初めてのシステム開発発注ガイド:システムあるある疑問の解決方法

システム開発の外注(発注)は初めてで何から手を付ければいいの? そんな不安をお持ちの方向けに、システム開発を初めて発注する際に知っておきたいポイントをまとめました。専門知識がなくても理解できるように、基本的な流れから費用・契約面の注意点、そして成功事例までわかりやすく解説します。この記事を読めば、システム開発を初めて外注する方でも安心してプロジェクトを進めるための道筋が見えてきます。

システム開発を初めて発注する前に知っておきたい基本

まずはシステム開発そのものについて、基本的な知識を押さえましょう。発注に臨む前に、「システム開発とは何か」と「どんな流れで進むのか」を理解しておくと、後のやり取りがスムーズになります。

システム開発とはどんなもの?

システム開発とは、業務の効率化や新しいサービスの提供を目的に、コンピューター上で動作するプログラムやアプリケーションを作成することです。企業の業務システム、ECサイト、スマホアプリなど、私たちが日常で使っている多くのサービスはこのシステム開発によって生み出されています。

システム開発の方法には大きく2種類あります。「スクラッチ開発」はゼロからオリジナルのシステムを構築する方法で、自社の要件にぴったり合わせた開発が可能です。一方、「パッケージ導入」は既存のソフトウェアをカスタマイズして利用する方法で、開発期間やコストを抑えられるメリットがあります。規模や目的に応じて最適な方法を選ぶことになります。

また、開発の進め方(手法)としてウォーターフォール型アジャイル型があります。ウォーターフォール型は要件定義から運用まで工程を順番に完了させていく従来型の手法で、大規模開発に向いています。アジャイル型は短いサイクルで開発とテストを繰り返す手法で、変化に柔軟に対応しやすいのが特徴です。プロジェクトの性質によって適した手法を検討しましょう。

システム開発の基本的な流れ(5つのステップ)

システム開発には一般的に「要件定義」→「設計」→「開発」→「テスト」→「運用」の5つのステップがあります。それぞれの工程で何を行うのか簡単に見てみましょう。

  • 要件定義:まず初めに、どのようなシステムを作りたいのか目的や必要な機能を明確にします。現在の業務課題やユーザーのニーズを洗い出し、開発チームと共有します。ここで認識を揃えておくことが後々のトラブル防止につながります。
  • 設計:要件定義をもとに、システムの構造や画面レイアウト、データベース設計、処理の流れなどを詳細に決定します。開発者が実装しやすいように設計図を作るイメージです。設計を綿密に行うことで、この後の開発工程がスムーズになります。
  • 開発(実装):設計に基づいて実際にプログラミングを行います。フロントエンド(画面側)やバックエンド(サーバー側)のコードを作成し、システム上で必要な機能を形にしていきます。コードの品質を保つためにコーディング規約を定めたり、レビューを行ったりしながら進めることが重要です。
  • テスト:開発したシステムが意図した通り正しく動くか検証します。単体テスト(各部品のテスト)、結合テスト(部品同士を組み合わせたテスト)、システムテスト(全体のテスト)など段階的に実施し、バグや不具合を洗い出して修正します。発注者自身が最終確認を行う受け入れテスト(UAT)もこの段階で行われます。
  • 運用:テストをクリアしたら、いよいよ本番環境でシステムを稼働させます。リリース後は日常的にシステムを使って業務を行いますが、同時にトラブル対応や機能改善のための保守作業も発生します。定期的なメンテナンスや必要に応じたアップデートを行い、システムを安定稼働させていきます。

以上が基本的な開発の流れです。専門的に感じるかもしれませんが、大まかな流れを理解しておくだけでも発注時のコミュニケーションが取りやすくなります。また、開発の目的に合った方法を選び、信頼できる開発パートナーと連携することが成功の鍵となります。次からは、実際に発注する際に気になる「期間」や「費用」について見ていきましょう。

システム開発にはどのくらいの期間がかかる?

