営業部門でノーコードを活用する具体的な事例

営業部門でノーコードが効く理由(中小企業ほど効果が出やすい)

営業現場の悩みは、意外と「高度なIT」よりも「散らかった情報と属人化」にあります。例えば、問い合わせがメール・電話・フォーム・SNSに分散し、見込み客(リード)の対応漏れが起きる。案件の状況が担当者の頭の中にあり、週次会議のたびにExcelを更新している。見積書や契約書の作成が毎回ゼロからで、承認フローも口頭。こうした課題は、大規模な基幹システムを入れる前に、現場の流れを整えるだけで成果が出ることが多いです。

そこで有効なのがノーコードです。ノーコードとは、プログラミングを書かずに、画面操作(ドラッグ&ドロップや設定)で業務アプリや自動化を作れる考え方・ツール群を指します。代表例としては、データをためる「データベース型アプリ」、入力フォーム、ワークフロー(承認)、通知・連携の自動化などがあります。IT専任がいない中小企業でも、営業マネージャーや事務担当が「まずは小さく」改善を始めやすいのが特徴です。

営業でノーコードを使うメリットは大きく3つあります。1つ目はスピードです。改善案を思いついてから現場に出すまでが、従来の開発より短くなります。2つ目は費用です。月額課金のツールで始められ、機能が足りない部分だけ後から拡張できます。3つ目は定着です。現場が自分たちで触れるので、実運用に合わせて改善が回りやすい。特に「入力が面倒」「使われないCRM」といった失敗を避けやすくなります。

一方で、ノーコードは万能ではありません。複雑な権限設計、既存システムとの深い統合、大量データの処理、厳格な監査要件などは、ローコード(少し開発)やフル開発が必要になる場合があります。だからこそ本記事では、専門知識がなくてもイメージできるように、営業部門で効果が出やすい具体事例と、導入の手順・注意点まで実務目線で整理します。

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事例:リード管理と対応漏れ防止(フォーム→自動登録→担当割り当て)

最初に取り組みやすく、成果が見えやすいのが「リード管理(問い合わせ管理)」です。問い合わせが来たのに返信が遅れる、担当が決まらない、同じ会社に別担当が二重で連絡してしまう。これらは売上機会の損失だけでなく、企業イメージにも影響します。ノーコードなら、フォームの入力を起点に、データ登録・担当者割り当て・通知・リマインドまでを一気通貫で整えられます。

具体像は次の通りです。Webフォーム(または展示会後の入力フォーム)で受けた情報を、ノーコードのデータベース型アプリに自動登録します。登録時に「業種」「従業員規模」「問い合わせ内容」などの条件で担当を自動割り当てし、担当者へメールやチャットに通知。さらに、初回連絡期限(例:当日中、24時間以内)を自動で計算して期限が近づいたらリマインドを飛ばす。“誰が・いつまでに・何をするか”が自動で可視化され、対応漏れが仕組みで減ります

実務での設計ポイントは「入力項目を増やしすぎない」ことです。フォームに項目を詰め込みすぎると、問い合わせのハードルが上がります。営業側も後続で必要な情報はヒアリングできます。最初は、会社名・氏名・メール・電話・要件カテゴリ・自由記述の6〜8項目程度にし、管理側でステータス(未対応/対応中/提案中/失注/受注)や優先度(高/中/低)を付ける運用が現実的です。

もう1つは「重複判定」です。既存顧客や過去リードが同じメールで再問い合わせしてくることがあります。ノーコードの仕組みで、同一メール・同一ドメイン・同一会社名(表記ゆれ含む)などの条件で「既存データあり」をアラート表示するだけでも、二重連絡の事故を減らせます。表記ゆれの完全自動化が難しい場合は、最初は「候補を表示して人が確認」でも十分効果があります。

よくある失敗は、いきなり高機能なSFA/CRMに移行して入力が増え、現場が使わなくなるケースです。ノーコードであれば、まず「問い合わせ→初回連絡→次回アクション」までの最短ループだけを整え、運用が回ってから項目や自動化を足していくのが成功しやすい進め方です。

事例:案件(商談)パイプラインの見える化(Excel卒業の最短ルート)

