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ユーザーリサーチを最短で回す:インタビュー設計と分析
なぜ「最短で回すユーザーリサーチ」が重要なのか
プロダクト開発の現場では、「リリースしてみたら想定したユーザーには刺さらなかった」「社内では好評なのに、実際のユーザーはほとんど使ってくれない」といった悩みが頻繁に起こります。その多くは、企画段階でのユーザーリサーチやユーザーインタビューが不足しているか、一度きりの調査で終わってしまっていることに起因します。ユーザー調査をやっていないわけではなくても、「年に一度の大掛かりなUXリサーチだけ」「最初のリリース前だけインタビューした」という状態では、プロダクトが変化し続けるスピードに情報が追いつかなくなります。
特に、個人開発者や少人数チームのPM、プロダクトも見ながら組織全体をマネジメントしている管理職の方々にとって、毎回大規模なユーザーリサーチを実施するのは現実的ではありません。そこで重要になるのが、「完璧を目指さず、最短で回すユーザーリサーチ」という発想です。1~2週間程度の短いサイクルでユーザーインタビューを繰り返し、その都度インサイトを得て意思決定に反映していく。このリズムができると、仕様の迷いが減り、手戻りも大きく抑えられます。
また、ユーザーリサーチは「きれいなレポートを作ること」ではなく、「次の一歩を決める材料を集めること」が目的です。小さくてもユーザーインタビューを重ねていくと、ユーザーが本当に困っているポイントや、想定外の利用シーンが見えてきます。そうした気づきは、UI改善だけでなく、料金体系やサポート体制、営業トークなどにも波及していきます。つまり、開発チームだけでなく、ビジネス側にとってもユーザーリサーチはROIの高い投資だといえます。
とはいえ、すべてを自社だけでやろうとすると、「インタビュー設計のやり方が分からない」「分析の仕方に自信がない」「忙しくて準備が後回しになる」といった壁にぶつかりがちです。そうしたときには、株式会社ソフィエイトのような外部パートナーと組み合わせ、重要なフェーズだけ支援を受けることで、最短で回すユーザーリサーチの仕組みを整えていくことも視野に入れてよいでしょう。
ユーザーリサーチを最短で回す5ステップの全体像
ユーザーリサーチを最短で回すためには、難しいフレームワークを覚える必要はありません。大事なのは、やることをシンプルな5ステップの業務フローに落とし込むことです。ここでは、個人開発からBtoBのSaaSまで使える基本の流れを紹介します。
ステップ1:テーマと意思決定したい問いを絞る
最初に、「今回のユーザーリサーチで何を決めたいのか」を1~2行で書き出します。例えば「新しいオンボーディング画面の方向性がユーザーに合っているか」「管理職ユーザーがレポート機能に何を求めているか」などです。この問いが抽象的すぎると、ユーザーインタビューで何を聞けばよいか分からなくなります。逆に、問いを具体化しておくと、自然とインタビュー設計の方向性も見えてきます。
ステップ2:インタビュー設計と対象ユーザーの定義
次に、誰にどのようなユーザーインタビューを行うかを決めます。ここで行うインタビュー設計は、対象ユーザーの条件(例:直近1か月で3回以上利用しているユーザー/解約検討中のユーザーなど)、実施方法(オンライン・オフライン)、インタビュー時間(30分~45分)、そして質問の流れ(導入→現状→課題→理想→プロトタイプへの反応)を組み立てる作業です。詳細は後のセクションで解説しますが、この段階で「誰に」「何を」聞くのかを明文化することがポイントです。
ステップ3:ユーザーインタビューの実施
インタビュー設計に沿って、実際にユーザーインタビューを行います。このとき、1サイクルで5~8名程度話を聞くことを一つの目安にするとよいでしょう。人数が少なすぎると傾向が見えづらく、多すぎると分析が重たくなり、結果としてユーザーリサーチが続かなくなります。録画や自動文字起こしツールを活用しつつ、重要な発言をその場でメモしておくと、後工程がとても楽になります。
ステップ4:短時間での分析とインサイト抽出
ユーザーインタビューのあとに行う分析も、「完璧」を目指すと終わりません。最短で回すユーザーリサーチでは、発言の中から「よく出てきた課題」「意外だった気づき」「次の施策に直結しそうなヒント」を抽出し、3~5個のインサイトとしてまとめる程度を基本とします。このとき、後から見返しても分かるように、発言の具体例やユーザー属性も添えておきます。
ステップ5:意思決定とプロダクトへの反映
最後に、抽出したインサイトをもとに、バックログの優先順位付けや仕様の変更を行います。「このユーザーリサーチの結果、何をやめて、何を優先するのか」を具体的に決めることが大切です。この5ステップを1~2週間で1サイクル回せるようになると、インタビュー設計から分析までが自然と習慣化し、ユーザーリサーチが特別なイベントではなく、日々の開発プロセスの一部として定着していきます。
成果を左右するインタビュー設計:質問づくりと対象選定のポイント
