Copilot Studioで自社専用Copilot/エージェントを作る方法

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Copilot Studioとは?「自社専用Copilot」を業務に持ち込むための土台

Copilot Studioは、MicrosoftのAI機能を使って、自社の業務に合わせたCopilot(社内向けAIアシスタント/エージェント)を作って運用するためのサービスです。Excelの関数のような“専門知識がないと触れない開発”とは違い、画面上で会話の流れや参照する情報、実行するアクション(例:メール送信、承認依頼、チケット起票)を組み立てていくイメージに近いです。

ここでいう「自社専用」というのは、一般的な生成AIのように何でも答えるのではなく、あなたの会社のルール・手順・ナレッジ・システムに沿って“業務が進む”回答や処理を返すという意味です。たとえば「経費精算の申請方法」を聞かれたら、社内規程の最新版を参照し、申請フォームのリンクを提示し、必要なら申請の下書きまで作る——というところまでを1つの体験として提供できます。

対象読者が情シスや管理部門の場合、Copilot Studioは「AIを導入する」よりも「業務の入口を整備する」施策に近いです。問い合わせ窓口、手順書検索、申請導線、よくあるQA、一次切り分けなどを、社内に散らばる情報とつなげて統一的に提供できます。結果として、属人化の解消・問い合わせ削減・手戻り削減といった効果が狙えます。

ただし、何でも自動化できる魔法の箱ではありません。うまくいく会社は、まず「どの業務をCopilotに任せるか」「回答の根拠をどこに置くか(規程・手順書・FAQ・チケット履歴など)」「誤回答時の安全策」を設計します。この記事では、Copilot Studioでできること/向いている業務/作り方の流れ/注意点を、非エンジニアの方でも意思決定できる粒度で整理します。

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Copilot Studioでできること:会話だけでなく「業務が動く」まで設計できる

Copilot Studioの強みは、チャットで回答するだけでなく、社内データを参照し、必要な手続きを実行し、記録まで残すところまで一気通貫で組み立てられる点です。現場から見ると「問い合わせ対応の自動化」、情シスから見ると「業務フローの標準化と統制」に近い価値になります。

業務ナレッジの参照(社内規程・手順書・FAQ)

まず大きいのが、社内文書を根拠に回答する“社内向け検索・案内”です。たとえば就業規則、経費規程、情報セキュリティポリシー、SaaS利用ガイド、端末申請手順などを参照し、質問に対して該当箇所を要約して案内します。ポイントは「誰が読んでも同じ結論になる文書」を根拠にすることで、口頭の暗黙知だけに頼ると回答が揺れやすくなります。

アクション実行(申請・起票・通知・更新)

次に、会話を入口として実際の処理につなげられます。典型は「チケット起票」「申請フォーム作成」「承認依頼」「関係者への通知」です。たとえば「PCが遅い」と相談されると、OSや症状をヒアリングして一次切り分けし、必要な情報(端末番号・エラー内容)を集めたうえでヘルプデスクのチケットを自動作成、担当者に通知する——という流れが作れます。

回答の品質と安全策(ガードレール)

生成AIの不安は「それっぽい誤回答」です。Copilot Studioでは、根拠を限定したり、社内の公式文書を優先させたり、危険な手続きは人間の確認に回したりと、“できること”を絞って安全に運用する設計が重要です。たとえば「契約金額の確定」「個人情報を含む回答」「人事評価」などは、回答ではなく担当窓口への誘導と記録に寄せるのが現実的です。

利用ログ・改善運用

導入後に効くのがログです。「何が聞かれているか」「答えられなかったのは何か」「誤解が起きた表現はどれか」を見ながら、FAQを追加したり、文書を直したり、会話の導線を整えたりできます。AIを賢くするというより、業務を整えることで成果が伸びるため、運用体制(誰が直すか、どの頻度で改善するか)まで決めるのが成功のコツです。

向いている業務・向いていない業務:最初のテーマ選定で8割決まる

Copilot Studioを検討するとき、多くの企業が「何から始めるべきか」で止まります。おすすめは、“頻度が高い×標準化できる×根拠がある”業務からです。逆に、判断が高度で例外が多い業務は、最初からフル自動化を狙うと失敗しやすいです。

向いている:問い合わせ削減・手順案内・申請の入口

  • 情シス一次窓口:パスワード再設定、VPN、端末設定、ソフト配布、SaaS利用申請、よくある障害の切り分け
  • 総務・人事の定型QA:休暇、残業、出張、経費、在宅勤務、入退社手続き、社内ルールの案内
  • 営業支援:提案書の雛形案内、社内事例の検索、見積依頼の前捌き
  • 社内ナレッジ検索:規程・手順書・議事録・FAQからの要点抽出(最新版を参照する設計が重要)

これらは「回答の根拠」が用意しやすく、かつ“人がやるほどでもないが、やらないと困る”作業が多い領域です。AIに任せる範囲を「案内・収集・下書き」に寄せると、品質リスクを抑えたまま効果を出しやすいです。

