ノーコードでできないことを事前に把握する方法

ノーコードは「万能」ではない:先に限界を知るのが成功の近道

ノーコードは、プログラミングをしなくてもアプリや業務ツールを作れる便利な選択肢です。特に中小企業では、見積・日報・案件管理・問い合わせ対応など、現場の「ちょっとした困りごと」を短期間で形にしやすく、コストも抑えられます。一方で、導入後に「やりたいことができなかった」「途中から開発会社に作り直しを相談することになった」という失敗も少なくありません。

失敗の多くは、ノーコードでできること/できないことの境界を、導入前に具体的に確認していないことが原因です。ノーコードは「できる範囲なら爆速」ですが、範囲外に踏み込むと、回避策(運用でカバー、別ツール併用、カスタム開発など)の設計が必要になります。ここを曖昧にしたまま走ると、現場の期待値が膨らみ、後半でコストも納期も膨らみます。

この記事では、専門知識がなくても実務で使えるように、ノーコードで難しい典型パターンと、事前に見抜くための確認手順をまとめます。ポイントは「機能の可否」を聞くだけではなく、業務の流れ・データ・権限・外部連携・運用ルールまで落として検証することです。

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まず押さえるべき「ノーコードで詰まりやすい領域」チェックリスト

ノーコードが苦手とするのは、派手な機能というより「企業の現実に合わせた細かい要件」です。以下は、事前に把握しておきたい代表例です。該当が多いほど、ノーコード単体では難易度が上がります。

  • 複雑な業務ルール:例)見積の値引き条件が担当・商品・金額・時期で変わる、承認フローが例外だらけ
  • 細かい権限・閲覧制御:部署・役職・担当顧客ごとに見える項目が違う、同じ画面でも列単位で非表示にしたい
  • 大量データ・高速処理:数十万件の検索、集計の多用、リアルタイム性が高いダッシュボード
  • 外部システムとの密な連携:基幹システム、会計、EC、SFA/CRM、倉庫などと双方向で同期したい
  • 独自のUI/UX要件:入力ミスを極限まで減らす画面、複雑な表計算のような操作性、オフライン対応
  • 監査・セキュリティ要件:操作ログの完全性、データ保管場所、アクセス制御、認証(SSO等)の制約
  • マルチテナント/顧客向け提供:自社利用ではなく、顧客に提供するSaaSのような構造

大事なのは、「できるかどうか」を一言で判定しないことです。ノーコードでも、プラグインや外部サービス、運用で回避できるケースがあります。ただしその場合、回避策のコストと運用負荷が、最初から織り込めるかが勝負になります。

できないことを早期にあぶり出す「要件の翻訳」:業務→データ→画面→権限

ノーコードの可否判断でありがちなミスは、「作りたい画面」から考え始めることです。画面は分かりやすい反面、裏にあるデータ構造や権限、例外ルールが抜けやすくなります。導入前におすすめなのは、次の順番で要件を“翻訳”するやり方です。

  1. 業務フロー:誰が、いつ、何を、どの順番で行うか(例外も書く)
  2. データ:何を記録し、どの単位で管理し、どこから来てどこへ渡すか
  3. 画面・帳票:入力・閲覧・承認・出力の画面、CSV、PDFなど
  4. 権限・運用:誰が見てよいか、更新できるか、監査ログは必要か

この順番で整理すると、「ノーコードだと苦しい要件」が浮き彫りになります。例えば、業務フローに「例外承認」が多いと、ツールが用意している承認機能では表現しきれず、結局“手作業の抜け道”が増えて管理が破綻します。また、データが「顧客」「案件」「見積」「請求」「入金」で密接に結びつき、さらに過去の履歴を参照して自動計算するような場合、ノーコードのデータ設計次第では動作が重くなったり、後から変更しづらくなったりします。