「システム開発を頼むと、どれくらいで完成するのだろう?」これは多くの発注初心者が抱く疑問です。開発期間はプロジェクトの規模や内容によって様々ですが、ここでは目安となる期間とスケジュールを短縮する工夫について紹介します。

プロジェクト規模別の開発期間目安

システム開発に必要な期間は、開発するシステムの規模や複雑さによって大きく異なります。以下は一般的な目安です。

  • 小規模プロジェクト(約1~3か月):社内向けの簡単な管理ツールや小さなWebアプリなど。機能がシンプルであれば、要件定義から運用開始まで数週間~数か月程度で完了することもあります。既存のパッケージソフトを少しカスタマイズするようなケースもこの範囲で、比較的短期間で導入可能です。
  • 中規模プロジェクト(約3~6か月):ECサイトや予約管理システムなど、複数の主要機能を持つシステムが該当します。機能が増える分、要件定義や設計に十分な時間をかける必要があり、どうしても開発期間が長めになります。途中で仕様変更が発生するとさらにスケジュールが延びることもあります。
  • 大規模プロジェクト(6か月~1年以上):基幹システムの刷新や大企業向けの業務システムなど大規模な開発です。扱うデータ量が膨大だったり、高いセキュリティが要求される場合、開発に1年以上かかることも珍しくありません。大規模プロジェクトではフェーズごとにシステムを分割し、段階的にリリース(部分運用)していくケースも多いです。

上記はあくまで目安ですが、現実的な納期を設定することが重要です。初めてだと「できるだけ早く欲しい!」と思いがちですが、無理なスケジュールはトラブルのもとになります。発注前に開発会社としっかりコミュニケーションをとり、プロジェクト規模に応じた適切なスケジュール感を共有しましょう。余裕を持った計画を立てることで、結果的に質の高いシステムを得ることにつながります。

開発期間を短縮するための工夫

「それでもできるだけ早くシステムを完成させたい」という場合、いくつか開発期間を短縮する手法があります。代表的な工夫を3つ紹介します。

  • アジャイル開発の採用:開発工程を短いスプリント(期間)に分け、設計・実装・テストを小刻みに繰り返す方法です。開発途中でも優先度の高い機能から順にリリースできるため、全ての要件を最初に決める従来型(ウォーターフォール型)よりもスピーディーに価値を提供できます。また、途中の仕様変更にも柔軟に対応しやすいメリットがあります。
  • MVP(実用最小限の製品)から始める:最初から理想の全機能を盛り込もうとせず、まずは「絶対必要な基本機能」だけを備えたシステムをリリースするアプローチです。運用しながら利用者の反応を見て、順次機能追加・改善を行います。例えばECサイトなら、初期リリースでは「商品閲覧・購入・決済」だけ提供し、後から「レビュー機能」や「おすすめ表示」を追加する、といった形です。これにより無駄な開発を省き、市場のニーズに沿ったシステムを効率的に構築できます。
  • 既存サービスやクラウドの活用:一から全て開発するのではなく、使えるものは積極的に活用する戦略です。例えば、ユーザー認証は既存のライブラリを使う、インフラは自前で構築せずクラウドサービス(SaaSやAPI)を利用する、といった方法です。ゼロから作る部分を減らすことで、開発工数を削減し短期間でのリリースが可能になります。

これらの手法を組み合わせることで、通常は数カ月かかる開発でもスピードアップが期待できます。ただし短縮にはチームの密な連携や迅速な意思決定が必要です。発注側も頻繁に状況確認やフィードバックを行い、開発チームと二人三脚で進める意識を持つと良いでしょう。

