API認証(APIキー/OAuth/JWT)の違いと使い分けを理解する方法

API認証が必要になる理由(「誰が・何を・どこまで」を決める)

社内システムやSaaS、スマホアプリを連携するとき、裏側では「API(アプリ同士がデータをやり取りする窓口)」が使われます。APIは便利な反面、守りが弱いと「第三者が勝手にデータを盗む・改ざんする・大量アクセスで止める」といった事故につながります。そこで必要になるのがAPI認証です。

API認証は一言でいえば「このアクセスは正当か?」を判断する仕組みですが、現場では次の3要素を切り分けて考えると混乱が減ります。

  • 認証(Authentication):誰(どのアプリ/ユーザー)かを確認する
  • 認可(Authorization):何をどこまで許すか(閲覧のみ、編集可、管理者など)を決める
  • 監査(Audit):いつ誰が何をしたかを追跡できるようログを残す

この記事のテーマである「APIキー / OAuth / JWT」は、上記のどれを主に担うかが異なります。たとえばAPIキーは「アプリの身元確認(に近い)」には便利ですが、ユーザー単位の認可には弱い。一方OAuthは「ユーザーの許可(同意)を伴う認可」を得意とします。JWTは「発行済みの権限情報を持ち運ぶ」トークン形式で、OAuthとセットで登場することが多い、という位置づけです。

経営者や情シスの方が判断でつまずきやすいのは、「用語が製品・仕様・実装方式として混ざっている」点です。以降では、業務シーンの例(社内BI、外部委託、SaaS連携、スマホアプリ)に落とし込んで違いと使い分けを整理します。

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APIキーとは(最も簡単だが「漏れたら終わり」になりやすい)

APIキーは、APIを呼び出す側(アプリやサーバー)がリクエストに添える「合言葉」のような文字列です。多くの場合、ヘッダー(例:Authorization: ApiKey xxxx)やクエリに載せて送ります。導入が簡単で、サーバー間連携(機械同士)に向くのが最大のメリットです。

一方、弱点も明確です。APIキーは基本的に「鍵そのもの」なので、漏えいしたら第三者が同じ権限でアクセスできてしまいます。パスワードと違って人間が入力するものではないため、運用を誤るとソースコードや設定ファイルに埋め込まれたまま放置されがちです。

APIキーが向くケース

  • 社内のETL/バッチが、社内APIから定期的にデータ取得する
  • 外部公開していない管理用API(IP制限やVPN前提)を呼ぶ
  • 利用者が少なく、まずは早く連携を動かしたいPoC

逆に、次のような場合はAPIキー単体では不安が残ります。

  • ユーザーごとの権限を分けたい:「A部門は閲覧だけ、B部門は更新も可」など
  • 第三者サービス連携で、ユーザーの同意が必要:「Google/Microsoftのデータにアクセス」など
  • 委託先・複数アプリが混在:キーの配布・棚卸し・失効が追いつかない

APIキーを採用するなら、最低限次をセットにします:キーの発行・失効(ローテーション)、利用範囲の最小化、保管場所(Secret Manager等)、通信の暗号化(TLS)、可能ならIP制限やWAF、そして異常検知(レート制限・ログ監視)です。APIキーは「簡単」ですが、運用設計がないと事故が起きやすい点を押さえるのが重要です。

OAuthとは(「ユーザーの同意」を安全に扱う標準プロトコル)

OAuthは、他サービスのアカウント情報(ID/パスワード)を相手アプリに渡さずに、「必要な範囲だけの許可」を与えるための仕組みです。よくある例が「Googleでログイン」「Microsoftでログイン」で、実態としてはログイン(認証)だけでなく、カレンダーやメール、ドライブへのアクセス許可(認可)も扱えます。ここがAPIキーとの決定的な違いで、ユーザー(または管理者)の同意を伴って権限を委任できる点が強みです。

業務でよくあるシナリオに当てはめると理解が早いです。

  • 従業員がSaaS連携ツールを使い、社内のMicrosoft 365から予定表を読み取りたい
  • 経費精算SaaSが、会計システムに仕訳データを登録したい(権限は必要最小限)
  • 外部委託のアプリが、貴社の顧客DBに「参照のみ」でアクセスしたい(更新は禁止)

OAuthでは「スコープ」と呼ばれる単位で権限を分割し、「このアプリに、これだけ許可します」を明示できます。さらに、許可はトークンとして発行され、期限切れや取り消しも可能です。つまり、“パスワードを渡す”という最悪の運用を避けられるのがポイントです。

ただし、OAuthは導入が簡単というより「正しく設計しないと危険」です。特に企業利用では、次が失敗ポイントになりがちです。

  • スコープが広すぎる:便利だからと管理者権限を付与してしまう
  • トークンの保管が甘い:ブラウザやアプリ内に平文で保存
  • 実装フローの選択ミス:モバイル/SPAで不適切なフローを採用

情シス視点では「どのIdP(Identity Provider)を軸にするか」も重要です。Microsoft Entra ID(旧Azure AD)やGoogle、Oktaなどに寄せることで、退職者のアクセス停止(アカウント無効化)と連携でき、統制が効きます。OAuthは“華やかなログイン機能”に見えますが、実際にはガバナンスと監査を成立させるための基盤でもあります。

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JWTとは(トークンの“形式”であり、設計次第で強みにも弱みにもなる)

JWT(JSON Web Token)は、ユーザーや権限などの情報をJSONとしてまとめ、署名付きで持ち運べるトークン形式です。JWTそれ自体は「認証方式の名前」というより、トークンの表現方法(フォーマット)だと捉えると整理しやすいです。OAuthで発行されるアクセストークンがJWT形式になっているケースも多くあります(常にそうとは限りません)。

