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まず切り分け:どの「Copilot」が、どこで使えない?
「Copilotが使えない」「ボタンが表示されない」といっても、実は対象がいくつかあります。MicrosoftのCopilotは、Windows、Edge、Microsoft 365(Word/Excel/PowerPoint/Outlook/Teams)、GitHubなど複数の製品にまたがって提供されており、原因も対処も変わります。最初にここを誤ると、設定をいくら見直しても直りません。
非エンジニアの方でも確実に切り分けられるよう、次の質問に答えてください。
- どの画面で出ない?(例:WordのリボンにCopilotがない/TeamsのCopilotが見当たらない/WindowsのCopilotが開かない)
- 会社アカウント?個人アカウント?(職場/学校アカウント、Microsoftアカウント)
- 何が起きている?(ボタンがない/押すとエラー/サインインできない/回答が返らない)
- いつから?(昨日まで使えた→更新・ポリシー変更の可能性、最初から出ない→ライセンス/前提条件の可能性)
以降は「原因別チェックリスト」として、情シスが確認すべきポイントと、現場側が自分で試せるポイントを分けて説明します。なお製品ごとに呼び名が揺れるため、本記事では総称としてCopilotと呼びつつ、必要に応じて「Microsoft 365のCopilot」「TeamsのCopilot」など対象を明示します。
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最優先で確認:ライセンス・アカウント・組織設定(ここが原因の最多)
表示されない原因で最も多いのは、端末不具合ではなく権限・契約・組織設定です。特に中小企業では「導入したつもり」で一部ユーザーにライセンスが付いていない、逆に大企業では「セキュリティポリシーで無効化されている」ケースが頻発します。
ライセンスが付与されているか(Microsoft 365/Teamsの場合)
Microsoft 365アプリ(Word/Excel等)にCopilotを出すには、対象ユーザーにCopilot利用権が割り当てられている必要があります。現場の方は「管理者に確認してください」で終わりがちですが、情シス側は次の観点で確認すると早いです。
- ユーザー単位でライセンス割当がされているか(グループベース割当の場合、反映遅延や例外ユーザーが発生しやすい)
- 複数テナント/複数アカウントを使っていないか(同じPCで別アカウントにサインインしていると「あるはずのCopilotがない」状態になります)
- Teams/Outlookなどアプリごとに利用条件が異なるため、「どのアプリで出ないのか」を固定して確認する
現場の方ができるチェックとしては、Officeアプリ右上のアカウント表示で「いまどのアカウントでサインインしているか」を確認し、会社支給の正しいアカウントに切り替えることです。意外に「個人アカウントでOfficeを使っていた」だけでCopilotが消えていることがあります。
組織のポリシーでCopilotが制限されていないか
大企業の情シスでは、情報漏えい対策としてCopilotや外部接続を制限していることがあります。結果として、ボタンが出ない・起動できない・応答が返らないといった症状になります。ここで重要なのは、「不具合」ではなく「設計どおり」の場合がある点です。
- Copilot関連の管理設定(利用可否、対象ユーザー、データ境界)
- 条件付きアクセス(特定ネットワーク/端末のみ許可など)
- プロキシ/ファイアウォールでの遮断(特定ドメインやWebSocketがブロックされると応答が止まることがあります)
現場側は、社外ネットワーク(自宅回線やテザリング)でのみ動く/動かないといった差がないかを確認し、情シスに伝えるだけでも切り分けが進みます。「会社Wi-Fiだとダメでスマホ回線だと動く」ならネットワーク制御の可能性が高い、という具合です。
「表示されない」パターン別:アプリごとの見え方チェック(Word/Excel/Teams/Edge/Windows)
同じCopilotでも、表示場所や条件が異なります。「本当に表示されるべき場所」を確認することで、誤解による問い合わせを減らせます。ここでは代表例を挙げます。
Word/Excel/PowerPointでCopilotが見当たらない
Microsoft 365アプリでは、Copilotはリボンや専用ボタン、サイドパネルとして表示されます。ただし、古いバージョンや更新が止まっている端末では出ません。また、同じWordでも「永続ライセンス(買い切り)」と「Microsoft 365サブスクリプション」で挙動が異なることがあります。