システム開発の費用と見積もりのポイント

次に気になるのは費用面です。「一体いくらかかるの?」という疑問に答えるため、システム開発の大まかな費用相場と、見積もりを依頼するときのポイントを説明します。

開発費用の相場と費用が変動する要因

システム開発の費用はプロジェクトの規模実装する機能の内容・数、そして開発体制(依頼先)によって大きく変わります。以下にそれぞれの要因を整理します。

  • プロジェクトの規模:開発するシステムの大きさ(期間や人数)によって費用は上下します。小規模な業務システム(例えば問い合わせフォームや簡易管理ツールなど)であれば、数百万円程度で収まることもあります。一方、ECサイトや予約システムなど中規模の開発では数百万円~数千万円が相場です。さらに基幹システムの刷新や大規模サービスの開発など大規模になると、期間も1年以上に及び、費用も数千万円から数億円規模に達するケースがあります。規模が大きくなるほど必要な工程・人数が増えるため、その分コストも増大します。
  • 機能の内容と数:実装する機能の難易度やボリュームも費用に直結します。例えば、基本的な「ログイン機能」「データ登録・検索」程度であれば比較的低コストで済みます。しかしAIによるデータ解析リアルタイム処理、他サービスとのAPI連携など高度な機能を追加すると、その分開発工数が増え費用も上がります。特にゼロからの独自開発部分が多いほどコストは膨らみがちです。機能ごとに優先度を付け、「必須ではない高度機能は後から検討する」くらいのスタンスでいると、初期費用を抑えやすくなります。
  • 開発体制・依頼先:どこに開発を依頼するか(= 誰が開発するか)も費用に影響します。一般的にフリーランス小規模の開発会社は比較的安価に対応してくれることが多いです。一方で大手のSIerや専門企業に依頼すると、品質管理や手厚いサポート体制の分だけ費用も高めになります。また、近年はオフショア開発(海外の開発会社に委託)を活用してコスト削減を図るケースもあります。オフショアは人件費が低い分安価になりやすいですが、その代わり言語や文化の違いによるコミュニケーションコストが発生する点には注意が必要です。

初めて発注する場合は、いきなり一社に決めず複数の業者から見積もりを取ることも大切です。 提案内容や費用感を比較することで、相場観がつかめるだけでなく、各社の強みや対応も見えてきます。その中から予算と要望に合った開発パートナーを選定すると良いでしょう。

なお、費用を抑えるコツとしては「最初から全部の機能を盛り込まない」ことが挙げられます。前述のMVP方式で必要最低限から始め、使いながら拡張していけば、初期コストを大幅に削減できます。また予算が限られる場合は、必須機能に絞って開発することで「最低限動くもの」をまず手に入れ、その後追加予算が確保できた段階で機能拡充する、といった段階的アプローチも検討しましょう。

見積もりを依頼する際の準備ポイント

開発費用の見積もりを正確に出してもらうためには、発注側での事前準備が重要です。以下の3つを用意しておくと、開発会社との打ち合わせや見積もり取得がスムーズになります。

  • 要件定義書の準備:まず「どんなシステムを開発したいのか」をまとめた資料を作りましょう。いきなり難しく考えず、システムの目的(何を実現したいか)、必要な機能(やりたいことのリスト)、想定ユーザー(誰が使うか)などを箇条書きで構いませんので書き出します。例えばECサイトなら「商品検索」「カート・購入」「決済連携」など、欲しい機能をリストアップします。可能であれば画面のラフスケッチや簡単なデータ項目の一覧なども添えると、開発会社側で具体的なイメージを持ちやすくなり、より精度の高い見積もりが期待できます。
  • 参考となるサイトやアプリの情報:「このサービスのようなシステムを作りたい」という具体的なイメージがある場合は、それを伝えるための参考資料を用意します。たとえば「○○というサイトの使い勝手を参考にしたい」や「△△というアプリのこの機能を取り入れたい」など、市販のサービスを例に挙げると相手に伝わりやすいです。UIデザインの雰囲気や機能面での希望を具体例で示すことで、認識のズレを防ぎ、必要な工数の見積もりもしやすくなります。
  • 予算の目安:可能な範囲で構いませんので、どれくらいの予算を考えているかも事前に伝えられるようにしましょう。予算上限が明確だと、「その範囲内で実現可能な開発内容」を相手が提案しやすくなり、無駄のない打ち合わせができます。例えば「予算○○万円以内でできる範囲を提案してほしい」と伝えれば、開発会社側もコストに見合った機能の優先順位案を出してくれるでしょう。逆に予算感を全く伝えないと、こちらの想定を大幅に上回る見積もりが出てきて調整に時間がかかる…ということにもなりかねません。

