API連携を外注する方法:開発会社の選び方と発注の進め方

API連携を外注すべきか?内製と外注の判断基準

API連携とは、たとえば「ECの受注データを会計ソフトに自動で流す」「SaaSの顧客情報をCRMに同期する」のように、異なるシステム同士をつなぐ仕組みです。現場から見ると“自動化”ですが、裏側では認証・データ形式・エラー処理などの設計が必要で、見積もりの前提が揃っていないと予算も納期もブレやすい領域です。

内製か外注かの判断は、技術力の有無だけでは決まりません。「失敗したときの影響範囲」と「運用まで責任を持てるか」で考えると、非エンジニアでも判断しやすくなります。

  • 外注が向くケース:基幹(会計・販売・在庫・人事)に関わる/個人情報を扱う/障害時に止められない業務/複数システムが絡む/監査や統制が必要
  • 内製(またはノーコード)が向くケース:影響が限定的/失敗しても手作業に戻せる/一部部署の試験運用/データ更新頻度が低い

また、API連携は「作って終わり」になりにくいのが特徴です。API提供元の仕様変更、トークンの期限切れ、データ項目の増減などが起きます。したがって発注時点で、開発だけでなく保守・監視・障害対応まで見据える必要があります。“連携が止まったら誰が気づき、どれくらいで復旧できるか”を先に決めると、外注先の選定もスムーズです。

よくある失敗として、「API連携=簡単な接続」と誤解して、最安の見積もりで発注してしまうケースがあります。実際には、(1)要件の曖昧さ、(2)データ品質の問題、(3)セキュリティ要件の不足、(4)運用設計の欠如が後から顕在化し、追加費用になりがちです。外注で成功させるには、最初に“何を外注し、どこまでを成果物とするか”を言語化するのが第一歩です。

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外注前に整理する「要件」チェックリスト(非エンジニア向け)

開発会社にAPI連携を外注するとき、最も重要なのは「正しい見積もりができる材料」を渡すことです。専門用語は不要で、業務の言葉で構いません。以下のチェックリストを埋めるだけで、提案の質と見積もり精度が大きく上がります。“何をつなぐか”より“何の業務を楽にしたいか”から書き始めるのがコツです。

API連携の要件チェックリスト

  • 目的:何の作業を、何分/何時間減らしたいか(例:日次の売上集計を自動化)
  • 対象システム:連携元・連携先(例:Shopify→freee、kintone→Salesforce)
  • データの種類:顧客、受注、請求、在庫、勤怠など。必須項目と任意項目
  • 頻度とタイミング:リアルタイム/5分ごと/1日1回/締め処理後など
  • 更新ルール:片方向(同期)か双方向(相互更新)か。上書きの優先順位
  • 例外処理:失敗時の扱い(再実行、手動修正、エラー通知の宛先)
  • 件数規模:1日あたりのデータ件数、ピーク(例:月末に集中)
  • セキュリティ:個人情報の有無、IP制限、監査ログ、権限設計
  • 運用体制:社内の窓口、夜間休日の対応要否、復旧目標時間

特に見積もりに影響するのは「双方向かどうか」「例外処理の厳しさ」「データの名寄せ(同一人物の判定)」「既存データの移行」です。たとえば、顧客を別システムへ連携する際、メールアドレスが空欄のデータが混ざっているだけで、名寄せやエラー処理が増えます。“データはきれいで当然”という前提を置かないことで、後からの追加費用を抑えやすくなります。

要件が固まっていない場合でも、最初からフル開発に入る必要はありません。「要件定義(調査)だけ先に外注」し、現状のAPI仕様や制約を踏まえて、段階的に進める方法が現実的です。外注先に任せる範囲を分けると、社内稟議も通りやすくなります。

開発会社の選び方:API連携で見るべき評価軸

API連携の外注先は「Web制作会社」「アプリ開発会社」「業務システム会社」「コンサル系」「フリーランス」など選択肢が広い一方、得意不得意がはっきり出ます。価格だけで選ぶと、運用段階で“作った人がいない”状態になりやすいので注意が必要です。比較は「技術」より「説明責任」と「運用責任」で行うと、非エンジニアでも失敗を避けやすくなります。