- Officeが最新状態か(更新チャネルや更新停止の有無)
- アプリのサインイン状態(右上に会社アカウントが表示されているか)
- 一部アドインやセキュリティソフトがUI表示を阻害していないか
現場でできる対処としては、いったんOfficeアプリを終了→再起動、次にPC再起動です。単純ですが、更新適用後にUIが反映されていないだけのケースが少なくありません。
TeamsでCopilotがない/会議中に使えない
TeamsのCopilotは、チャット・会議・要約など利用シーンにより表示条件が変わります。会議で使えない場合、単に「会議の形式」や「参加者の権限」によることもあります。会議の録画/文字起こしの設定や、会議ポリシーが絡むと、ユーザー側ではどうにもできません。
- Teamsアプリが新しいか(クラシック/新Teamsで機能差が出ることがあります)
- 会議の開催者・参加者の権限差(開催者側でしか操作できない項目がある)
- 会議ポリシー(録画・文字起こし・外部ゲスト制限)による機能制限
現場が情シスに伝えるべき情報は「会議URL」「開催者」「日時」「どの画面にCopilotが出ないか(会議中/会議後/チャット)」です。これだけで調査の速度が上がります。
EdgeやWindowsでCopilotが開かない/表示されない
EdgeサイドバーやWindows側のCopilotは、OSバージョン、地域設定、組織のポリシーの影響を強く受けます。特に会社PCでは、不要機能を無効化するポリシーが適用されていることが多く、ユーザーがいくら設定を触っても戻される場合があります。
- Windows/Edgeの更新状況(更新停止だと新機能が入らない)
- 組織管理端末(Intune等)での機能制御
- 地域/言語設定(環境により提供状況が異なる場合がある)
ここでのポイントは、「個人PCでは出るのに会社PCでは出ない」なら、端末管理(MDM)やグループポリシーが原因の可能性が高いことです。
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サインイン・ネットワーク・端末の基本チェック(よくある落とし穴)
ライセンスやポリシーが問題ない場合、次に疑うのはサインイン状態と通信経路と端末側の更新です。Copilotはクラウド連携が前提なので、ネットワーク制限や認証のねじれがあると症状が出ます。
サインインのねじれ(複数アカウント混在)
OfficeやTeams、Windowsに「個人アカウント」と「職場アカウント」が混在していると、Copilotが表示されない・権限エラーになる原因になります。よくあるのは、PCのサインインは会社アカウントだが、Officeだけ個人アカウントで有効化している、という状態です。
- Officeアプリ右上のアカウント表示を確認し、利用したい会社アカウントで統一する
- Teamsのアカウント切替で別テナントに入っていないか確認
- ブラウザ(Edge/Chrome)に保存された別アカウントで自動ログインしていないか
情シス側では、SSOやMFA、条件付きアクセスのログを確認すると「正しいアカウントで認証できているか」「ブロックされているか」が判断できます。
ネットワーク(プロキシ/SSL検査/遮断)
会社ネットワークでのみCopilotが動かない場合、プロキシやSSL検査、カテゴリフィルタリングが影響している可能性があります。症状としては「読み込み中のまま」「送信できない」「エラーで落ちる」などが多いです。Copilotは対話のため通信が頻繁なので、少しの制限でも顕在化します。
- 社外ネットワーク(テザリング等)で再現するか比較
- VPN接続時のみ発生するか確認
- セキュリティ製品(Webフィルタ、EDR)のブロック履歴を確認
現場ができる範囲では、同じ端末で「会社Wi-Fi」と「スマホ回線」を切り替えて結果をメモするだけでも有効です。情シスが原因究明を行う際の重要な手がかりになります。
端末更新・アプリ更新(特にOffice/Teams)
Copilotは段階的に機能追加されるため、更新が止まっている環境では「そもそも機能が降りてきていない」ことがあります。特に、更新を管理者が制御している企業では、アプリ更新が遅れがちです。
- Windows Updateが長期間止まっていないか
- Teams/Officeの更新が適用されているか
- 再起動待ちの更新が溜まっていないか
更新に関しては、ユーザーに管理者権限がない場合が多いので、情シスで「更新を許可・配布する運用」になっているかの確認が必要です。