これらの準備が整っていれば、見積もり依頼は万全です。「要件定義書」「参考イメージ」「予算目安」の3点セットを持って開発会社に相談すれば、具体的で的確な見積もり・提案を受けることができるでしょう。事前準備をしっかり行い、開発会社とのコミュニケーションを円滑に進めることが、結果的に納得のいく費用で満足のいくシステムを手に入れる近道です。

契約時に確認しておくべき重要ポイント

開発を依頼する会社が決まり、見積もり内容にも納得できたら、正式に契約を結ぶ段階に進みます。契約時には内容をしっかり確認しておくことが大切です。特に初めてシステム開発を発注する場合、以下のポイントを契約書で明確にしておきましょう。

  • 知的財産権(著作権)の帰属:完成したシステムのプログラムやソースコードの権利を誰が持つか、必ず取り決めてください。基本的には開発者側(開発会社)に著作権が発生しますが、契約で「著作権を発注者に譲渡する」と定めれば、発注者(依頼主)が自由にシステムを改変・再利用できるようになります。将来的に自社で手直ししたい可能性があるなら、著作権を自社に帰属させる条項を盛り込むのが安心です(※追加費用が発生するケースもあるので要交渉)。仮に開発会社側に権利が残る場合でも、利用許諾範囲(自社内で自由に使って良いが再配布は禁止…など)を明確に定めておきましょう。
  • 支払い条件:開発費用の支払いタイミングと方法も取り決めます。一般的にはマイルストーン払い(工程の節目ごとに分割払い)を採用することが多いです。「要件定義完了時に○%、開発完了時に○%、納品後に残り○%支払う」などと決めておくと、双方リスクを抑えつつ進行できます。また、契約外の追加開発や仕様変更が発生した場合の追加費用についても、どのように精算するか事前に取り決めておくと安心です(時間単価で精算する、都度見積もりする など)。
  • 納品スケジュールの明確化いつまでに何を納品するかを契約書に明記します。システム開発では当初予定より遅れることもあり得るため、「○年○月末までにβ版提出」「○月までに本番リリース」など具体的なスケジュールを取り決めておきましょう​。さらに、万一納期が遅れた場合の対応(理由によっては○週間の猶予、著しい遅延時の違約金 etc.)についても触れておくとベターです。お互いが責任を持って進めるためにも、スケジュールに関する認識合わせを契約段階で行っておきます。

契約内容を詰める際には、自社の法務担当や必要に応じて弁護士にも確認してもらうとより安心です。知的財産権の帰属、支払い条件、納品スケジュールの3点は特に重要なので、口頭の約束で済まさず必ず文書に落とし込みましょう。契約時に不明点を残さないことが、後々のトラブル防止につながります。双方が納得できる形で契約を交わし、気持ちよくプロジェクトをスタートさせましょう。

要件定義の重要性:何を作るかを最初に明確に!

発注側として最も大切と言っても過言ではないのが要件定義です。要件定義とは「どんなシステムを作りたいのか」「そのシステムに何ができてほしいのか」を具体化する作業ですが、これをおろそかにすると後で大きなシワ寄せが来ます。この章では、要件を洗い出すポイントと、要件定義不足によるリスクについて説明します。

必要な機能を洗い出すには?(業務フローの整理)

システム開発を成功させるには、「本当に必要な機能は何か」を最初に明確にすることが肝心です。闇雲に「あれもこれもできるシステムが欲しい!」と欲張ってしまうと、開発コストが膨らむだけでなく、出来上がったものが使いづらくなってしまうこともあります。そうならないために、以下の手順で要件を整理してみましょう。

