Next.jsの要件定義(RFP)の書き方:外注で失敗しない依頼方法

なぜNext.js案件は「要件定義(RFP)」で差がつくのか

Next.jsでWebサイトやWebアプリを外注する際、成果を左右するのは開発会社の技術力だけではありません。発注側の「要件定義(RFP:提案依頼書)」の精度が、納期・品質・費用・運用のしやすさに直結します。特にNext.jsは表示速度やSEO、運用性まで設計で大きく結果が変わるため、「何を作るか」だけでなく「どう作るべきか」の前提条件が重要になります。

例えば同じコーポレートサイトでも、Next.jsでSSG(事前生成)中心にするのか、SSR(サーバー側レンダリング)を使うのか、ISR(増分静的再生成)を採用するのかで、サーバー費用や更新フロー、セキュリティ対策、障害時の影響範囲が変わります。発注側が「更新は誰が、どの頻度で、どんな承認で行うのか」を決めずに依頼すると、納品後に「運用できない」「更新に毎回費用がかかる」「表示が遅い」といった不満が噴き出しがちです。

またNext.jsは、Reactベースで柔軟に作れる一方、CMS(WordPressやHeadless CMS)連携、認証、検索、フォーム、会員機能、分析タグなど、周辺の選択肢が多いのも特徴です。選択肢が多い=RFPに判断基準が書かれていないと、提案内容がバラバラになり、比較が難しくなります。さらに「見積もりは安いが、必要な前提が抜けていて後から追加費用」という構造が起きやすくなります。

要件定義(RFP)の目的は、開発会社を縛ることではなく、発注側のビジネス要件と現場の運用条件を整理し、提案と見積もりを同じ土俵に揃えることです。本記事では、Next.jsの外注で失敗しないために、専門知識がなくても書けるRFPの作り方を、実務テンプレに落とし込んで解説します。

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RFPに書くべき全体像(忙しい人向けチェックリスト)

まず、Next.jsに限らずRFPは「比較可能な提案を集める」ための資料です。ここで重要なのは、最初から完璧な仕様書を書くことではありません。むしろ未確定事項は「未確定」と明記し、判断のための選択肢と前提条件を提示できると、良い提案が集まりやすくなります。

最低限、次の要素が揃うと、Next.js案件でも見積もりのブレが大幅に減ります。

  • 目的・背景:なぜ作るか、何を改善したいか(問い合わせ増、採用強化、社内業務効率化など)
  • 対象ユーザーと利用シーン:顧客・求職者・社内担当者など、誰が何をするか
  • スコープ:作る範囲/作らない範囲(例:デザインは含む/ロゴは除外)
  • ページ・機能一覧:画面の数、フォーム、検索、会員、管理画面など
  • 非機能要件:速度、SEO、セキュリティ、可用性、運用体制、権限、監査
  • 連携:CMS、MA、CRM、SFA、認証基盤、決済、メール配信など
  • 移行:現行サイトからの移行範囲、URL、リダイレクト、コンテンツ整備
  • 体制・進め方:発注側の窓口、承認者、レビュー頻度、定例、連絡手段
  • スケジュール:いつまでに何を決めるか、公開日、段階リリースの有無
  • 予算感:上限だけでもよい(例:初期○○万円、保守○○万円/月)
  • 納品物:ソースコード、設計書、テスト結果、運用手順、アカウント一式
  • 評価基準:価格だけでなく、品質・体制・運用提案・保守条件など

Next.jsのRFPでは、特に「SEO・速度」「更新運用(CMS/ワークフロー)」「ホスティングと監視」「フォームや会員のセキュリティ」が抜けやすいポイントです。次章からは、非エンジニアでも判断できる形で書き方を具体化します。

目的・KPI・スコープの書き方(Next.js向きの整理法)

RFPの冒頭で最も大事なのは、作るものの名前ではなく「成功の定義」です。Next.jsは実装の自由度が高いので、目的が曖昧だと、提案が「見た目のリニューアル」止まりになったり、逆に過剰なアーキテクチャになったりします。目的→KPI→優先順位→作らないことまで書くと、提案の精度が上がります。

書き方の例(そのままRFPに貼れる形)を示します。

目的(例)

  • 営業:問い合わせ獲得を増やす(フォーム送信数を現状比150%)
  • 採用:応募数を増やす(採用LPからの応募率を改善)
  • 運用:更新作業を内製化(毎月の修正依頼を半減)

KPI(例)

  • 問い合わせ:月○件、フォーム完了率○%
  • 表示速度:主要ページの読み込み体感改善(数値目標は提案で提示してほしい)
  • SEO:主要キーワードでの流入増(現状比較で○%)

優先順位(例)

  • 最優先:SEO・速度、更新性、セキュリティ
  • 次点:アニメーション等の演出

スコープ外(例)

  • 新規写真撮影、動画制作は別途
  • 大規模な業務システム刷新は対象外(今回はWebサイト・軽微な管理機能まで)

ポイントは、数値を必ずしも厳密にしなくてよいことです。現状把握が難しい場合は「現状計測から支援してほしい」と書けば十分です。Next.jsはSEOや速度が強みとして語られがちですが、実際は計測と改善サイクルが前提になります。KPIを置くことで、リリース後の改善提案まで含めた提案を引き出せます。

