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Next.jsとは?「Webサイトの作り方」を変えるフレームワーク
Next.jsは、ReactというUI(画面)技術をベースに、WebサイトやWebアプリを実務で運用しやすい形で作れるようにしたフレームワークです。フレームワークとは、家を建てるときの「骨組み・間取りの型」のようなもので、ゼロから全部作るより早く、品質を揃えやすくなります。
ただし、Next.jsは「万能のCMS」でも「EC専用パッケージ」でもありません。強みは、表示速度・SEO・画面体験(UX)の両立、そして段階的な改善(小さく作って育てる)がしやすい点です。一方で、決済や在庫の仕組み、権限管理が複雑な業務システムなどは、Next.js単体で完結させるより他サービスやバックエンドと組み合わせるほうが現実的なケースが多いです。
本記事では「Next.jsでできること/できないこと」を、コーポレートサイト、ECサイト、管理画面(社内システム)という3つの用途に分けて、ITに詳しくない方でも判断できるように整理します。読み終わる頃には、「Next.jsを採用すべきか」「採用するならどこまでをNext.jsに任せるか」「失敗しない進め方」が掴めるはずです。
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Next.jsでできること:得意領域を一言でいうと「速くて見つかりやすいWeb」
Next.jsが得意なのは、ユーザーが触るフロント(Web画面)を中心に、表示の速さ・見つけてもらいやすさ(SEO)・更新運用のしやすさをまとめて設計できることです。特に次のような「成果に直結するポイント」を押さえやすいのがメリットです。
- SEOに配慮したページ生成:検索エンジンが読み取りやすい形でページを出力しやすい
- 表示速度・体験の最適化:画像最適化、必要な分だけ読み込む設計などが組み込みやすい
- コンテンツ運用との相性:ヘッドレスCMS(例:microCMS、Contentful等)と組み合わせて記事更新しやすい
- 段階的な拡張:最初はコーポレート→採用→資料請求→会員機能…と育てやすい
- API連携が前提:既存の基幹・CRM・MA・決済など外部サービスとつなぎやすい
例えば、コーポレートサイトで「表示が遅くて直帰率が高い」「更新が属人化していて止まる」「SEOの改善をしたい」といった課題がある場合、Next.jsは打ち手になりやすいです。ECや管理画面でも、ユーザー体験や速度が重要な部分(商品一覧、検索、ダッシュボードなど)に強みが出ます。
また、Next.jsには「サーバー側で作るページ」と「ブラウザ側で作るページ」をページごとに選べる特性があります。これにより、トップやサービス紹介はSEO重視、会員専用画面はログイン後に表示、など用途に応じて最適な作り分けができます。この柔軟さが「できること」を広げている一方で、設計を誤ると運用が難しくなる点が次章の「できないこと」にもつながります。
Next.jsでできないこと(誤解されやすい点):単体で“全部入り”にはならない
Next.jsは「Webの画面を作る中心技術」であって、業務のデータや権限、決済、在庫、配送などをそれ自体が全部持っている製品ではありません。よくある誤解を先に解消しておくと、意思決定がブレにくくなります。
- ECの標準機能が最初から揃っているわけではない:カート、決済、ポイント、返品、配送、在庫などは別途設計・連携が必要
- 管理画面(CMS/ERP)の完成品ではない:ワークフロー、承認、細かな権限、監査ログなどは作り込みが必要
- 「簡単に誰でも更新」は保証されない:更新体験はCMSや管理画面の設計次第で決まる
- インフラ運用がゼロにはならない:ホスティング(例:Vercel等)で軽くできても、監視・障害対応・権限管理は必要
- 要件次第で開発難易度が上がる:多言語、複雑な検索、レコメンド、A/Bテスト、権限の多層化など
つまり、Next.jsを選ぶ判断軸は「Webの価値(集客・体験・速度)を高めたいか」と「必要な業務機能をどこで担保するか」です。たとえば、ECならShopifyやCommerce系サービスを“中身(バックエンド)”にして、Next.jsは“見た目と体験(フロント)”に徹する構成が現実的です。管理画面も同様で、データベースや認証・権限はバックエンド(API)側で設計し、Next.jsは操作画面を担うのが基本です。
「Next.jsを使えば何でも安く早く作れる」という期待は危険です。一方で、役割分担を正しく設計できれば、Next.jsは高品質なWebを無理なく継続改善できる強力な選択肢になります。