  1. 現行業務の課題を洗い出す:まずは今の業務フローを書き出してみて、どこに時間がかかっているか、どこでミスが起きやすいかなど課題点をリストアップします。例えば「○○の集計に毎週半日かかっている」「△△の確認作業でミスが多い」などです。システム化すべきポイントを把握することで、本当に解決したい課題が見えてきます。
  2. 必須機能と追加機能に分ける:次に、考えついた機能を「必須機能」「あれば便利な機能」に仕分けします​必須機能とは業務を回す上で欠かせない機能です。例えば受発注管理システムなら「受注登録」「在庫照会」「請求書発行」は必須でしょう。一方、将来的に余裕があれば入れたい程度のもの(例えば「AIによる需要予測」「リアルタイムのダッシュボード表示」など)は追加機能として扱います。まずは絶対に必要なものに絞って要件定義することがポイントです。
  3. MVPの発想で優先順位付け:可能であれば、前述のMVPの考え方も取り入れます。すなわち「最小限の機能でまずリリースするなら何が必要か?」という視点で必須機能を確認します​。そして追加機能は、基本システムが出来上がってから順次付け加える前提にします。こうすることで、当初の要件定義をシンプルに保ち、無駄な機能を盛り込んで開発が迷走するリスクを減らせます。

このようにして要件を整理すれば、「自社が本当に必要としているシステムの姿」が明らかになります。発注前にここまで考えておくことで、不要な機能にお金をかけたり、逆に必要な機能が漏れていた…といった事態を避けられるでしょう。要件定義はシステム開発の土台です。しっかりと時間を取り、社内関係者とも議論しながら固めていきましょう。

要件が曖昧なままだとどうなる?(仕様変更のリスク)

要件定義をきちんとせずに開発を始めてしまうと、後々「やっぱりこうしたい」「この機能も必要だった」と仕様変更が発生しがちです​。発注側から見ると「ちょっとした変更」のつもりでも、開発現場にとっては大きな影響となるケースが多々あります。

仕様変更が起きると、まず追加の開発作業が必要になるためコスト増につながります​。最初の見積もりには含まれていなかった工数が発生するため、その分費用が膨らんでしまうのです。また、当初計画にない作業を後から組み込むことで開発スケジュールにも遅延が発生しやすくなります​。結果として納期が延び、当初予定していたタイミングでシステムを使い始められない…という事態にもなりかねません。

さらに、開発途中で方針転換があると、関係者との調整にも時間と労力を取られます​。仕様変更の度に要件を詰め直し、設計を見直し、場合によっては既に作った部分を作り直す必要も出てきます。こうした「手戻り」はプロジェクト全体の士気にも影響しかねません。

発注者にとっては仕様変更=自分たちの要望を反映するチャンスでもありますが、安易に繰り返すとプロジェクトが迷走してしまいます。「本当にその変更は今必要か?」後から追加ではダメか?」を冷静に判断することが大切です。そもそも変更自体を最小限に抑えるためにも、やはりスタート時の要件定義段階でしっかり考え抜いておくことが重要と言えるでしょう。

要件定義さえ万全なら、あとは計画に沿って開発を進めるのみです。逆に要件定義が曖昧だと、後工程で何倍もの手間とコストを支払うことになる——システム開発ではよく言われることです。「最初にゴールを明確に描く」これを常に意識しておきましょう。

システム導入後の運用・保守も考えておこう

システムは作って終わりではなく、リリースしてからが本番です。実際に運用が始まると、様々な課題や追加のニーズが出てきます。初めて発注する場合、開発に目が行きがちですが、その後の運用・保守体制についても計画しておくことが大切です。

運用で押さえるべきポイント(バグ対応・機能追加・サーバー管理)

