MakeとZapierどっちを選ぶ?機能・料金・拡張性の徹底比較【2025】

MakeとZapierの使い分けを1分で理解:結論から先に

本記事は、中小企業の経営者・マネージャーの方に向けて、Make(Make.com/旧Integromat)とZapierの違いを、現場で役立つ視点で徹底比較します。先に結論を述べると、「営業やマーケのSaaS連携でスピード重視」ならZapier、「分岐・ループやデータ整形を多用する業務基盤の自動化」ならMakeが適しています。とはいえ万能薬はなく、費用の伸び方・ワークフローの複雑さ・データ量と頻度・社内のITリテラシーの4軸で総合判断するのが現実解です。読了後には、明日からの選定・設計・見積りに使える基準とテンプレが手に入ります。

  • シンプルで回数が多い処理:フォーム→スプレッドシート→チャット通知などはZapierが実装も運用も軽い
  • 分岐と繰り返し、集約が多い処理:在庫・受発注・請求などの自動化Makeが柔軟
  • 迷ったら二段構え:まずZapierでスモールスタート→要件肥大化でMakeに移管

5分診断(簡易チャート)
1) 処理は単線か多分岐か? 2) 配列処理(複数明細)は多いか? 3) 月間トランザクションは1万件を超えるか? 4) 内部の自動化責任者はいるか? 5) 将来のSaaS差し替えの予定は?
「単線・小規模・担当は非エンジニア」ならZapier、「分岐・配列・集約・将来拡張」ならMakeを第一候補に。

すぐ共有したい方向けに、比較早見表イメージも用意しました(保存・社内展開可)。

Make と Zapier の比較 2025:機能・料金・拡張性と自動化の適性

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基本スペックの本質:できること/できないことを正しく理解

Zapierは「トリガー→アクション」の流れ(Zap)を直感的に組め、マルチステップや条件分岐にも対応します。日常業務の自動化を素早く形にでき、特にフォーム受付→CRM登録→メール/チャット通知のような一連の処理に強みがあります。一方のMakeは、視覚的なシナリオ上でルーター(分岐)、フィルタ(条件)、イテレーター(配列分割)、アグリゲーター(集約)を駆使し、分岐・繰り返し・集約を細かく制御できます。WebhookとHTTPモジュールを組み合わせれば、社内SaaSや自社APIと密に連携した業務自動化を設計可能です。

データ整形の扱いやすさも差が出ます。Zapierは検索・整形・スケジュールといった基本機能が揃い、中小企業の汎用的な自動化を広くカバーします。Makeはモジュール単位の操作を積み重ねる設計で、Webhook受信→イテレーターで分割→検証→整形→集約→外部APIという高度なシナリオが自然に書けます。学習コストはZapierが低く、Makeは機能が豊富なぶん体系立てた設計思考が要ります。

運用で効くポイント(ログ・リトライ)
どちらも失敗検知と履歴の確認が重要です。Zapierは実行ログとエラーメール通知、Makeはシナリオの実行履歴とバンドル単位のエラー把握が可能。実務では「失敗時の再実行」「原因切り分け」「再発防止のルール化」をSOPに落としておくと、自動化が止まりにくくなります。

ユースケースの肌感も押さえましょう。CRM連携スプレッドシート処理メール自動化チャット通知はどちらも可能ですが、Zapierは「素早く作って素早く直す」チューニングが得意。Makeは「要件が増えても破綻しにくい」設計が得意です。

料金と総コスト:タスク課金 vs オペレーション課金を腹落ち

Zapierタスク(Zapが実行した処理単位)課金、Makeオペレーション(モジュール実行単位)課金です。単純でも回数が多い自動化Zapier側のコストが伸びやすく、分岐やループを多用する自動化Makeでの消費が増えやすい構造。現実的に見積もるには、「1トリガーあたりの平均ステップ(/モジュール)数 × 月間件数」を算出し、分岐や再試行を含めた上で試算します。

例えば「問い合わせフォーム(1,500件/月)→CRM登録→ステータスに応じて通知」の自動化を考えると、Zapierは3〜5タスク/件、Makeは4〜8オペレーション/件が目安です。配列明細の処理や外部検索が挟まると倍増しやすく、Makeは上限到達時に10,000単位の追加オペレーション自動購入(サーチャージあり)を有効化できます。恒常的に上限へ達するなら、プランの見直しやシナリオの集約・バッチ化・条件分岐整理でTCOを抑えます。

隠れコストに注意:監視・保守・障害対応・教育の負担は意外と大きい。Zapierは担当が非エンジニアでも回しやすい一方、Makeは高度な自動化が作れるぶん、設計指針やレビュー体制を用意した方が安心。誰が面倒を見るかで総所有コスト(TCO)は変わります。