特に中小企業で見落としがちなのが「権限」です。営業マネージャーは全体を見たい、担当者は自分の顧客だけ、経理は請求だけ、といった現実の要望が出た瞬間、ノーコードの標準権限では足りず、設計の工夫や別ツール併用が必要になることがあります。ここを先に詰めるだけで、後半の手戻りが大きく減ります。

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ノーコード可否の見極め手順:相談前に用意する「7つの確認項目」

ベンダーやツール提供会社に「これできますか?」と聞く前に、社内で次の7項目を整理しておくと、可否の判断が早く正確になります。専門用語を避け、現場の言葉で書ける形にしています。

実現したいゴールと、やらないこと

「何を良くするか」を一文で書きます。例)「案件の進捗と見積履歴を一元化し、月末の追い込みで状況が見えない問題を解消する」。合わせて「今回はやらないこと」も決めます。スコープを線引きできると、ノーコードの得意領域に寄せやすいからです。

データ量の目安(今と1年後)

顧客数、案件数、月あたりの登録件数、添付ファイルの有無などを概算します。ノーコードは大量データでも動くことはありますが、検索・集計・表示の設計次第で体感速度が大きく変わります。「今は1万件だから大丈夫」でも、1年後に10万件を見込むなら、最初から設計を変える必要が出ます。

絶対に必要な連携(入力元・出力先)

例)Google Workspace、Microsoft 365、会計ソフト、既存CRM、LINE公式、EC、在庫、配送など。「片方向(取り込むだけ/出すだけ)」なのか、「双方向同期」なのかで難易度が跳ね上がります。ノーコードは外部連携が得意な面もありますが、連携先の仕様変更・エラー時の復旧運用まで含めて考える必要があります。

権限と、見せたくない情報

「誰に何を見せないか」を先に書きます。例)担当者同士で顧客の見積金額を見せたくない、外注先には案件名だけ見せたい、など。ノーコードは「ロール(役割)」単位の制御はできても、列単位・条件付きでの制御が弱い場合があります。ここが厳しいと、設計で回避するか、別システムを検討する判断材料になります。

帳票・印刷・PDFの要件

見積書・請求書・納品書など、会社のルールが詰まった帳票は難所です。ロゴ位置、余白、印鑑欄、品目の可変行、消費税計算の端数処理など、細部にこだわるほどノーコード単体での再現が難しくなります。帳票は「どこまで自動化するか」を決め、割り切りポイントを用意しましょう。

現場の入力体験(ミスの許容度)

入力者が多い業務ほど、UIの差が品質に直結します。たとえば、スマホで倉庫作業をする、外出先の営業が片手で入力する、といった場面では、標準UIだと入力ミスが増えることがあります。ノーコードの画面カスタム範囲を確認し、必要ならバーコード、選択式、必須チェックなどの工夫を検討します。

運用と保守:誰が直すか、止まったらどうするか

ノーコードの魅力は内製化ですが、「担当者が異動したら止まる」問題も起きがちです。更新する人、権限を付与する人、連携エラーが出たときの対応者を決めます。運用体制が曖昧だと、ツールの良し悪し以前に定着しません

判断のコツ:ノーコードで「できる/できない」を二択にしない

ノーコードの検討では、「それはできます」「それはできません」という二択を求めがちです。しかし実務では、次の3パターンに分けて判断すると現実的です。

  • そのまま実現できる:標準機能で要件を満たす。最優先でノーコード向き。
  • 工夫すれば実現できる:運用変更、機能の置き換え、外部サービス連携で実現。運用負荷を見積もる。
  • 実現はできるが、やるべきでない:作れても重い・壊れやすい・保守不能。最初から別案を検討。

たとえば「複雑な承認フロー」は、ノーコードのワークフローで“近い形”にはできても、例外が増えるほど設定がスパゲッティ化し、担当者しか触れない状態になります。この場合、業務側を整理して例外を減らす(運用改善)ほうが効果が高いことがあります。