慎重に:例外が多い、責任が重い、情報が機微

  • 個別事情で判断が変わる人事・労務:懲戒、評価、異動など(一般案内に留める)
  • 契約・法務の最終判断:条文解釈やリスク判断(レビュー前の整理・要約は有効)
  • 財務・決算の確定処理:数値確定や仕訳の最終承認(下書きやチェックリスト化が現実的)
  • 個人情報・機密情報を扱う回答:取り扱いルールとアクセス制御が必須

こうした領域でもCopilotが使えないわけではありません。ただし、「回答する」のではなく「必要情報を集めて担当者に渡す」「規程の該当箇所を示す」「チェックリストで抜け漏れを防ぐ」のように、役割を調整するのが安全です。

テーマ選定の簡易チェックとしては、「その質問に対する“公式な答え”が社内にあるか」「答えが毎回変わらないか」「誤回答したときの損害が許容できるか」を確認してください。ここが曖昧だと、Copilot Studio以前に業務が整っていないサインです。

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Copilot Studioで自社専用Copilotを作る流れ:非エンジニアでも進めやすい手順

ここでは「最短で社内PoC(試験導入)を回す」現実的な流れを紹介します。詳細な画面操作よりも、意思決定に必要な観点(何を準備するか、どこで詰まるか)に寄せています。成功する導入は“作る”より先に“整える”が入ります。

ゴールを1つに絞る(例:情シス一次受付を30%削減)

最初は機能を盛り込みすぎない方が早いです。「何でも聞ける社内AI」は魅力的ですが、根拠が薄い領域まで答え始めると誤回答が増え、利用者の信頼が落ちます。たとえば「PCトラブルの一次切り分けとチケット起票」「経費精算の手順案内と申請チェック」など、成果指標が置ける範囲に限定します。

ナレッジ(根拠)を整備する:最新版・正本・更新ルール

Copilotが参照する情報は、“社内にある文書”そのものです。古い規程、版管理が崩れた手順書、担当者ごとのメモが混ざると、回答の品質が揺れます。最低限、次を押さえます。

  • 正本の置き場:ここを見れば正しい、という格納場所を決める
  • 最新版の管理:更新日・版数・改訂履歴を残す
  • FAQ化:問い合わせが多い項目はQ&Aとして短文化する(長文規程だけだと回答が冗長になりやすい)

この段階で「そもそも文書がない」場合は、AI導入の前に文書化の支援が必要です。逆に言えば、ここを整えるだけでも問い合わせが減ることがあります。AIは“整った業務”を増幅する装置です。

会話設計:入口(質問)→分岐→ゴール(案内・起票・エスカレーション)

次に「どんな聞き方が来るか」を想定し、会話の流れを作ります。たとえば情シスなら、「メールが送れない」「Teamsに入れない」「VPNがつながらない」のように、利用者は原因ではなく症状で話します。そこで、症状→確認項目→解決策→解決しない場合の起票の導線を作ると、現場の体験が良くなります。

重要なのは、迷子にしないことです。自由入力を許しつつも、「よくある選択肢」「確認すべき情報(端末種別、OS、エラー文言)」を提示し、必要情報が揃ったら次に進める。これだけで対応品質が上がります。

アクション連携:チケット・メール・承認など“最後の一手”を作る

Copilot Studioの価値が出やすいのは、案内で終わらせずに業務を前に進める部分です。例えば以下のような連携を設計します。

  • チケット起票:必要情報を埋めた状態でヘルプデスクへ送る
  • フォーム生成:申請内容を下書きし、利用者は最終確認して提出
  • 通知:担当者や申請者へ自動連絡(対応漏れ防止)

ここでの勘所は「自動で確定させない」ことです。最初は、AIは下書きまで、確定は人が行うに寄せると、事故を防ぎつつ効果が出ます。

テストと公開:想定外の質問を“歓迎”する

社内公開前に、わざと意地悪な質問(曖昧、短文、別名、略称)を投げてみます。現場は必ず想定外の聞き方をします。そこで詰まった箇所を、FAQや言い換え、誘導文の追加で改善します。公開後も改善する前提で、最初の完成度を追いすぎないのが現実的です。

導入で失敗しがちなポイント:誤回答より怖い「使われない」問題

Copilot Studioの導入がうまくいかない原因は、技術より運用設計にあります。誤回答が怖くて止まるケースもありますが、実務では「作ったのに現場が使わない」「結局担当者に聞いた方が早い」がよく起きます。ここでは、非エンジニアの責任者でもチェックできる“落とし穴”をまとめます。

落とし穴:目的がふわっとしている(便利そう、で止まる)