JWTの強みは、サーバー側が毎回DBを見に行かなくても、トークンに含まれる情報(例:ユーザーID、権限、期限)を検証して処理できる点です。これにより、マイクロサービスや複数APIがある構成でもスケールさせやすくなります。代表的には次のような形です。

Authorization: Bearer eyJhbGciOi...(JWT)

ただしJWTは「入れ物」なので、使い方を誤るとリスクが増えます。よくある誤解として「JWTにしたら安全になる」がありますが、そうではありません。安全性は、署名検証・鍵管理・期限・失効設計・保管方法などで決まります。特に注意したいのは次の点です。

  • 情報を入れすぎない:JWTは盗まれる可能性があるため、個人情報や機密データを詰めない
  • 有効期限を長くしすぎない:盗難時の被害が大きくなる
  • 失効が難しい:JWTは基本的に「期限まで有効」なので、強制ログアウトや権限変更を即時反映したい場合は工夫が必要

企業システムで現実的な落としどころは、「短命のアクセストークン(JWT)+更新用のリフレッシュトークン」「重要操作は再認証」「権限変更時はサーバー側で追加チェック」といった組み合わせです。JWTはうまく使えば高速で扱いやすい一方、運用要件(失効・監査・権限変更)を先に決めないと破綻しやすい、という性格を理解するのが近道です。

どう使い分けるか(判断の軸:利用者・リスク・運用負荷)

APIキー/OAuth/JWTの選定で迷ったら、「誰が使うか」「漏れたときの被害」「運用で回せるか」の3軸で決めるとブレません。ここでは、情シス・管理者が意思決定しやすいように、典型パターンをまとめます。

使い分けの目安

  • APIキー:サーバー間連携・少数のクライアント・権限が単純。IP制限やVPNなど“別の柵”とセットにする。
  • OAuth:ユーザーの同意が必要、またはユーザー単位で権限を制御したい。SaaS連携や外部提供APIに向く。
  • JWT:複数API/マイクロサービスでトークンを共有したい、スケールが必要。OAuthのアクセストークンとして採用されやすい。

もう少し業務シーンで具体化します。

  • 社内BIが基幹DBから集計を取る:まずはAPIキー(ただしネットワーク制御・権限最小化・キー管理が前提)。将来、部門ごとの権限が必要ならOAuthも検討。
  • スマホアプリでユーザーがログインして操作:OAuth(またはOIDC)+アクセストークン運用が王道。JWTはトークン形式として採用されがち。
  • 外部委託先が開発したツールが社内APIを叩く:APIキー配布は手軽だが、退職・契約終了時の停止や権限分離が弱い。中長期ならOAuthでクライアント管理を。
  • 取引先にもAPIを提供する(外部公開):APIキー単体は漏えい時の波及が大きい。OAuth(クライアント認証+スコープ)や、用途によりmTLS等も検討。

注意したいのは「OAuthかJWTか」で二者択一にしないことです。OAuthはプロトコル(手続き)、JWTはトークン形式(データ構造)で、役割が違います。選定の会話では、“当社は何を守りたいか(顧客情報、受発注、個人情報)”と“誰がどの端末から使うか”を先に言語化し、その要件に合う方式を当てはめるのが最短です。

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導入・運用で失敗しないためのチェックリスト(非エンジニア向け)

認証方式の選定は「導入できるか」だけでなく「運用で守れるか」が勝負です。非エンジニアの立場でも確認できるポイントを、チェックリストとして整理します。ベンダーや開発会社に依頼する場合も、この観点で質問すると手戻りが減ります。

  • 権限設計:誰がどの操作をできるべきか(閲覧/更新/削除/承認)を先に棚卸ししたか
  • 最小権限:必要以上に広い権限(全データ参照、管理者スコープ)を付与していないか
  • 秘密情報の保管:APIキーやクライアントシークレットをソースコードやExcelで管理していないか(Secret Manager等を使う)
  • ローテーション:キー/シークレット/署名鍵の更新手順があるか、停止手順(失効)が手作業でも回るか
  • 期限と失効:トークンの有効期限、取り消し、権限変更時の反映(即時性)の要件を満たすか
  • ログと監査:誰がいつどのAPIにアクセスしたか追えるか。異常検知(レート制限、アラート)があるか
  • 端末・ブラウザの前提:スマホ/PC/社外からの利用があるか。トークンをどこに保存する設計か

さらに、経営・情シスの観点では「事故時の初動」も仕様に含めるべきです。たとえば「APIキーが漏れた可能性がある」場合、何分で無効化できるか、影響範囲の特定に必要なログが揃っているか、関係者への連絡フローがあるか。“漏れない前提”で設計しないことが、結果的に安全で安い運用につながります。

最後に、ありがちな誤りを一つ挙げるなら「APIキーで全て済ませる」か「OAuthを入れたから安心」のどちらかに偏ることです。APIキーは補助柵(IP制限、VPN、WAF、レート制限)と組み合わせて初めて現場で安全になり、OAuthはスコープ設計やトークン管理ができて初めて統制が効きます。方式はゴールではなく、業務とリスクに合わせた運用の一部として選ぶのが正解です。

まとめ

API認証(APIキー/OAuth/JWT)の違いは、「どの単位で、どんな許可を、どう安全に渡すか」に集約されます。APIキーは導入が簡単でサーバー間連携に向きますが、漏えい時の影響が大きいので運用(保管・失効・制限)が必須です。OAuthはユーザーの同意と権限委任(スコープ)を標準化し、SaaS連携や外部提供で強みを発揮します。JWTはトークンの形式で、スケールしやすい一方、期限・失効・保管を誤るとリスクになります。「誰が使うか」「被害の大きさ」「運用で回せるか」の軸で要件を整理し、方式を組み合わせて選ぶのが最短ルートです。

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