スコープについては、「ページ制作だけ」なのか「CMS導入・移行」までなのか、「フォームのスパム対策」や「アクセシビリティ対応」まで含むのかを明記しましょう。ここが曖昧だと、Next.jsの実装方針(静的中心か動的中心か)や、工数が読みづらくなり見積もりがブレます。

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機能要件:ページ/コンテンツ/フォーム/会員の決め方

機能要件は、専門用語よりも「利用シーン」で書くと伝わります。Next.jsのRFPでは、ページと機能を「公開側(ユーザーが見る側)」と「更新側(管理・運用)」に分けると、抜け漏れが減ります。誰が、どの画面で、何を更新できるべきかを言語化するのがコツです。

まずはページ・コンテンツの棚卸しです。例として、コーポレートサイトのよくある一覧を示します。

  • トップ、サービス一覧/詳細、事例一覧/詳細、会社概要、ニュース、採用、FAQ、資料請求、問い合わせ、プライバシーポリシー
  • 記事(オウンドメディア)一覧/詳細、タグ/カテゴリ、著者、検索、関連記事、パンくず
  • LP(広告用)テンプレの有無、ABテストの予定

次にフォームです。フォームは「作る」だけでなく、運用・セキュリティ・法務を含めて要件が必要です。RFPに最低限書いておくとよい項目は次の通りです。

  • フォーム種類:問い合わせ、資料請求、採用応募、イベント申込など
  • 入力項目:必須/任意、自由記述、ファイル添付の有無
  • 完了後:サンクスページ、メール自動返信、社内通知、Slack/Teams通知
  • スパム対策:reCAPTCHA等、海外アクセス制限の必要性
  • 個人情報:同意チェック、保存期間、削除依頼対応、ログの扱い

会員機能やログインが絡む場合は、ここで一段丁寧に書きます。Next.jsはフロントエンドの枠組みなので、認証・権限管理・ユーザー情報の保管先(自社DBか外部サービスか)で工数とリスクが大きく変わります。RFPでは「方式の指定」より「条件の指定」が有効です。

会員/ログインがある場合にRFPへ書く例

  • ログイン方法:メール+パスワード/SSO(Google/Microsoft)希望の有無
  • 権限:一般ユーザー、管理者、編集者など(各権限でできる操作)
  • 監査:いつ誰が更新したかの履歴が必要か
  • パスワードポリシー:長さ、複雑性、ロック、2要素認証の要否

ここまで書いておくと、提案側はNext.jsの構成(API/DB/認証)を現実的に設計できます。逆に、ここが空白だと、提案が「とりあえずログイン作れます」になり、後から「監査ログがない」「退職者の権限剥奪が運用できない」といった情シス的な問題が発生します。

非機能要件:SEO・速度・セキュリティ・運用(ここが失敗の分岐点)

非機能要件は、RFPの中で最も重要なのに、最も書かれにくい領域です。しかしNext.jsでは、非機能の決め方がアーキテクチャを決め、見積もりの根拠にもなります。発注側が完璧な数値を出せなくても、「守りたい基準」と「運用の現実」を書けば十分です。

SEO要件(Next.jsで必ず確認したい項目)

SEOは「検索で見つかる」だけでなく、SNSや広告のリンク共有時の見え方も含みます。RFPには次を入れてください。

  • メタ情報:title/description、OGP、Twitterカード、canonical
  • 構造化データ:記事、パンくず、FAQ等(必要なら)
  • URL設計:日本語URLの可否、階層、末尾スラッシュ、重複防止
  • 移行SEO:旧URLからの301リダイレクト、サイトマップ、サーチコンソール設定支援
  • 計測:GA4、GTM、広告タグ、コンバージョン計測

Next.jsではレンダリング方式(SSG/SSR/ISR)がSEOと速度に影響しますが、発注側が方式を指定しなくても構いません。その代わり「記事・ニュースは頻繁に更新」「サービスページは安定」「検索結果に確実に載せたい」「管理画面は不要」など、サイトの性質を伝えましょう。提案側が適切な方式を選びやすくなります。

速度・可用性(体感を要件に落とす)

速度要件は「速くしてほしい」では見積もりに反映されません。具体化のコツは、業務影響で書くことです。例えば「スマホ回線でもストレスなく開く」「採用LPで離脱を減らしたい」など。RFPには次を入れると現実的です。

  • 対象:スマホ中心/PC中心、主要閲覧地域、想定アクセスピーク(広告配信時など)
  • 最低限:主要ページは軽量、画像最適化、遅延読み込み、キャッシュ活用
  • 監視:障害検知、通知、復旧フロー(誰に連絡が行くか)

また、ホスティング(Vercel、AWS、GCP等)で運用や費用が変わります。情シス要件がある場合は、「自社クラウド標準がある」「アカウント管理は情シスが行う」「外部SaaS利用の審査がある」などをRFPに明記してください。

セキュリティ(情シスが気にする“穴”を先に塞ぐ)

