自社で脆弱性を簡単にチェックする方法(専門知識なしでも今日からできる)

なぜ今「自社で脆弱性チェック」が必要なのか

ニュースで「不正アクセス」「情報漏えい」と聞くと、大企業やIT企業の話に見えがちです。しかし実際は、規模の大小に関係なく、攻撃者は“守りが弱いところ”を自動的に探して狙います。中小企業でも、取引先の踏み台として利用されたり、ランサムウェアで業務停止に追い込まれたりするケースは珍しくありません。

ここで重要なのが「脆弱性(ぜいじゃくせい)」の考え方です。脆弱性とは、システムや設定の“弱点”のこと。たとえば、古いバージョンのソフトを使い続けている、不要な管理画面がネットに公開されている、パスワードが弱い、などが典型です。これらは、必ずしも高度な攻撃でなくても、既存のツールで“機械的に”悪用されます。

外部の専門会社に診断を依頼するのも有効ですが、予算があっても「何をどう頼めば良いかわからない」「依頼しても運用が続かない」という相談が多いのが現実です。そこで本記事では、専門知識がなくても取り組めるように、自社でできる脆弱性チェックを“段階的に”整理します。ポイントは、いきなり難しい脆弱性診断ツールに飛びつくのではなく、①資産の把握、②外部から見える範囲の確認、③更新と設定の整備、④継続運用、の順で「攻撃されにくい状態」を作ることです。

なお、本記事で扱う「簡単にチェック」は、医療でいう健康診断のようなものです。異常の兆候を早めに見つけ、必要なら精密検査(専門診断)に繋げるのが目的です。“ゼロリスク”ではなく“リスクを下げ続ける”という視点で読み進めてください。

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まず把握すべき「守る対象」:資産台帳がないと脆弱性は減らせない

脆弱性の話を始める前に、最初にやるべきは「何を守るか」を決めることです。意外ですが、ここが曖昧なまま脆弱性チェックをしても効果が出ません。なぜなら、攻撃者が狙うのは“存在しているのに管理されていないIT資産”だからです。たとえば、昔作ったキャンペーンサイト、退職者が残したクラウドアカウント、使っていないVPN装置などが典型的な穴になります。

難しい台帳システムは不要です。まずはExcelやスプレッドシートで、次の項目を埋めていきます。

  • 外部公開しているもの:Webサイト、EC、問い合わせフォーム、採用サイト、サブドメイン
  • 社内で使うもの:業務システム、ファイルサーバ、NAS、複合機、Wi-Fi機器
  • クラウド:Microsoft 365 / Google Workspace / AWS / Azure / GCP / SaaS(会計、勤怠、CRMなど)
  • 誰が管理者か:担当部署、委託先、緊急連絡先
  • 重要度:止まると業務が止まるか、個人情報を扱うか

この一覧ができると、脆弱性チェックの優先順位が決まります。基本は「外部公開×重要度が高い」から。たとえば、問い合わせフォームや会員サイトは、個人情報と直結しやすいので優先度が上がります。

情シスがある企業でも、クラウド利用が増えるにつれ“見えないIT”が増えます。部署が独自に契約したSaaS、外注が作ってそのままになった管理画面などです。ここは責任追及ではなく、「棚卸しして守る」文化に変えるのが成功のコツです。月1回でも良いので「新しく導入したITは必ず台帳に追加する」ルールを置くと、脆弱性の温床が減っていきます。

最短で効果が出る:外部から見える「入口」をセルフチェックする

専門知識がなくても成果が出やすいのは、「外部から見える入口」を減らすことです。攻撃者は、まずインターネット越しに見える範囲(公開資産)をスキャンし、脆弱性のあるところを自動で絞り込みます。つまり、こちらも同じ発想で「自社が外からどう見えているか」を確認します。

実務としておすすめのセルフチェックは次の通りです。

  • 公開URLの洗い出し:自社ドメイン配下のサイト、サブドメイン(例:dev、test、old、stg)
  • 管理画面の露出確認:/wp-admin、/admin、/manage などが露出していないか
  • TLS/HTTPSの状態:ブラウザで「保護されていない通信」と出ないか、証明書期限が近くないか
  • 不要な公開の停止:使っていないサイトや古いLPを閉じる、Basic認証やIP制限をかける

ここで「脆弱性スキャンツール」を使う場合でも、いきなり高度な診断ではなく、“公開範囲の見える化”に役立つツールから始めるのが安全です。例としては、サブドメインや公開サービスを列挙してくれる仕組み、SSL/TLSの設定不備を見つけるチェックなどがあります。重要なのは、ツール名を覚えることではなく、「外に出ている入口を減らす」という行動です。

また、よくある落とし穴として「テスト環境」があります。開発会社が確認用に立てたstaging環境が、弱いパスワードのまま公開されていた、という事例は多いです。テスト環境は本番より守りが薄くなりやすく、脆弱性の宝庫になりがちです。本番以外は“原則非公開”を基本にし、公開が必要ならIP制限などで入口を絞りましょう。