システム稼働後に出てくる主な運用・保守業務は大きく3つあります。それぞれどんな対応が必要か見てみましょう。

  • バグ対応:どんなにテストを重ねても、実際の運用で思わぬ不具合が見つかることがあります。リリース後はユーザーや社内スタッフからのバグ報告を受け付ける窓口を用意し、迅速に対応することが重要です。契約の際に「○ヶ月間の無償バグ修正期間」を設けたり、保守契約でバグ対応を含めておくと安心です。
  • 機能追加・改善:システムを使っているうちに「○○の機能も欲しい」「△△をもっと使いやすくしたい」という要望が出てくるのは自然なことです。新機能の追加開発や既存機能の改善を行う際は、システム全体への影響を考慮した上で慎重に設計・実装する必要があります​。事前に「大きな改修は年○回まで」や「追加予算が確保できた段階で実施」といったルールを決めておくと計画的に対応できます。
  • サーバー管理(インフラ運用):システムを安定稼働させるためには、裏側のサーバーやクラウド環境の管理も欠かせません。定期的な監視やバックアップの実施はもちろん、アクセス増加時のスケール対応(サーバー増強や負荷分散)も考えておきましょう。クラウドを利用している場合は使った分だけ課金されるモデルが多いので、月々のインフラ費用のチェックもお忘れなく。無駄なリソースを放置するとコスト増につながるため、注意が必要です。

以上のような運用タスクは、発注前から視野に入れて準備しておくと安心です。例えば誰がバグ報告を取りまとめるか、どのタイミングで追加開発を検討するか、サーバー担当は誰にするか…といった体制面を社内で決めておくとよいでしょう。システム開発の段階でこれら運用について開発会社と相談しておけば、運用しやすい設計にしてもらえる可能性もあります。

保守契約は結ぶべき?その内容と費用相場

開発会社と保守契約を結ぶかどうかも検討ポイントです。保守契約とは、リリース後のサポートを継続してお願いする契約のことで、不具合修正や機能改良の対応を一定範囲で約束してもらえるものです。「自社にIT担当者がいない」「トラブル時にすぐ駆け付けてほしい」という場合は、契約しておくと心強いでしょう。

保守契約の主な内容は以下の3つです。

  • 契約範囲:サポートしてもらえる内容の範囲です。軽微なバグ修正のみを対象とする基本プランもあれば、小さな機能追加や性能改善まで含めたプランもあります​。自社のシステム規模や重要度に応じて、必要なサポート範囲を選びましょう。
  • 対応時間:トラブル発生時の対応可能時間帯です。平日営業時間内のみ対応の契約から、夜間・休日含め24時間体制で対応してくれる契約まで様々です​。当然ながら手厚いサポートほど費用も高くなるため、予算とリスク許容度に応じて決めます。例えば「深夜にシステムが止まっても翌営業日まで待てる」なら営業時間内対応で十分ですが、「夜中でも止まると困る業務」なら24時間対応を検討すべきでしょう。
  • 費用相場:保守費用はシステムの規模や契約内容によってまちまちですが、月額数万円~数十万円程度が一般的な範囲です​。小規模システムでバグ修正のみの場合は月3万円前後、大規模で24時間対応ともなると月50万円以上になることもあります​。契約期間は1年単位が多いですが、中には月ごとに解約可能なものもあります。費用対効果を考え、自社に合ったプランを選択しましょう。

保守契約を結ぶか迷う場合は、システムの重要度と自社で対処できる範囲を基準に判断すると良いです。万一システムが止まった時に業務がどれだけ影響を受けるか、社内に詳しい人がいて対応できるか、といった観点です。重要なシステムほど保守契約でプロのサポートを得ておく安心感は大きいでしょう。逆に、小さなツールで多少止まっても大丈夫という場合はスポット対応でも済むかもしれません。いずれにせよ、運用後のトラブルを最小限に抑えるために、自社に合った保守体制を検討することが大切です。

開発会社とのコミュニケーションの進め方

初めてシステム開発を外注する際は、「専門会社に任せるけど、ちゃんと意思疎通できるかな…」という不安もあるでしょう。実は、発注後のコミュニケーションがプロジェクト成功の鍵を握っています。開発を依頼したら後は丸投げではなく、適切に関わっていくことが重要です。ここでは、開発会社とのやり取りで押さえておきたいポイントを紹介します。