Next.js自体は比較的安全に作れますが、フォーム、API、認証、管理画面、外部連携でリスクが増えます。RFPに入れるべき基本項目は次の通りです。

  • 通信:HTTPS必須、HSTS、Cookie設定(必要に応じて)
  • 脆弱性対応:依存パッケージの脆弱性チェック、アップデート方針
  • 入力対策:バリデーション、CSRF対策、WAF要否
  • 権限:管理画面のIP制限や多要素認証の要否
  • ログ:アクセスログ、監査ログ、保管期間、個人情報マスキング

ここで大切なのは、発注側の社内ルールです。「ISMSに準拠したい」「個人情報の取り扱い規程がある」「委託先のセキュリティチェックシート提出が必要」といった条件は、技術の話ではなく契約と運用の話なので、RFPに書いておくと提案段階で齟齬が出ません。

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Next.js外注RFPのテンプレ(コピペ可)と見積もり比較のコツ

ここでは、Next.jsの要件定義(RFP)としてそのまま使える骨子を提示します。すべてを埋めなくても、空欄を「未定」として出すことで提案を引き出せます。重要なのは提案各社が同条件で見積もれる情報を揃えることです。

【RFP:Next.jsによるWebサイト/アプリ開発】

1. 背景・目的
- 背景:
- 目的:
- 成功指標(KPI):
- 優先順位(品質/速度/SEO/運用/コスト 等):

2. 現状
- 現行サイト/システム:
- 課題(例:更新に時間、表示が遅い、問い合わせが少ない):
- 既存の分析環境(GA4/GTM等):

3. 対象ユーザー・利用シーン
- 想定ユーザー:
- 主要な導線(例:検索→記事→サービス→問い合わせ):

4. スコープ
- 対象範囲(ページ・機能):
- 対象外(含めないもの):
- コンテンツ作成/移行の分担(発注側/受託側):

5. 画面・ページ要件
- 必要ページ一覧:
- 記事/ニュースの要否、カテゴリ/タグ、検索の要否:
- 多言語の要否:

6. 機能要件
- フォーム(種類/項目/通知/自動返信/スパム対策):
- 会員/認証(有無、方式は提案希望/指定あり):
- 管理機能(誰が何を更新するか、承認フロー):

7. 非機能要件
- SEO(メタ/OGP/canonical/リダイレクト/サイトマップ):
- 速度・可用性(想定アクセス、監視、障害時連絡):
- セキュリティ(脆弱性対応、権限、ログ、規程):

8. 外部連携・インフラ
- CMS(未定/指定あり:WordPress等、Headless CMS希望など):
- 連携(CRM/MA/メール/チャット等):
- ホスティング方針(未定/指定あり):
- 環境(本番/ステージング):

9. 体制・進め方
- 発注側窓口/承認者:
- コミュニケーション(定例頻度、ツール):
- レビュー方法(デザイン/実装/テスト):

10. スケジュール
- 公開希望日:
- マイルストーン案(要件定義/デザイン/実装/テスト/公開):

11. 予算・契約
- 予算感(初期/保守):
- 契約形態希望(請負/準委任):

12. 納品物・検収
- ソースコード、設計資料、テスト結果、運用手順、アカウント一覧
- 検収条件(どの状態をもって完了とするか)

13. 提案依頼事項(各社に必ず答えてほしいこと)
- Next.jsでの実装方針(SSG/SSR/ISRの考え方、理由)
- SEO・速度の担保方法(計測と改善の進め方)
- 体制(担当ロール、コミュニケーション)
- 保守運用(SLA、障害対応、アップデート方針)
- 見積もり内訳と前提条件(含まれない作業)

見積もり比較のコツは、「合計金額」ではなく、内訳と前提条件を並べることです。Next.js案件で特に差が出るのは次の部分です。

  • コンテンツ移行:旧サイトの記事・ページを誰が移すか、リライトの有無
  • CMS構築:編集画面の作り込み度(権限、プレビュー、承認)
  • SEO移行:リダイレクト設計、URL正規化、計測設定
  • 保守:障害対応の範囲、脆弱性対応、軽微改修の扱い

RFPで「提案時に前提条件を必ず列挙してください」と指定すると、後からの追加費用トラブルを防げます。さらに、保守運用まで見据える場合は、初期費用の安さよりも「リリース後の更新が回る」提案を評価しましょう。Next.jsは運用設計ができているほど、結果的にコストが安くなります。

まとめ

Next.jsの外注で失敗しないためには、発注側が高度な技術仕様を書き切ることよりも、要件定義(RFP)で「目的」「運用」「非機能(SEO・速度・セキュリティ)」を具体化し、各社提案を同じ土俵に揃えることが重要です。特にNext.jsは設計の自由度が高い分、更新体制や移行、計測、保守の条件が曖昧だと、納品後に不満が出やすくなります。

RFPは未確定事項をなくすための道具です。決めきれない点は「未定」と書き、選択肢と判断基準の提案を依頼しましょう。そうすることで、見積もりのブレが減り、比較がしやすくなり、最終的に運用しやすいNext.jsサイト/アプリを手に入れられます。

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