エラーが出る・回答が返らない時の具体的対処(現場でできる順)
ボタンはあるのに使えない場合、まずは現場でできる対処を順番に試すのが現実的です。ポイントは、闇雲に設定を触らず「影響の小さい順」に行うことです。
- アプリ再起動→PC再起動(更新反映・キャッシュ不整合を解消)
- サインアウト→サインイン(Office/Teams/ブラウザ)
- 別の接続で試す(会社Wi-Fi→テザリング、VPNオフで試す等)
- 別アプリで試す(TeamsでダメならWeb版Teams、OfficeならWeb版Wordなど)
- 同僚のアカウント/別端末で再現するか確認(個人原因か環境原因か切り分け)
この時、エラー内容はスクリーンショットではなく、可能ならエラーメッセージの文言をテキストで残してください。情シスやベンダーへの問い合わせ時に検索・照合ができ、対応が早くなります。
「管理者により無効化されています」系の表示
この表示が出る場合、ユーザー側で直すのはほぼ不可能です。組織ポリシー、条件付きアクセス、ライセンス未付与などが疑われます。現場から情シスへは次の情報を渡すとスムーズです。
- どのCopilotか(Word/Teams/Windowsなど)
- いつから発生したか
- 社内ネットワーク/社外ネットワークで差があるか
- エラーメッセージ全文
「読み込み中のまま」「応答が返らない」系の症状
ネットワーク、プロキシ、ブラウザの拡張機能、セキュリティ製品、あるいはサービス側の一時障害が考えられます。まずはWeb版で同様か確認し、同時に社内の他ユーザーで再現するかも見ます。複数人で同時に起きるなら、端末ではなく環境側の可能性が高いです。
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情シス向け:問い合わせを減らすための運用チェックリスト
Copilotは「導入して終わり」ではなく、ライセンス管理・更新管理・利用ルール整備がないと、現場の「動かない」問い合わせが雪だるま式に増えます。ここでは、情シスが押さえると効果が大きいポイントをまとめます。
ユーザー配布設計(誰に、何を、どこまで許可するか)
- 対象部門と対象アプリ(Teamsだけ先行、Officeは段階導入など)
- 機密情報の取り扱いルール(入力してよい情報・禁止情報の具体例)
- ゲスト/外部共有時の制御(会議・チャットの扱い)
「使っていいか不安」で現場が使わないケースも多いため、禁止事項だけでなく「こういう業務なら使ってOK」という例を出すと定着します。例えば、議事録の要約、メールのたたき台、社内規程の要点抽出などです。
更新管理・端末要件の標準化
Copilotが表示されない原因を減らすには、端末とアプリのバージョン差を小さくするのが近道です。現場任せにすると更新が止まり、特定のPCだけ使えない状態が発生します。
- Windows Update/Office更新の運用(適用タイミング、例外端末の扱い)
- Teamsの新旧クライアント混在を避ける
- プロキシ/SSL検査の例外設計(必要に応じて)
一次切り分けテンプレ(現場→情シスの情報不足を防ぐ)
問い合わせ時に最低限必要な情報をフォーム化すると、調査工数が大きく下がります。おすすめ項目は以下です。
- 発生場所(Word/Excel/Teams/Edge/Windows)
- 症状(表示されない/エラー/応答なし)
- 利用アカウント(会社・個人、テナント名)
- 利用端末(OS、社内/社外、VPN有無)
- 再現手順とエラーメッセージ
これだけで、「まずライセンスを確認」「まずネットワークを確認」といった判断が即座にでき、現場の待ち時間も減ります。
まとめ
Copilotが使えない・表示されない時は、まず「どのCopilotが、どの画面で」起きているかを切り分けるのが最短ルートです。原因の多くは端末故障ではなく、ライセンス未付与、アカウント混在、組織ポリシー、ネットワーク制限、更新停止といった運用・設定にあります。
- 最初にライセンスとサインインアカウントを確認する
- 次に社内/社外ネットワークやVPNで差が出るかを確認する
- Office/Teams/Windows/Edgeの更新状況を揃える
- 情シスは問い合わせテンプレと配布設計で「動かない」を減らす
もし「原因が複合していて切り分けが難しい」「ポリシーとセキュリティを崩さずにCopilotを使いたい」といった場合は、現状の運用を踏まえた設計が必要です。社内ルールに沿った導入フローや、対象部門の段階展開、プロンプト設計まで含めて整えると、現場の生産性向上につながります。
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