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用途別の判断:コーポレートサイト(集客・採用・信頼の土台)
コーポレートサイトでNext.jsが向くのは、SEOでの流入を増やし、サービス理解を促し、問い合わせや採用応募につなげたいケースです。特に「ページ速度」「構造化」「コンテンツ運用」の改善が成果に直結しやすく、Next.jsの強みが出ます。
向いているケース
- SEOを伸ばしたい:サービス別LP、導入事例、比較記事、用語解説などを増やす
- 表示が重い・離脱が多い:画像やスクリプトが増え、体感速度が落ちている
- ブランド体験を作りたい:デザインや動き、導線の最適化を継続的に回したい
- CMS更新の自由度を上げたい:記事はCMS、固定ページは開発で最適化、など分業したい
注意が必要なケース
- 更新担当が「完全ノーコード」を求める:Next.jsは“画面側”なので、更新UIは別途用意が必要
- フォームや計測が乱立している:MA/CRM/広告計測の整理をせず移行すると計測漏れが起きやすい
- 社内承認フローが厳格:コンテンツ公開フローはCMS側で設計しないと運用が止まる
実務でのおすすめは「ヘッドレスCMS+Next.js」です。記事やお知らせはCMSで更新、デザインやSEOの土台はNext.jsで最適化、という分担にすると、マーケ側が更新できて開発側が品質を担保できます。さらに、問い合わせフォームはHubSpot等のフォーム、または自社APIに繋いで、個人情報の取り扱いやログも整備します。
コーポレートサイトは“作って終わり”ではなく、採用・営業・広報の情報が増え続けます。Next.jsは中長期の改善運用を前提にした設計と相性がよいので、更新頻度が高い企業ほど効果が出やすいです。
用途別の判断:ECサイト(売上と運用の両立)
ECでNext.jsを検討するときは、「どこまで自社で作るか」を先に決めるのが重要です。ECは“買える”だけでは足りず、決済、配送、在庫、キャンセル、返品、領収書、クーポン、会員、ポイントなどの業務要件が積み上がります。これをNext.jsで全部作ると、初期開発だけでなく運用・改修の負担が大きくなりがちです。
Next.jsが活きるECのパターン
- ヘッドレスコマース:Shopify等をバックエンドにして、Next.jsでフロントを作る
- 体験差別化:商品検索、比較、レコメンド、特集LPなど“見せ方”で勝ちたい
- SEO集客を強化:カテゴリ・特集・ブランド・用途別など検索流入を取りに行く
- BtoB向け:ログイン後に価格が変わる、見積依頼がある、商品点数が多い等
Next.js単体では弱い(別設計が必要)領域
- 決済・不正対策:カード決済、3Dセキュア、チャージバック対応は専用サービスが現実的
- 在庫・基幹連携:倉庫や基幹、会計との整合性はバックエンドで堅牢に
- 運用管理:受注管理、出荷、返品、CSオペレーションは管理画面の設計が肝
「デザインの自由度がほしいからNext.jsで全部作りたい」という相談は多いですが、結論としては、売上規模が大きいほど“車輪の再発明”になりやすいです。おすすめは、商品・在庫・注文・決済はShopify等に寄せ、Next.jsは体験とSEOを取りに行く構成です。これなら、運用担当者は既存の管理画面で回せて、マーケ側はNext.jsでLPや導線改善を積み上げられます。
逆に、商品点数が少なく運用もシンプルで「短期の検証」を重視するなら、最初は既成EC(Shopifyテンプレ等)で立ち上げ、伸びてからNext.jsで段階的に体験を作り込むほうが失敗確率を下げられます。
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用途別の判断:管理画面(社内向け・情シス案件での落とし穴)
管理画面(ダッシュボード、社内システム、業務アプリ)にもNext.jsは使えます。特に、入力フォームが多い、一覧と詳細を行き来する、グラフで状況を把握したい、といった画面中心のアプリには相性が良いです。情シスの方が気にする「長期運用」「権限」「監査」「安全性」については、Next.jsだけで完結させず、全体アーキテクチャで担保します。
向いているケース
- 複数部署が使う業務画面:申請、案件管理、在庫照会、顧客対応など
- 既存システムの上にUIを作る:基幹はそのまま、操作性だけ改善したい
- データの可視化:KPI、稼働、売上、問い合わせ状況などを集約
失敗しやすいポイント(Next.jsというより設計の問題)
- 権限設計が後回し:誰が何を見て、何を編集できるかを最初に決めないと破綻する
- 監査ログ・操作履歴がない:大企業ほど「いつ誰が何をしたか」が必須になる
- データ整合性をフロントに寄せる:チェックを画面だけでやると、API直叩きで崩れる
- 運用の責任範囲が曖昧:障害時の一次対応、問い合わせ窓口、変更管理が決まっていない