  • 定期ミーティングの設定:プロジェクト期間中は、少なくとも週1回や隔週など定期的な打ち合わせの場を持ちましょう​。オンラインでも構いませんので、進捗共有や課題の確認を行います。これにより「今どこまで進んでいるか」「困りごとはないか」を把握でき、認識のズレがあれば早期に修正できます。特に仕様の確認事項や意思決定が必要なことは、この場でしっかりすり合わせましょう。
  • 進捗レポートの活用:開発会社によっては週次や月次で進捗レポートを出してくれる場合があります。もし提供されない場合でも、こちらから簡単なレポートをお願いしてみても良いでしょう。タスクの完了状況や次の予定、懸念点などを文章で共有してもらうことで、後から「あの時言った言わない」の食い違いも防げます。レポートを基に社内報告もしやすくなるため、一石二鳥です。
  • チャットツールで日々連絡:メールだけでなく、SlackやChatwork、Teamsといったビジネスチャットを使って日常的にやり取りするのも効果的です。ちょっとした質問や確認事項をリアルタイムで共有できるため、レスポンスが早くなります。テキストで残るので後で検索できる利点もあります。ただし深夜や休日に即レスを求めるなど過度なプレッシャーをかけないよう、マナーは守りましょう。お互い気持ちよくコミュニケーションを取り、協力関係を築くことが成功への近道です。

要は「発注したから安心」ではなく、発注後もプロジェクトメンバーの一員として伴走する意識を持つことが重要です。「こんなこと聞いていいのかな?」と遠慮せず、不明点は早めに確認しましょう。逆に開発会社側からお願いや質問が来た時も迅速に対応します。双方向に円滑なコミュニケーションを心がけて、理想のシステムを一緒に作り上げていきましょう。

仕様変更が発生した場合の対処法

プロジェクトを進めていると、「やはりこの機能も必要かも」「使ってみたらここを改善したい」と仕様変更の要望が出てくることがあります。初めて発注する場合、どこまで対応してもらえるのか心配になるかもしれません。ここでは、仕様変更が生じた際に取るべきステップを説明します。

  1. 追加費用の確認:まず、変更によってどれくらいコストが増えるかを開発会社に見積もってもらいましょう。新しい機能を追加したり仕様を大きく変える場合、当初の契約範囲を超えるため追加費用が発生するのが一般的です。小さな修正程度ならサービスで対応してもらえることもありますが、影響が大きい変更ほど工数=費用がかかります。金額感を把握し、予算内で可能か判断します。
  2. 納期の調整:次に、その変更を反映することでスケジュールにどの程度影響が出るか確認します。新機能追加には開発時間が必要なので、他の作業を並行で進められるか、それとも全体の納期を延ばす必要があるかなど検討が必要です。場合によっては「当初予定していた別の機能の開発を後回しにして、新しい要望を優先する」といった調整も考えられます。開発会社と相談しながら、無理のないスケジュールに再設定しましょう。
  3. 優先度の決定:仕様変更の要望が複数出てきた場合は、優先順位を付けることが大切です​。何でもかんでも盛り込もうとすると予算も納期も青天井に延びてしまいます。そこで「本当に今必要な変更なのか?」「ユーザーにとってどちらが重要か?」を考え、実施する変更・見送る変更を取捨選択します。たとえば致命的な不便を解消する変更はすぐ反映し、それ以外は次期バージョンに回す、といった判断も必要でしょう。ここは発注者としてプロジェクト全体を俯瞰し、決断する場面です。

仕様変更への対応は難しく感じるかもしれませんが、焦らずに一つひとつ確認・調整することが肝心です。開発会社とも遠慮なく相談し、「どうすればベストか」を一緒に考えましょう。変更を加えることで得られる効果と、それに伴うコスト・納期の増加を天秤にかけ、納得のいく判断をすることが重要です。