費用対効果の測定は、人時削減エラー率処理遅延一次回答SLAといったKPIで追い、月次でログを見直すのが定石です。設計変更やSaaSの追加でも崩れないよう、ZapierMakeの混在運用も選択肢に入れておくと安全です。

拡張性・保守性・セキュリティ:長く使うほど効く運用のしやすさ

MakeWebhookHTTPモジュールが強力で、カスタムAPIや私設SaaSとの密な統合がしやすい設計です。ZapierInterfaces/Tables/Canvasといった周辺機能で、業務の可視化から自動化設計、軽量DBまでを一体で運用できます。どちらもカスタムコネクタやスクリプト拡張(JavaScript等)の現実解があり、非エンジニア主導でも運用できる一方で、難所は専門家の伴走を活用するとコストが抑えられます。

保守運用では、バージョン管理権限設計(職務分離)、監査ログ失敗検知の通知、テスト環境の用意が要。個人情報(PII)を扱う自動化では、マスキング、最小転送、IP制限、保持ポリシーの確認が不可欠です。ISMS等の監査要件を想定し、Zapierでは共有フォルダ/組織管理、Makeではシナリオ権限とログの定期レビューを標準化します。

分離設計の指針
将来のSaaS追加・置換に耐えるため、中間テーブル(例:スプレッドシート/Tables)、キュー(例:未処理一覧)、共通関数化(フォーマット変換)を導入。ZapierMakeのどちらでも自動化の再利用性が高まり、障害時の切り戻しも容易になります。

監視は「異常の早期検知」と「影響最小化」が肝心です。失敗通知の閾値、リトライ回数、サーキットブレーカ的な停止条件を明文化し、経営指標と紐づけて運用することで、自動化が経営リスクになることを防げます。

シナリオ別の最適解:現場のボトルネックから選ぶ

営業・マーケ領域では、広告リード同期、商談化通知、スコアリングなど「単純だが回数の多い自動化」が中心です。ここはZapier優位。フォーム受付→CRM→チャットの基本線をまず固め、途中で重複排除やスコアリングを加えるだけで効果が出ます。バックオフィスやEC/在庫では、受注データの分岐処理、配列明細の展開、集約、複数APIの段階呼び出しが必要になり、Makeの柔軟性が光ります。

大量データ・高頻度・リアルタイム要件では、API制限、待ち行列、整合性といったボトルネックに注意。ZapierZapier 料金のタスク消費が先行しやすく、Makeは並列・集約設計で効率化できる反面、オペレーション数が増える傾向があります。両者とも、キュー設計・バッチ化・再実行ポリシーの整備で安定化します。

7つの実例スケッチ(入力→処理→出力)
1) 問い合わせ→CRM→通知:Zapier(単線・高速)
2) 受注CSV→検証→会計:Make(配列・集約)
3) 広告リード→重複排除→MA:Zapier(検索・条件)
4) 在庫API→閾値判定→アラート:Make(分岐・ループ)
5) サポートチケット→タグ付け→ダッシュボード:Zapier(整形・可視化)
6) マーケットプレイス→整合性検査→DWH:Make(並列・集約)
7) フォーム→スプレッドシート→経営週次:Zapier(軽量運用)

なお、内部リンクも参考に:
ブラウザ自動化とAPIの選び方
生成AIと検索の設計(RAG)
社内FAQボットの運用自動化

失敗しない導入手順と運用モデル:小さく始めて止まらない仕組みへ

初月は棚卸し→要件最小化→PoC→SOP化の順で進めます。まず「手作業10分以上の定型処理」を洗い出し、Zapierで価値が出やすい自動化を2〜3本立ち上げます。毎週ログを見て失敗要因とタスク消費の高止まり箇所を特定。要件が複雑化してきたら、Makeへ移し替え、1トリガーあたりの平均モジュール数×月次総量を算出してプランを最適化します。突発需要が想定されるときは、Makeの追加オペレーション自動購入で止まらない運用にしつつ、恒常化すれば上位プラン移行でTCOを下げます。

見積もりは、要件×複雑度×頻度×可用性目標で積み上げ、人時削減・エラー率・処理遅延のKPIで投資対効果ラインを設定。内製化のロードマップは、1か月で運用定着、3か月で改修の自走、6か月で設計再利用を目指します。教育はZapierMakeの両面をカバーし、命名規則や権限・監査の運用ルールをテンプレート化すると、属人化を防げます。

CTA:自社に最適な自動化構成を短期で設計したいなら、無料相談をご利用ください。要件整理〜設計〜実装〜監視〜内製化まで伴走します(お問い合わせ)。

Zapier と Make の運用モデル:自動化のSOPと監視体制

株式会社ソフィエイトのサービス内容

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