インタビュー設計は、ユーザーリサーチ全体の成果を左右する重要な工程です。ここがあいまいだと、ユーザーインタビューの場で話が散らばり、終わってから「結局、何が分かったのか…」と頭を抱えることになります。逆に、インタビュー設計がしっかりしていれば、多少ファシリテーションに慣れていなくても、必要な情報を取りこぼしにくくなります。
まず押さえたいのは、対象ユーザーの条件を言語化することです。「うちのユーザー」で済ませず、「個人開発者向けプランを契約しているユーザー」「現場のPMとして日常的にダッシュボードを見ているユーザー」「管理職としてメンバーマネジメントに時間を取られているユーザー」など、ペルソナ像を具体的に描きます。ユーザーリサーチの目的に応じて、「ヘビーユーザーだけ」「解約経験がある人だけ」といった絞り込みをすることも有効です。
次に、質問の組み立て方です。ありがちな失敗は、「この新機能、使いたいですか?」「このUI、どう思いますか?」といった、評価を直接聞く質問だけで終わってしまうパターンです。実務的なユーザーインタビューでは、「いつ・どこで・誰と・なぜ」そのプロダクトを使うのかといった行動ベースの質問を中心に据えます。例えば、「最後にこのツールを使ったのはいつですか?そのときの状況を教えてください」「最初にどこでつまずきましたか?」といった聞き方をすると、具体的な利用シーンと課題が見えやすくなります。
インタビュー設計の型としては、「導入(自己紹介と目的共有)→現在の業務・生活の理解→既存のワークフローとツールの使い方→課題や不満の深掘り→理想の状態のイメージ→プロトタイプや画面へのフィードバック→クロージング」という流れが汎用的に使えます。この順番に沿って質問メモを作れば、ユーザーリサーチの経験が浅い方でも、30~45分のユーザーインタビューを無理なく進められます。
さらに、実務では社内共有のしやすさも意識したインタビュー設計が重要です。インタビューガイドの中で、「この質問はPM向け」「このパートは経営層への報告で特に使う」といった観点を意識しておくと、あとから要点を抜き出すときに迷いません。株式会社ソフィエイトにご相談いただく場合も、まずはラフなインタビュー設計を一緒に作り、それをもとに対象選定や質問の精度を上げていく、という進め方が多くの企業で好評です。
ユーザーインタビューの進め方と素早い分析のコツ
実際にユーザーインタビューを行う場面では、インタビュー設計で決めた内容をベースにしつつ、その場の空気に柔軟に対応することが求められます。まず大切なのは、事前準備です。候補者リストを用意し、メールやアプリ内メッセージ、SNSなどで声をかけ、日程調整まで一通りテンプレート化しておくと、毎回のユーザーリサーチがぐっと楽になります。オンラインで実施する場合は、事前に接続テストの案内や、簡単な事前アンケートを送っておくと、当日の時間を「雑談ではなくインサイト」に使いやすくなります。
インタビュー開始時には、「本日はプロダクトの良し悪しを評価する場ではなく、日頃の困りごとや率直なご意見を伺いたい」というメッセージを明確に伝えます。これにより、ユーザーは「正解を答えなければ」というプレッシャーから解放され、ユーザーリサーチとして価値の高い本音を話してくれるようになります。質問の投げ方としては、誘導的な「~ですよね?」を避け、「どのように感じましたか?」「なぜそう思ったのでしょうか?」と開かれた問いを意識して使います。
画面やプロトタイプを見せるユーザーインタビューでは、「まずは自由に触ってもらう→その様子を観察しながらメモ→気になったポイントをあとから言語化してもらう」という順番が有効です。このとき、ユーザーが迷っている間にこちらが説明してしまうと、ユーザーリサーチとしての観察機会を失ってしまいます。あえて少し待ち、「今、どんなことを考えながら操作していましたか?」と聞くことで、UI上の課題がはっきり見えてきます。
インタビュー後の分析では、すべての発言をテキスト化して完璧に整理しようとすると、そこで体力を使い果たしてしまいます。最短で回すユーザーリサーチを目指すなら、まず「3つの観点」でメモを整理する方法がおすすめです。具体的には、①ユーザーが繰り返し口にしていた課題、②チームの想定とズレていた気づき、③次の施策候補になりそうなアイデア、の3種類に分けて付箋やスプレッドシートにまとめます。これだけでも、インタビュー設計・実施で得た情報のエッセンスを、意思決定に使える形に変換できます。
ある程度サイクルを回していくと、「インタビュー設計はできるようになったが、分析とまとめがいつも重たく感じる」というフェーズがやってきます。こうしたタイミングで、株式会社ソフィエイトのような外部パートナーに、分析とレポート作成だけスポットで依頼する企業も少なくありません。最初の数回だけプロと一緒に分析プロセスを設計しておけば、その後は社内で同じ型を再利用しながら、効率的にユーザーリサーチとユーザーインタビューを回し続けられます。
Tips:1インタビューごとに「5分だけ」振り返り時間を確保する