「AIを入れたい」「Copilotを使いたい」だけだと、判断基準がなくなります。結果、要望を全部盛りにして複雑化し、公開が遅れます。対策は単純で、対象業務・対象ユーザー・削減したい工数を宣言します。例えば「情シス一次対応のうち、手順案内と情報収集をCopilotに寄せる」「月間問い合わせのうち上位20件をまず潰す」などです。

落とし穴:根拠となる文書が散らばっている/古い

Copilotの回答は“会社の公式見解”として受け取られます。根拠が古いと、現場が混乱します。特に規程の改訂が多い会社では、最新版管理が必須です。「正本はここ」「更新したらここに必ず反映」という運用を、AI導入とセットで決めてください。

落とし穴:権限・情報管理が曖昧(見えてはいけないものが見える)

社内データを参照させるほど価値が上がる一方で、権限設計を誤ると事故につながります。部署別の閲覧制限、機密区分、個人情報の扱い、ログの保管方針など、情報システム部門がガードレールを敷く領域があります。まずは公開範囲を狭めてスタートし、段階的に広げるのが安全です。

落とし穴:回答の責任範囲が不明(誰が最終判断する?)

「AIがこう言ったから」でトラブルになるのは避けたいところです。対策は、Copilotの役割を明文化することです。例えば「規程の要約と該当箇所提示は行うが、個別判断は担当者へ」「金額確定は行わない」「例外は窓口へエスカレーション」など、“できる/できない”を先に決めると運用が安定します。

落とし穴:現場導線に入っていない(どこで使うの?)

チャットツール、ポータル、ヘルプデスク、申請システムなど、現場にはすでに導線があります。そこにCopilotがいないと、わざわざ開かれません。使ってほしいなら、日常的に開く場所に配置し、利用を促す導線(例:申請ページの横に配置、問い合わせフォームの前に配置)を作る必要があります。

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活用事例イメージ:中小企業・情シスでも成果が出やすい3パターン

ここでは、Copilot Studioで作る自社専用Copilot(エージェント)の“具体像”を、導入効果が見えやすい形で紹介します。自社に置き換える際は、業務の入口と出口(誰が何を受け取るか)を意識すると設計が進みます。

情シス一次受付Copilot:切り分け→情報収集→チケット起票

よくある課題は「同じ質問が何度も来る」「必要情報が揃わず往復が発生する」です。一次受付Copilotは、症状を聞き取り、端末種別やエラー内容を整理し、解決策を提示します。解決しない場合は、必要項目が埋まったチケットを自動作成して担当者に渡します。担当者側は確認から入れるため、対応が早くなります。

また、対応ログをFAQに反映しやすくなるため、時間が経つほど賢くなるというより“強くなる”運用ができます。ポイントは、トラブルシュートの手順書を整備し、例外時のエスカレーションを明確にすることです。

総務・人事Copilot:規程案内→申請チェック→不足の指摘

休暇、残業、出張、経費などは、ルールが決まっている一方で、利用者が読まないために問い合わせが発生します。ここでは、Copilotが規程を要約して案内し、申請前にチェックリストで確認します。たとえば経費なら、領収書の要件、勘定科目の選び方、添付の注意点などを質問形式で確認し、不足があれば提出前に指摘します。

「却下や差し戻しが減る」ことで、現場も管理部門も得をします。特に大企業情シスの場合、申請システムが複雑になりがちなので、入口の案内があるだけで問い合わせが減ります。

営業支援Copilot:提案書の材料集め→社内事例検索→下書き作成

営業やプリセールスでは、「過去の事例」「提案書テンプレ」「製品資料」「価格表」などが散らばりがちです。Copilotに社内の正本を参照させ、業界・規模・課題でフィルタして事例候補を提示、提案書の章立てを作り、下書きを作るところまで支援できます。最終的な表現や責任は人が持ちつつ、材料集めを短縮する設計が現実的です。

ここでも重要なのは最新版管理です。古い資料が混ざると、誤った条件で提案してしまうリスクがあります。営業資料の正本を整え、公開範囲(社内限定/特定部署限定)を設計してから始めると安全です。

まとめ

Copilot Studioは、一般的な生成AIチャットを“会社の業務に組み込める形”にするための土台で、自社専用Copilot(エージェント)として、案内だけでなく起票や申請などのアクションまでつなげられるのが特徴です。成功の鍵は、最初にテーマを絞り、根拠となる文書を整え、できる/できないを決めて安全に運用することにあります。

特に、情シス一次受付や総務・人事の定型QAのように「頻度が高い」「標準化できる」「根拠がある」業務は相性がよく、非エンジニアの現場でも効果を体感しやすいです。一方で、例外が多い判断業務や機微情報を扱う領域は、下書き・案内・情報収集に役割を寄せると、品質と統制のバランスが取りやすくなります。

「何から始めるべきか」「社内文書が整っていない」「権限設計や運用体制が不安」といった場合は、設計と伴走支援があると立ち上がりが早くなります。PoCで小さく始め、ログを見ながら改善する運用に乗せるのが近道です。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

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