APIの型を安全に扱う方法:OpenAPIや自動生成で二重管理を防ぐ手順

APIの「型」を決めないと、なぜ事故が起きるのか

社内システムやWebサービスを作るとき、画面(フロント)とサーバー(バックエンド)はAPIでデータをやり取りします。ところが、APIの受け渡し内容(どんな項目があり、どんな形式か)が曖昧なまま開発が進むと、リリース直前や運用中に「画面が突然壊れた」「特定のデータだけ保存できない」「想定外の入力でエラーが増えた」といったトラブルが起きやすくなります。

原因の多くは、フロントとバックで「同じデータ」を別々に管理してしまう二重管理です。たとえば「顧客名は文字列」「請求金額は数値」「日付はISO形式」などの約束を、バックはAPI仕様書、フロントは別のメモや実装、テストはまた別の観点で持っていると、更新漏れが必ず発生します。特に開発体制が分かれる(情シスが要件、外注が実装、別会社がUIなど)ほど起きやすい典型的な問題です。

ここでいう「型」は、プログラミングの専門用語としてのTypeScriptの型だけではありません。業務側の言葉で言うなら、入力フォームの必須項目・桁数・選択肢・日付形式・許容値のルールを、APIとして厳密に統一することです。この統一ができていないと、改修のたびに「どこを直せばよいか分からない」「仕様確認のやり取りが増える」「想定外のデータで集計が崩れる」といったコストが積み上がります。

本記事では、OpenAPI(API仕様の標準的な書き方)と自動生成を使い、APIの型を一元化して二重管理を防ぐ手順を、非エンジニアの方にも分かる言葉で解説します。キーワードとしてはNext.js(Webアプリの開発でよく使われる仕組み)を例に、フロント側の型安全をどう担保するかも説明します。

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「二重管理」をなくす考え方:仕様を“単一の正”にする

二重管理をなくすコツはシンプルで、API仕様を「単一の正(Single Source of Truth)」として固定することです。最終的にフロントとバックは同じAPI仕様を参照し、そこから必要な成果物(ドキュメント・型定義・テスト用データの雛形など)を自動生成します。これにより、仕様変更があっても「仕様を直す→自動生成→差分を直す」という筋の通った流れに揃います。

「仕様書はExcelである」「口頭で擦り合わせている」という現場でも、OpenAPIは導入できます。いきなり完璧を目指すより、まずは“壊れやすい部分(入力・保存・集計に直結する項目)”から仕様を固めるのが成功しやすいです。たとえば以下のような領域は、型の統一が効きます。

  • ログイン、権限、ユーザー管理(権限不備は事故になりやすい)
  • 受発注、請求、在庫などの基幹データ(数値・日付のブレが致命的)
  • CSV/Excel取り込み・外部連携(形式のブレが頻発する)
  • 検索条件・絞り込み(nullや空文字の扱いが統一されない)

また「ドキュメント整備は面倒」という声も多いのですが、OpenAPIを中心にすると、ドキュメントを“書く”のではなく“生成する”発想に変えられます。人が作る資料は必ず古くなりますが、生成物はソース(OpenAPI)が更新される限り追従します。

非エンジニア視点で重要なのは、これが単なる技術論ではなく運用コストと品質を同時に下げる仕組みだという点です。問い合わせ対応や障害対応が減るだけでなく、仕様変更の見積り精度も上がります。「改修したら別画面が壊れた」などの想定外コストが減り、外注管理もしやすくなります。

OpenAPIでAPI仕様を定義する:最低限ここだけ押さえる

OpenAPIは、APIの入口(URL)と、入力・出力のデータ形式を機械が読める形で定義する規格です。これをYAMLやJSONで書き、そこからドキュメントや型を自動生成します。情シスや発注側の観点では、「このAPIは何を受け取り、何を返すか」を共通言語にするための土台と捉えると分かりやすいでしょう。

最低限押さえるべき要素は次の通りです。

  • paths:どのURLに、どんな操作(GET/POSTなど)をするか
  • requestBody:登録・更新で送るデータの項目と型(必須/任意も)
  • responses:成功時・失敗時に返す形式(ステータスコード、エラーメッセージ構造)
  • components/schemas:共通で使うデータの型(例:User、Invoiceなど)
  • security:認証方式(Cookie/JWT/APIキー等)の前提