管理画面をNext.jsで作る場合の基本は、「認証・権限・データ検証はサーバー側(バックエンド/API)で確実に」「Next.jsは操作性と表示を担う」です。例えば、ログインはSSO(Azure AD/Google Workspace等)と連携し、APIは社内ネットワークやVPN、IP制限、WAFなどと組み合わせます。
情シス観点では、技術選定よりも運用設計(誰がどう守るか)が重要です。Next.jsはスピード感ある開発に向く一方で、変化が早いエコシステムでもあります。長期運用するなら、依存関係の更新方針、テスト、リリース手順、権限管理、ログ保全まで含めて「作りっぱなしにしない体制」を整えるのが成功条件になります。
導入の進め方:失敗しないためのチェックリスト(非エンジニア向け)
Next.jsが向くかどうかを判断する際は、「技術がすごいか」より「自社の目的に合うか」を確認するのが近道です。ここでは、発注側(経営者・マネージャー・情シス)が押さえるべき確認項目をまとめます。
目的とKPIを先に決める
- コーポレート:指名検索、自然検索流入、問い合わせ数、採用応募数
- EC:CVR、平均注文単価、リピート率、広告依存度の低下
- 管理画面:作業時間削減、入力ミス削減、二重管理の解消、監査対応
同じNext.js導入でも、KPIが違えば設計が変わります。例えばSEOがKPIなら、記事運用フロー、カテゴリ設計、内部リンク、表示速度の改善が優先です。管理画面がKPIなら、権限、監査ログ、入力補助、操作の一貫性が優先になります。
「Next.jsが担当する範囲」を決める
- 画面(フロント)だけをNext.jsで作り、データや認証は既存システムに任せるのか
- 問い合わせ・会員・検索など、一部だけ自社APIを作るのか
- CMS/EC/MAなど、既製サービスをどこまで使うのか
ここが曖昧だと、見積がブレます。逆に言うと、範囲が決まれば費用も期間も読みやすくなります。発注側は「全部をNext.jsで作る必要があるのか?」と一度立ち止まるのが重要です。
見積もりで確認すべき“運用コスト”
- 保守:月次の依存パッケージ更新、軽微修正、セキュリティ対応
- 監視:エラー検知、アクセス急増時、障害時の連絡フロー
- 計測:GA4、広告タグ、CV計測、同意管理(Cookie同意)
- 運用体制:更新担当、公開承認、緊急時のロールバック
Next.jsはスピーディに開発できますが、運用が軽くなるかどうかは別問題です。特に大企業・情シス案件では、セキュリティ審査やログ要件、アカウント管理が効いてきます。要件を満たすには、開発だけでなく運用の設計とドキュメントが必要になります。
よくある“選定ミス”の回避策
- 「更新が簡単」と聞いて採用したが、実際は更新できない:CMSと更新画面のデモを事前に確認する
- ECをフルスクラッチして機能が追いつかない:決済・受注・在庫は既製サービス活用を前提に比較する
- 管理画面が増築で破綻:権限・ログ・データ整合性の方針を最初に固める
結論として、Next.jsの採用判断は「技術の人気」ではなく「役割分担」と「運用設計」で決まります。ここを押さえれば、Next.jsはコーポレートでもECでも管理画面でも、成果につながる武器になります。
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まとめ
Next.jsは、Webの画面を中心に「速い表示」「SEO」「使いやすさ」を両立しながら、段階的に改善していける強力な選択肢です。特にコーポレートサイトでは、コンテンツ運用とSEOの伸びしろを作りやすく、投資対効果が見えやすい傾向があります。
一方で、Next.jsはECの決済・在庫・受注運用、管理画面の権限・監査・ワークフローといった“業務の中核”を単体で全部提供するものではありません。成功のポイントは、Next.jsに何を任せ、何を既製サービスやバックエンドで担保するかという役割分担の設計です。
もし「自社はNext.jsが向くのか」「コーポレート/EC/管理画面のどこから始めるべきか」「既存システムとどうつなぐべきか」で迷う場合は、目的(KPI)と運用体制を前提に、段階的な導入プランを作るのが近道です。
株式会社ソフィエイトのサービス内容
- システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
- コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
- UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
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