタ):商品ID、商品名、規格、単位、仕入先ID
  • Stocks(在庫):商品ID、倉庫、現在庫数、最終更新日
  • StockMoves(入出庫履歴):履歴ID、商品ID、増減数、理由、担当者、日時
  • Vendors(仕入先):仕入先ID、会社名、連絡先

在庫数を「計算で出す」のか「直接更新する」のかは運用次第です。現場入力が多い場合は、履歴から計算するより、在庫表を更新する方がミスに気づきやすいこともあります。重要なのは、誰がどこで更新し、どこで監査(チェック)するかを決めることです。

連携・運用で失敗しないための注意点:権限、入力ルール、データ品質

GlideとGoogleスプレッドシートの連携は便利ですが、運用が回り始めると「人が増える」「入力が増える」「例外が増える」ことで、データが荒れやすくなります。ここでは、よくある落とし穴と回避策をまとめます。

スプレッドシートを直接触る人を増やしすぎない

シートは自由度が高い分、列の並び替え、誤削除、関数の上書きなどが起こりやすい場所です。可能なら、現場入力はGlideアプリ側に寄せ、シート編集は管理者に限定します。どうしても複数人が触る場合は、編集して良い列・触ってはいけない列を明確化し、保護範囲や権限設定も検討してください。

入力の“揺れ”を設計で潰す(選択式、必須項目、初期値)

「ステージ:提案中/提案/提案済み」など表記が揺れると、集計が壊れます。Glideでは、選択肢(ドロップダウン)や必須入力、初期値を活用し、入力者の判断を減らすのが有効です。入力ルールを“お願い”ではなく“仕組み”にすると、運用が長続きします。

重複データを作らない導線(検索→選択→新規作成)

顧客登録で同じ会社が二重に作られるのは典型的な事故です。新規作成ボタンを押す前に「既存顧客を検索して選ぶ」導線を用意し、近い名前があれば候補を出すなど、UI/UXで防ぎます。スプレッドシート側で重複チェック関数を置くだけでは、運用の現場ではすり抜けが起きやすい点に注意が必要です。

運用開始後に増える「例外」を吸収できる列設計

最初はシンプルでも、「紹介元」「代理店」「失注理由」「競合」など、後から列が増えるのが現実です。追加できる設計にしておけば問題ありませんが、列追加が頻発すると現場は混乱します。対策として、最初に「将来増えそうな項目」を棚卸しし、最低限の拡張余地(メモ欄やタグ欄)を持たせるのが有効です。

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導入の進め方:小さく作って、データを整えながら育てる

GlideとGoogleスプレッドシート連携で業務アプリを導入するなら、最初から完璧を目指すより、スモールスタートがおすすめです。理由はシンプルで、運用して初めて「必要な項目」「見たい指標」「入力の詰まりどころ」が見えるからです。

  1. 目的を1つに絞る(例:営業会議で案件の最新ステージが見えるようにする)
  2. テーブルを最小構成で作る(Customers/Deals程度から開始)
  3. 入力者を限定して試す(まずは1チーム、1拠点)
  4. 週1回の改善サイクル(入力が詰まった箇所、重複、例外を潰す)
  5. 全社展開前に権限とルールを固める(誰が何を更新するかを明文化)

特に中小企業では、「ツール導入」より「業務の回り方」を整える方が難しいケースが多いです。Glideはその調整を短期間で回せるのが強みですが、データ管理の骨格(ID、テーブル分割、権限)を外すと、後で作り直しになりがちです。最初に“崩れにくい型”を作ることが、最短ルートになります。

まとめ

Glideのデータ管理は、「アプリを作る」以前に「台帳を整える」ことが本質です。Googleスプレッドシート連携は取り組みやすい一方で、誰がどこで更新するか、重複や表記ゆれをどう防ぐかといった運用設計が成果を左右します。

  • テーブル(表)は業務単位で分け、1行=1レコードを守る
  • 名前ではなくIDで紐づけ、社名変更や表記ゆれに強くする
  • 履歴は別表にして、増え続けるデータを安全に扱う
  • 入力ルールはお願いではなく、選択式や必須項目で仕組み化する
  • 小さく始めて、運用しながらデータ品質を上げていく

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