実績の見方:似た業務・似たリスクの経験があるか

「API連携の実績があります」だけでは判断できません。見るべきは、業務・データ・リスクが近いかどうかです。たとえば、会計や請求に触れる連携は、金額の整合性・締め処理・監査ログなど、業務特有の勘所があります。“どのSaaSと何を同期したか、障害時にどう復旧したか”まで具体例を聞ける会社は信頼度が上がります。

提案の質:見積もり前に質問が多い会社はむしろ良い

初回の打ち合わせで「すぐ見積もります」と言われると安心しがちですが、API連携では危険です。良い会社ほど、例外処理、データ件数、権限、運用体制などを細かく確認します。質問が多い=面倒、ではなく、後から揉めるポイントを先につぶしていると捉えるとよいです。

体制:担当者が固定され、引き継ぎが設計されているか

API連携は保守が前提になりやすく、担当者が変わると復旧に時間がかかります。PM(進行管理)とエンジニアが分かれているか、ドキュメント(仕様書・運用手順・構成図)が成果物に含まれるかを確認しましょう。“納品物=ソースコードだけ”にならない契約が重要です。

セキュリティとガバナンス:情シス・監査目線で確認

大企業の情シスや、個人情報を扱う中小企業では、セキュリティ要件を外注先に丸投げできません。最低限、認証方式(APIキー、OAuthなど)、秘密情報の保管方法、アクセス権限、ログ、脆弱性対応の方針を確認します。クラウド上に連携基盤を作る場合、どのクラウドを使い、誰が管理者権限を持つかも論点です。

契約と費用:見積もりの「含まれる/含まれない」を言語化

API連携の見積もりは、開発費だけで比較すると危険です。たとえば、テスト環境の用意、データ整備、提供元SaaSの設定変更、運用監視、障害対応が別料金になっていることがあります。“どこまでが定額で、どこからが追加”を先に表にしてもらうと、社内説明もしやすくなります。

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発注の進め方:相談〜要件定義〜開発〜運用までの標準フロー

API連携の外注を成功させるには、進め方(プロセス)を標準化するのが近道です。ここでは、非エンジニアの発注者でも管理しやすい流れを、成果物ベースで整理します。ポイントは、「要件定義」と「運用設計」を軽視しないことです。

  1. ヒアリング(現状整理):業務フロー、現場の困りごと、手作業の工数、連携対象、データの所在を洗い出す
  2. 調査・フィジビリティ確認:APIの制約(取得できる項目、回数制限)、認証方式、既存システムの改修要否を確認
  3. 要件定義:データ項目、同期頻度、更新ルール、エラー時の挙動、通知、権限、ログ、監視を文書化
  4. 設計:構成図、データ変換ルール、再実行方法、冪等性(同じ処理を繰り返しても壊れない設計)を決める
  5. 実装・テスト:単体/結合テスト、想定外データのテスト、負荷テスト、受入テスト(UAT)
  6. 移行・リリース:初回同期の手順、切り戻し(戻す手順)、権限付与、運用引き継ぎ
  7. 保守運用:監視、アラート、障害一次対応、提供元API変更への追随、改善

この中で発注者が特に押さえるべきは、要件定義の成果物です。最低限、「対象データ一覧」「同期タイミング」「エラー時の通知先と対応手順」「誰がいつ確認するか」が書かれていれば、運用が破綻しにくくなります。逆に、口頭説明だけで進むと、担当者が変わった途端にトラブルが増えます。

もう一つのポイントは、リリース方法です。いきなり本番データを全面連携すると、誤同期の影響が大きくなります。たとえば「まずは一部の部署」「まずは参照系(読み取り)だけ」「まずは夜間バッチで」など、段階的に広げるリリース設計を外注先に依頼しましょう。

費用・納期の考え方:見積もりがブレる理由と抑えるコツ

API連携の外注費用は、要件の複雑さによって大きく変わります。「2つのSaaSをつなぐだけ」に見えても、実際にはデータ整形や例外処理、監視、運用手順まで含めると工数が膨らみます。納期も同様で、開発期間よりも「社内調整」「テストデータ準備」「権限申請」に時間がかかることが多いです。見積もりを安定させる鍵は“前提条件の固定”にあります。