インタビュー直後の5分で、「印象に残った発言」「想定と違った行動」「次回のインタビュー設計で変えたい点」を3行だけメモしておくと、後からまとめて分析するときの負担が大きく減ります。小さな習慣ですが、最短で回すユーザーリサーチには欠かせない工夫です。
自走と外部パートナー活用のバランス:ソフィエイトに相談すべきタイミング
ここまで読んで、「小さく回すユーザーリサーチのイメージはついてきたが、社内だけでやり切れるか不安だ」と感じた方も多いはずです。実務では、「どこまで自走し、どこから外部に頼るか」の線引きがとても重要になります。すべてを外注してしまうと、社内にユーザーリサーチの知見が溜まらず、毎回ゼロからのスタートになってしまいます。一方で、すべてを自前でやろうとすると、インタビュー設計や分析の品質にばらつきが出たり、担当者に過度な負荷がかかってしまいます。
おすすめは、「最初の数サイクルだけ外部パートナーと併走し、その後は自走を基本にする」というアプローチです。例えば、株式会社ソフィエイトのようなUX/UIに強いチームに対して、「初回のインタビュー設計とインタビューガイドの作成」「対象ユーザーの選定」「1~2回のユーザーインタビュー同席」「分析テンプレートの提供」までを依頼します。これにより、自社は早い段階で「実務で使える型」を手に入れ、その後のユーザーリサーチやユーザーインタビューを自分たちで回せるようになります。
一方で、事業の重要な節目や、大きな方向転換を伴うプロジェクトでは、あえて外部パートナーに深く入ってもらう判断も有効です。新規事業の立ち上げ、料金モデルの刷新、大規模なUIリニューアルなどは、「経営層を説得できるだけの調査・分析」と「実装につながる具体的な示唆」が求められます。こうした場面では、インタビュー設計から分析、意思決定会議向けの資料作成まで一貫してサポートできるソフィエイトのような存在が、チームの負担を大きく減らします。
大切なのは、「自社のリソースとスキルでカバーできる範囲」「外部の経験とノウハウを借りた方が早い範囲」を冷静に見極めることです。そのためにも、まずはこの記事を参考に小さなユーザーリサーチを1回回してみてください。インタビュー設計からユーザーインタビュー、分析まで一通り経験して初めて、「どこが楽しくて、どこがしんどいのか」「社内で伸ばしたいスキルはどこか」が見えてきます。その上で、「ここだけ手伝ってほしい」という具体的な相談ができるようになれば、ソフィエイトとの連携もよりスムーズになるはずです。
まとめ:小さく始めて、継続的なユーザーリサーチの習慣へ
本記事では、ユーザーリサーチを「最短で回す」ことに焦点を当て、インタビュー設計からユーザーインタビューの実施、分析、そして外部パートナーの活用まで、一連の流れを解説しました。個人開発者、PM、管理職といった立場の違いにかかわらず、共通しているのは「限られた時間と予算の中で、できるだけ間違いの少ない意思決定をしたい」というニーズです。そのための最も強力な武器が、日常的に回せるユーザーリサーチとユーザーインタビューの仕組みです。
まずは、完璧なUXリサーチを目指すのではなく、「1~2週間で1サイクル」を回すことを目標にしてください。小さなテーマに対してインタビュー設計を行い、5名程度のユーザーインタビューを実施し、短時間でインサイトをまとめる。その結果をもとに仕様やUIを少しずつ磨いていく。この繰り返しの中で、プロダクトの精度だけでなく、チームの意思決定スピードや自信も着実に高まっていきます。
同時に、「全部自分たちでやらなければ」と思い込む必要もありません。インタビュー設計や分析に不安があるフェーズでは、株式会社ソフィエイトのような外部パートナーにサポートを依頼することで、遠回りを避けることができます。自走できる部分は自走し、要所では専門家の力を借りる。そのバランスを取りながら、ユーザーリサーチを組織の習慣として根付かせていくことが、長期的なプロダクト成長につながっていきます。
この記事が、これからユーザーリサーチやユーザーインタビューを始めたい方、あるいは一度試したものの継続できなかった方にとって、「もう一度、今度は小さく・素早く始めてみよう」と思えるきっかけになれば幸いです。
株式会社ソフィエイトのサービス内容
- システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
- コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
- UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
- 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い
ユーザーリサーチを最短で回すためのインタビュー設計と分析のポイントを、個人開発者・PM・管理職にも分かりやすく解説。小さく始めて継続し、必要に応じてソフィエイトへ相談したくなる実務目線のガイドです。
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