たとえば「請求書を作成する」APIなら、金額は数値、通貨は固定の列挙、締日は日付、取引先IDは文字列、などを明示します。ここで重要なのは、曖昧さを残さないことです。曖昧さがあると実装側が解釈してしまい、後から統一するのに倍のコストがかかります。

もう1点、失敗しやすいのがエラー時の形式です。多くの現場で「エラーはとりあえず文字列」という扱いになりがちですが、運用で困ります。たとえば画面側で「入力エラーを項目ごとに表示」したいのに、APIが単なる文字列しか返さないと、後から作り直しが必要です。OpenAPIにエラーの構造(code、message、detailsなど)を定義しておくと、フロント(Next.js)も実装が安定します。

OpenAPIは、開発会社が使うものというより、発注側が「仕様の持ち方」を変えるための道具でもあります。発注時にOpenAPIを成果物に含めると、ベンダー変更や内製化のときに引き継ぎ資産として残るのも大きなメリットです。

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Next.jsで型安全にする実務手順:自動生成で“書かない運用”へ

Next.jsでフロントエンドを作る場合、TypeScriptを併用すると画面側の型安全性が上がります。ただし、フロントの型を手書きすると二重管理に戻ってしまいます。ここでは「OpenAPIを元に型とクライアントを自動生成する」実務手順を、運用の観点で説明します。

基本方針は“OpenAPI → 自動生成 → Next.jsで利用”です。開発会社がどのライブラリを使うかは様々ですが、発注側・情シス側は「自動生成の仕組みがCIで回っているか」を確認できると安心です。

OpenAPIからTypeScriptの型・API呼び出しコードを生成する

代表的なやり方は、OpenAPIから以下を生成することです。

  • リクエスト/レスポンスのTypeScript型(例:CreateInvoiceRequest、InvoiceResponse)
  • APIを叩くためのクライアント(例:invoiceApi.createInvoice(…))

これにより、Next.jsの画面開発者は「型を自分で定義する」必要が減り、APIが変更されたらビルド時点でエラーになって気づけます。つまり、運用上は“壊れたままデプロイ”を防げる状態に近づきます。

サーバー側(バックエンド)の実装とも整合させる

理想はバックエンドもOpenAPI中心にすることです。たとえばAPI実装のフレームワークによっては、OpenAPIからサーバー側の雛形を生成したり、実装からOpenAPIを生成したりできます。重要なのは、どちらが正になるかを決めることです。「実装が正」「仕様が正」が混ざると破綻します。

おすすめは、組織の成熟度に応じて次のいずれかに寄せることです。

  • 仕様主導(契約・外注管理向き):OpenAPIを先に固め、そこから実装を追従させる
  • 実装主導(内製・高速開発向き):実装からOpenAPIを生成し、生成物を正として配布する

CI(自動チェック)で「生成物のズレ」を検出する

運用で最も効くのがCIです。たとえばGitHub Actions等で、OpenAPIが更新されたら自動生成を実行し、生成物が差分として出るか・型エラーが出ないかをチェックします。ここを仕組みにしておくと、担当者が替わっても運用が続きます。

情シスや管理職の方が確認すべきポイントは、技術詳細よりも「プロセスが守られる設計か」です。具体的には、API変更が発生したときに“仕様→生成→実装”の順で必ずレビューが通る状態になっているかを見ます。

Next.js特有の注意:API経由のデータ境界を明確にする

Next.jsは、画面描画だけでなくサーバー側処理(APIルートやServer Actionsなど)も書けます。そのため、プロジェクトによっては「フロントとバックの境界」が曖昧になりがちです。型安全の観点では、境界をAPIに統一し、境界で必ずバリデーションすることが重要です。

たとえば「画面の入力値」は必ずAPIのスキーマに合わせて整形し、APIはスキーマに合わない入力を拒否する(エラーの形も統一)というルールにすると、障害の切り分けが早くなります。これはユーザー対応の負担を減らし、結果として運用品質が上がります。