費用が増えやすいポイント

  • 双方向同期:衝突(同時更新)の解決が必要になり、仕様が増える
  • 名寄せ・マスタ統合:顧客や商品コードの統一ルールがないと実装が難航
  • 例外処理の要求:「絶対に落ちない」「自動復旧」など高可用性が必要
  • データ品質問題:空欄、重複、表記ゆれが多いと、補正ロジックが必要
  • セキュリティ・監査要件:ログ、権限分離、アクセス制御、証跡が追加

見積もりをブレさせない実務的なコツ

第一に、スコープを分割することです。たとえば「要件定義(調査)」「最小連携(MVP)」「運用監視の強化」「双方向化」のように段階を分ければ、最初の稟議が通りやすく、失敗のリスクも下がります。第二に、受入条件(何ができたらOKか)を合意することです。“動いた”ではなく“業務で回る”を検収基準にすると、後からの手戻りが減ります。

また、費用を抑えるために「iPaaS(連携ツール)」を併用する選択肢もあります。iPaaSは設定中心で早い一方、複雑な変換や厳密な統制が必要だと限界があります。外注先がiPaaSとスクラッチ開発の両方に明るい場合、要件に応じた最適解を提案してもらいやすいです。

発注者が押さえるべき見積もりの前提例
- 連携対象:A(販売)→B(会計)
- 連携頻度:毎日23時にバッチ
- データ件数:1日500件、月末は2000件
- 失敗時:Slackに通知、翌朝9時までに手動再実行
- 運用:社内窓口は経理、情シスは権限管理のみ

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よくある失敗と回避策:外注で揉めないためのポイント

API連携の外注で揉める原因は、技術よりも「期待値のズレ」です。発注者は“自動で全部うまくいく”を期待し、受託側は“仕様通りに動く”をゴールにしがちです。この差を埋めるには、契約前に運用まで含めた合意を作ることが重要です。失敗パターンを先に知るだけで、外注の成功確率は上がります

失敗例:仕様変更や追加要望で際限なく増える

業務を見える化すると「ついでにこれも」と要望が増えます。これは自然なことですが、外注費用が膨らむ原因です。回避策は、(1)最小要件を決める、(2)変更管理(追加は見積もりを取り直す)をルール化する、の2つです。“今やること/後でやること”を合意してから着手しましょう。

失敗例:障害時に誰も気づかず、数日止まっていた

API連携は、止まっても画面上は気づきにくいことがあります。回避策は監視と通知です。最低限、失敗したらメールやチャットに通知、再実行できる手順、ログの保存期間を決めます。情シスがある場合は、運用窓口(一次対応)をどこに置くかも明確にします。

失敗例:外注先が作ったが、社内で触れず改善できない

ブラックボックス化すると、小さな改善でも毎回費用がかかります。回避策は、ドキュメントと引き継ぎを成果物に含めることです。構成図、環境情報、再実行方法、設定値の所在、権限一覧は最低限必要です。“保守できる形で納品する”を契約に入れると、運用コストが下がります。

失敗例:セキュリティレビューで差し戻し、納期が崩れる

特に大企業では、リリース直前にセキュリティチェックが入ります。回避策は、早い段階で情シス・法務・監査と前提を共有することです。外注先には、認証方式、秘密情報の管理、ログ、権限分離の方針を資料化してもらうと審査が進みやすくなります。

まとめ

API連携の外注は、単なる開発発注ではなく「業務の自動化を継続運用できる仕組みを作る」プロジェクトです。非エンジニアでも成功させるポイントは、要件を業務の言葉で整理し、運用まで含めて外注先と合意することに尽きます。

  • 内製/外注は「止まったときの影響」と「運用責任」で判断する
  • 要件は目的・データ・頻度・例外処理・運用体制まで整理すると見積もりが安定する
  • 開発会社は価格だけでなく、説明責任・運用責任・ドキュメントを重視して選ぶ
  • 発注は要件定義→小さく作る→段階的に広げる、の順でリスクを下げる

もし「どこから整理すればよいか分からない」「現状のSaaS構成で実現可能か不安」「情シス・監査に通る形で進めたい」といった状況であれば、まずは現状ヒアリングと要件整理から始めるのがおすすめです。要件定義だけのご相談でも、進め方のたたき台を作ることで、外注の失敗を大きく減らせます。

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