営業会議のためにExcelを更新し、最新版がどれか分からなくなる。担当者ごとに管理方法が違い、パイプライン(案件の流れ)が見えない。こうした状態では、マネージャーは「数字の原因」を把握できず、適切な打ち手が遅れます。ノーコードを使うと、案件情報を一元化し、ステータス別の一覧や集計を自動で出せるようになります。

基本は「案件テーブル(案件名、会社、金額、確度、次回アクション日、担当、フェーズ)」を作り、入力フォームで更新します。フェーズは、問い合わせ→初回打合せ→提案→見積→稟議→受注/失注など、自社の営業プロセスに合わせて5〜8段階に抑えるのがコツです。フェーズが増えすぎるほど入力が面倒になり、データ品質が落ちます

ノーコードの強みは、「見える化の画面」を現場に合わせて作れる点です。例えば、担当者には自分の案件だけをカード形式(カンバン)で表示し、次回アクション日が近い順に並べる。営業マネージャーには、部署全体の受注見込み合計、フェーズ別金額、今月の失注理由のランキングをダッシュボード表示する。これにより、会議が「報告会」から「対策会」に変わります。

さらに一歩進めるなら、次回アクションのリマインドを自動化します。次回アクション日が今日の案件を朝に通知、期限超過は夕方に再通知、長期停滞案件(例:14日更新なし)を抽出してマネージャーへ通知、といった運用です。これにより、管理のための督促が減り、フォローの品質が上がります。

注意点は「数字の定義」を最初に揃えることです。例えば受注見込み(フォーキャスト)を「金額×確度」で計算するのか、「確度50%以上のみ合計する」のか。確度の基準(初回打合せ=20%、提案=50%など)を明文化しないと、担当者によって解釈がバラバラになります。ノーコードの画面や入力選択肢に基準を埋め込むと、運用が安定します。

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事例:見積・提案書の作成をテンプレ化してスピードと品質を両立

中小企業の営業で大きな時間を取られるのが、見積書・提案書の作成と差し戻し対応です。「前回の資料を探す」「単価表が最新か分からない」「割引ルールが人によって違う」「承認が口頭で記録が残らない」。この状態だと、作成時間が伸びるだけでなく、誤った金額提示というリスクも生まれます。

ノーコードでは、(1)商品マスタ(品目、標準単価、原価、粗利率の目安、説明文)、(2)見積ヘッダ(顧客、案件、納期、支払条件)、(3)見積明細(品目、数量、単価、値引き)をデータとして管理し、入力画面から見積を作れるようにします。合計金額、税、値引き上限などの計算は設定で実装できることが多く、担当者の計算ミスを防げます。“資料を作る”を“データを入力する”に変えるのがポイントです。

提案書についても、案件のフェーズや課題カテゴリに応じて、説明パーツ(導入効果、事例、スケジュール、体制、FAQ)を選択して組み立てる方式にすると、属人化が減ります。完成物はPDF化して共有し、どの版を顧客に出したかを案件に紐づけて保存します。これだけで「最新版が分からない」「差し戻し理由が追えない」といった混乱が減ります。

承認フローもノーコードの得意領域です。例えば、値引き率が一定以上の場合は部長承認、粗利が基準を下回る場合は役員承認など、条件分岐付きのワークフローにできます。承認時のコメントや履歴が残るので、後から「なぜこの価格になったか」を説明できます。監査対応や引き継ぎにも効きます。

注意点は、単価表や割引ルールの更新責任者を決めることです。仕組みを作っても、マスタが古いと逆に事故が増えます。「単価マスタの更新は営業企画」「更新は月1回」「変更は履歴を残す」といった運用設計までセットで進めると、ノーコードの効果が長続きします。

事例:日報・活動記録を“入力させる”から“残る仕組み”へ(音声/モバイル/自動集計)

営業日報は、運用の目的が「管理のため」になった瞬間に形骸化しやすい業務です。入力が面倒、忙しいと後回し、内容が薄い、集計に時間がかかる。結果としてマネージャーは状況を掴めず、現場は「書かされている」感が強くなります。ノーコードを使うと、日報を“入力させる”ではなく、“自然に残る”形に寄せられます。