よくある失敗と回避策:導入後に崩れない運用にする

OpenAPIと自動生成は強力ですが、導入すれば自動的に成功するわけではありません。特に外注開発や複数部署が関わる場合、次の失敗が起きがちです。あらかじめ回避策までセットで設計しておくと、継続運用できます。

失敗:OpenAPIが更新されず、結局「実装が正」になる

ありがちなのが「最初だけOpenAPIを書いたが、仕様変更時に更新されず、実装だけが変わる」状態です。この状態になると、ドキュメント・型・テストが一気に信用できなくなります。回避策は、OpenAPIをレビュー必須の成果物にすることです。要件変更・仕様変更のPull RequestにOpenAPI変更を含め、差分がないとマージできないルールにします。

失敗:フロントが“独自の型”を追加してしまう

Next.js側で便利だからと、APIの型を加工した独自型が増えると、また二重管理になります。回避策としては、API由来の型(生成物)と、画面都合の型(UI state)を分け、API境界では生成型しか使わない方針にします。UI側の都合はUI stateで閉じ込め、API入出力はOpenAPIに従う、というルールです。

失敗:バージョン管理がなく、利用者が壊れる

APIを変えた瞬間に既存の画面や外部連携が壊れるのは、運用事故に直結します。回避策は、破壊的変更(フィールド削除・意味変更)を避け、どうしても必要ならAPIのバージョンを分けることです。OpenAPI上もv1/v2のように明確にし、移行期間を設けます。

失敗:テストが仕様と連動していない

型があっても、業務ルール(例えば「請求締日は月末のみ」「ステータス遷移の制約」など)まで自動的に保証されるわけではありません。回避策として、OpenAPIのスキーマはデータ形式の土台として整えつつ、業務ルールは別途テスト(E2Eや結合テスト)で担保します。とはいえ、OpenAPIでエラー形式や必須項目が揃うだけでも、テスト設計の前提がブレなくなる効果があります。

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導入イメージ:外注・情シスでも進めやすい進め方

「自社には詳しいエンジニアがいない」「開発は外注中心」という場合でも、導入は可能です。ポイントは、技術を全部理解することではなく、成果物とプロセスを契約・運用に組み込むことです。以下は進め方の一例です。

  1. 対象範囲を決める:まずは重要API(顧客、請求、受注など)に絞る
  2. OpenAPIを成果物化する:仕様変更のたびにOpenAPIも更新、レビュー対象にする
  3. 自動生成をCIに組み込む:Next.js側の型・クライアント生成を自動化する
  4. エラー形式を統一する:画面表示・ログ分析・問い合わせ対応が楽になる
  5. 運用ルールを作る:破壊的変更の扱い、バージョニング、移行期間を明確にする

情シス視点では、外注先に次の質問ができるようになると、品質の見極めがしやすくなります。

  • OpenAPIはどこに保存し、誰がレビューしますか?
  • Next.jsで使う型は手書きですか?OpenAPIから自動生成ですか?
  • API変更時に、型の差分はどう検知しますか?CIで止まりますか?
  • エラーの返し方(code/message/details)は統一されていますか?
  • 破壊的変更を避ける運用(バージョン、移行期間)はありますか?

これらは専門知識がなくても確認しやすい項目です。結果として、見積り比較の軸が増え、「安いが後で高くつく」開発を避けやすくなります。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

まとめ

APIの型が曖昧なままだと、フロント(Next.js)とバックエンドで解釈がズレ、二重管理が発生し、改修のたびに不具合や手戻りが増えます。これを防ぐ現実的な方法が、OpenAPIでAPI仕様を「単一の正」にし、型やクライアント、ドキュメントを自動生成して運用するやり方です。

  • OpenAPIで入力・出力・エラー形式を明確化し、仕様の曖昧さをなくす
  • Next.js側は手書きせず、OpenAPIから型とAPI呼び出しを生成してズレを防ぐ
  • CIで生成と型チェックを自動化し、更新漏れを仕組みで止める
  • 破壊的変更・バージョン・移行期間など、運用ルールまで含めて設計する

「開発は外注だが、品質と保守性は上げたい」「仕様変更が多く、手戻りを減らしたい」という企業ほど効果が出やすい領域です。まずは重要なAPIからOpenAPI化し、生成とレビューを回すところから始めると、無理なく定着します。

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