また「大量データの集計」は、ノーコードの画面上で都度集計するのではなく、外部のBIやスプレッドシートに集計済みデータを渡す設計にすると安定します。つまり、ノーコードの限界を把握するとは、最適な分担(ノーコード・外部サービス・必要なら開発)を決めることでもあります。

判断に迷ったら、「半年後に仕様変更が入ったとき誰が直せるか」「データが2倍になったとき同じ速度で動くか」を質問に加えると、表面的なデモでは見えない弱点が見えてきます。

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失敗しないための事前検証:小さく作って壊してみる(PoCの進め方)

ノーコードの可否は、資料や営業トークだけでは分かりません。最短で確かめる方法は、PoC(試作)を「小さく・早く」作り、あえて厳しい条件で動かしてみることです。ここでいうPoCは、立派な試作品ではなく、判断材料を集めるための実験です。

おすすめの進め方は次の通りです。

  1. 業務の一部分に絞る:例)案件管理のうち「登録→担当割り当て→進捗更新」だけ
  2. 厄介な要件を1つ混ぜる:例)権限(担当者は自分の案件のみ)、外部連携(通知を送る)、帳票(CSV出力)など
  3. 実データに近い量で試す:100件ではなく、可能なら数千件以上のダミーデータを入れる
  4. 現場に触ってもらう:作り手ではなく、実際の入力者・承認者に使ってもらう
  5. 変更をわざと入れる:項目追加、必須化、計算ルール変更など、よくある変更を試す

PoCで見るべきは、「動くか」だけではありません。重要なのは、変更のしやすさ、権限設定の手間、連携エラー時の挙動、データの移行性(後で別システムへ移れるか)です。ノーコードはスピードが魅力ですが、長期運用では「変化への強さ」が効いてきます。

また、PoCの結果は「できないからダメ」ではなく、「この条件ならノーコード、ここからは開発」など、分割の意思決定に使えます。中小企業では、すべてを一度に変えるより、段階導入で成果を積み上げるほうが成功確率が上がります。

ノーコードが難しいと判明したときの現実的な選択肢

事前に検証して「ノーコードだけでは難しい」と分かったとき、次のような打ち手があります。重要なのは、失敗扱いにせず、最適解に切り替えることです。

  • 運用を変えてノーコードに寄せる:例外を減らす、承認ルールを統一する、帳票のこだわりを減らす
  • ノーコード+外部サービスで補う:通知、電子署名、帳票出力、ETL(データ連携)などを別サービスに任せる
  • 重要部分だけローコード/カスタム開発:顧客向け画面や複雑な計算など、競争力に直結する部分に投資する
  • 既製SaaSに寄せる:ゼロから作らず、業務をSaaSの標準に合わせる(最短で効果が出やすい)

ここで注意したいのは、「ノーコードで無理だったからフルスクラッチ開発しかない」という極端な結論です。多くの場合、業務システムは混成で最適化できます。たとえば、営業の入力はノーコードで素早く、会計連携は専用SaaS、基幹に関わる部分はAPI連携といった分担です。

判断基準はシンプルで、その機能が会社の強み(差別化)か、社内の共通作業(効率化)かです。差別化なら開発投資の価値があり、共通作業なら標準化して早く回すほうがリターンが出やすい、という考え方ができます。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

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  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
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まとめ

ノーコードでできないことを事前に把握するには、「ツールの機能一覧を見る」だけでは不十分です。業務フロー→データ→画面→権限の順に要件を翻訳し、データ量・連携・帳票・入力体験・運用体制まで落として確認すると、限界が早い段階で見えてきます。

また、可否を二択で判断せず、「そのまま可能」「工夫で可能」「できるがやるべきでない」に分けると現実的な意思決定ができます。PoCでは動作確認だけでなく、変更のしやすさと運用の持続性を必ず試してください。

もしノーコード単体が難しくても、運用改善、外部サービス併用、重要部分のみ開発など、選択肢は複数あります。自社の目的(差別化か、効率化か)に合わせて最適な組み合わせを設計することが、最短で成果を出すコツです。

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