例えば、スマホからワンタップで訪問先・商談内容・次回予定を記録できるフォームを用意し、選択式を中心にします。自由記述は「顧客の反応」「次回の宿題」など2項目に絞る。さらに、音声入力(スマホの音声認識)を前提にすると、移動中でも記録しやすくなります。入力の摩擦を減らす設計が、データの質を決めます

記録した活動は、案件や顧客に自動で紐づくようにします。これにより、引き継ぎ時に「顧客との会話の経緯」が追えるようになります。マネージャー側は、活動件数や提案件数などを自動集計し、個人別・チーム別の傾向を見られます。特に有効なのが、停滞案件の早期発見です。「最後の活動から14日以上経過」「次回予定が未設定」などの条件でリスト化し、朝会で確認すると、手遅れになる前にフォローできます。

また、日報の内容をそのまま週報にまとめるのは大変ですが、ノーコードなら「今週の活動ハイライト」を自動で一覧表示できます。さらに一歩進めて、定型文章(例:「今週の成果」「課題」「来週の重点」)をテンプレ化し、活動データから下書きを作る運用にすると、マネージャーと現場の双方が楽になります。

注意点は、監視のための指標を増やしすぎないことです。活動件数だけを追うと、質が落ちます。最低限「顧客価値につながる行動」に寄せた指標(提案数、次回アクション設定率、失注理由の回収率など)に絞り、日報が現場の武器になる設計にしましょう。

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導入手順と失敗回避(ツール選定より先に決めること)

ノーコード導入でつまずく多くの原因は、ツールの性能ではなく「業務の決め事が曖昧」「入力の負担が大きい」「誰が運用するか不明」の3点です。最初に決めるべきは、(1)対象業務の範囲、(2)成功指標、(3)最低限の入力項目、(4)運用責任者です。“作ること”より“使われ続けること”をゴールに置くのが重要です。

おすすめの進め方は、小さく作って早く回すことです。まず2〜4週間で、営業のコアである「問い合わせ→初回連絡→次回アクション」か「案件パイプライン」だけに絞って作ります。この段階では、理想の100点を狙いません。現場で毎日使う画面を最優先し、入力は最短にします。次に、1〜2か月運用しながら、入力項目の見直しや自動通知、見積テンプレ、承認フローなどを段階的に追加します。

権限設計も初期に考えておきたいポイントです。営業担当には自分の案件のみ編集可、マネージャーは全案件閲覧・集計可、経営者はダッシュボード閲覧中心、といった形です。顧客情報や単価情報を扱うため、閲覧範囲を曖昧にするとトラブルになり得ます。ノーコードでも権限管理ができるツールは多いので、最初から「誰が何を見られるか」を棚卸ししておきましょう。

既存システム(会計、基幹、メール、カレンダー、チャット)との連携は、できる範囲で自動化すると効果が跳ね上がります。ただし、連携を増やしすぎると壊れやすくなるため、優先度をつけます。例えば、(1)フォーム→リード登録、(2)案件更新→通知、(3)受注→請求処理への情報受け渡し、の順で段階的に進めるのが現実的です。

最後に、ノーコードは「属人化の解消」にも「属人化の温床」にもなり得ます。作った人しか直せない状態を避けるため、設定内容(テーブル定義、計算式、通知条件)を簡単な運用ドキュメントに残し、最低でも2名が触れる状態にしておくと安心です。必要に応じて、外部の伴走支援や開発支援を組み合わせると、スピードと安全性の両立ができます。

まとめ

営業部門の改善は、「大きなシステム導入」よりも「現場の情報の流れを整えること」から始めると成功しやすく、その手段としてノーコードは非常に相性が良い選択肢です。リード管理の対応漏れ防止、案件パイプラインの見える化、見積・提案書のテンプレ化、日報の定着と自動集計など、売上に直結する領域で効果を出しやすいのが特徴です。

一方で、ツール選定だけ先に進めると失敗しがちです。対象範囲、成功指標、入力項目、運用責任者、権限設計を先に決め、小さく作って早く回し、運用しながら改善することが重要です。自社の営業プロセスに合わせて“使われる仕組み”を作れれば、少人数でも強い営業体制に近づけます。

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