参考事例:システム開発発注の成功例

実際にシステム開発を発注し、業務改善に成功した事例を2つご紹介します。具体的なケースを見ることで、自社プロジェクトのイメージを掴みやすくなるでしょう。

  • 事例① 日清食品株式会社 – 紙の承認手続きをシステム化し、決裁スピードを大幅短縮
    即席麺で有名な日清食品では、社内稟議(承認)のプロセスに20日以上かかっていました。これを改善するために紙の申請書を廃止し、ワークフローシステムを導入
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    。結果として、決裁業務に要する期間が約20営業日から4営業日程度まで短縮されました​
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    。さらに紙資料の削減によるコストカットも達成しています。発注のポイントは、トップ主導でDX(デジタル化)の方針を打ち出し、開発パートナーと協力して既存業務を徹底的に洗い直したことです。目的を明確にしシンプルなシステムを構築したことで、劇的な業務効率化につながった好例と言えます。
  • 事例② 株式会社ワークマン – 在庫情報を一元化して顧客サービス向上
    作業服やアウトドア用品で知られるワークマンでは、全国の店舗ごとに商品在庫を管理していたため、ネット通販で注文があった際に近隣店舗から商品を融通することができず、欠品や配送遅延が課題となっていました。そこで全店舗の在庫データを共有する仮想倉庫システムを開発し導入​
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    。これにより、ある店舗で在庫切れの商品も別の店舗からすぐ補充できるようになり、特にコロナ禍で配送に時間がかかりがちな中でも迅速な商品引き渡し(最短当日受け取り)が可能となりました​
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    。外部ECモールに頼らず自社サービスで顧客満足度を高めた成功例であり、既存業務の課題をシステムで解決した好例です。

どちらの事例も、「解決したい課題」を明確にし、それにフォーカスしたシステムを構築したことが成功のポイントです。システム開発を発注する際は、自社の課題を他社の事例になぞらえて整理してみると、取るべき方向性が見えてくるかもしれません。

まとめ:初めてのシステム開発発注を成功させるために

初めてシステム開発を発注するにあたって押さえておきたいポイントを駆け足で見てきました。最後に重要な点を整理しておきましょう。

  • 納期には余裕を持つ: 開発には思った以上に時間がかかるものです。ギリギリのスケジュールは避け、計画にはバッファ(余裕期間)を設定しましょう。特に初めてなら、なおさら慎重な計画が吉です。
  • 費用はトータルで考える: 初期の開発費用だけでなく、追加機能開発や保守運用にかかるコストも含めて予算を検討します。後から「保守費用が捻出できない…」とならないよう、長い目で費用計画を立てましょう。
  • 契約内容をしっかり確認: 著作権の扱い、支払い条件、納品スケジュールなど契約事項は細部まで確認し、書面に落とします。不明点は遠慮なく質問し、曖昧さを残さないことが肝心です。
  • 運用も見据える: システムは導入してから育てていくものです。リリース後のサポート体制や社内の担当役割を決め、長く安心して使えるよう準備しておきましょう。

システム開発プロジェクトは、事前の準備と計画が成功のカギを握ります。納期・費用・契約・運用までトータルで考え、自社にとって最適な形でプロジェクトを進めてください。

そして具体的に動き出すにあたり、「まず何から始めればいいの?」と迷ったら、最初のステップは目的の明確化と要件の整理です。 なんとなく「便利になりそう」ではなく、「どんな課題を解決したいのか」「そのためにどんな機能が必要か」を紙に書き出すことから始めましょう​。ここがハッキリすれば、開発会社との打ち合わせも格段にスムーズになります。社内で議論を重ね、要件が固まったら、いよいよ信頼できる開発パートナー探しと見積もり依頼に進みます。

初めての発注で不安もあるかと思いますが、本記事の内容をチェックリスト代わりに活用し、一つ一つ準備を進めてみてください。疑問や不安があれば専門の開発会社に相談するのも有効です。ぜひお気軽にお問い合わせや資料請求を行い、システム開発成功への第一歩を踏み出しましょう!


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