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“更新するだけ”で減らせる脆弱性:OS・アプリ・CMSのパッチ運用

脆弱性対策で最も費用対効果が高いのは「アップデート」です。理由はシンプルで、多くの攻撃は「既に知られている脆弱性」を狙うからです。攻撃者はゼロから穴を探すより、公開済みの脆弱性情報と自動攻撃ツールを使って、更新されていない環境を狙います。つまり、更新が遅いだけで“狙われやすい会社”になってしまうのです。

まず、更新対象を3つに分けます。

  • 端末:Windows / macOS、ブラウザ、Office、PDF閲覧ソフトなど
  • サーバ:OS、ミドルウェア(Webサーバ、DBなど)
  • Web:CMS(WordPress等)、プラグイン、テーマ、ECパッケージ

情シスが詳しくなくても回せる方法は、「更新の責任者と周期」を決めることです。おすすめは、端末は自動更新を基本にして例外だけを管理、サーバとWebは月1回の“更新日”を設ける運用です。業務上、更新で不具合が怖い場合は、いきなり本番に適用するのではなく、事前に検証環境で更新→本番へという順にします。検証環境がないなら、外注先に「更新前にバックアップを取り、ロールバック手順を用意してから実施」と依頼するだけでも事故は減ります。

特にWordPressなどのCMSは、脆弱性の影響が大きくなりやすい領域です。プラグインの更新が止まっていたり、使っていないプラグインが残っていたりすると、それだけでリスクになります。使っていない機能は“無効化”ではなく“削除”を基本にしましょう。無効化しただけだと、ファイルが残り、脆弱性が悪用される可能性が残るためです。

「アップデート=面倒」と感じる場合、経営・管理側の理解を得る工夫として、更新は“保険”ではなく“メンテナンス”だと伝えると通りやすいです。車検と同じで、放置すると突然止まり、結果的に高くつく。脆弱性対応は、止まらないための定期整備です。

無料/低コストでできる脆弱性チェックの具体策(情シスが詳しくなくても回る)

ここからは、実務で「今日から始められる」チェック項目を、難易度順にまとめます。すべてを一度にやる必要はありません。“できるものから積み上げる”のが継続の秘訣です。

端末・アカウント周り(まずここ)

  • 多要素認証(MFA)を必須化:メール、グループウェア、クラウド管理画面は特に優先
  • 退職者・異動者のアカウント停止:人事イベント時に即日対応(委託先アカウントも含む)
  • 管理者権限の棚卸し:「誰が管理者か」を毎月確認し、必要最小限に
  • 端末暗号化:ノートPCの紛失対策(OS標準機能で対応可能なことが多い)

脆弱性というとシステムの穴を想像しがちですが、実際は「認証の弱さ」や「権限の過剰」から突破されることも多いです。MFAは最優先で、導入難易度の割に効果が大きい対策です。

Webサイト周り(外部公開の要所)

  • CMS/プラグインの更新状況:更新停止がないか、サポート切れがないか
  • WAF/CDNの活用:既知の攻撃パターンを入口で弾く(運用負荷を下げやすい)
  • バックアップの定期取得:改ざん・ランサム時に“戻せる”ことが事業継続
  • 管理画面の防御:IP制限、二段階認証、ログインURL変更などを組み合わせる

「脆弱性をゼロにする」より、「侵入されにくくする」「侵入されても被害を小さくする」「復旧できる」に分けて考えると設計しやすくなります。Webは特に、復旧(バックアップ)があるだけで被害額が大きく変わります。

社内ネットワーク周り(見落としがち)

  • ルータ/UTMのファーム更新:放置されやすいが攻撃対象になりやすい
  • NAS・複合機の管理:初期パスワードのまま、外部公開されていないか確認
  • Wi-Fiの設定:古い暗号方式のままになっていないか、ゲスト用を分離できているか

ここは「昔から動いているから大丈夫」が危険です。ネットワーク機器は更新が止まりやすく、脆弱性が放置されがちです。年1回でも良いので、機器一覧と更新状況を確認しましょう。

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ツール導入で失敗しないための判断軸:スキャン結果の読み方と優先順位

脆弱性スキャンや診断ツールを使うと、結果が大量に出て戸惑うことがあります。「Critical」「High」などの表示が並び、何から手を付ければ良いか分からない状態です。ここでのコツは、“深刻度”と“影響範囲”を分けて考えることです。

優先順位は、次の順が実務的です。

  1. 外部公開×認証突破に直結:ログイン回り、管理画面、リモートアクセス(VPN/RDP等)
  2. 外部公開×既知の脆弱性:CMS/ミドルウェアの更新で解消できるもの
  3. 内部のみだが横展開しやすい:共有端末、共通パスワード、権限過多
  4. 参考情報レベル:設定の推奨(ベストプラクティス)

また、スキャン結果には「誤検知」が混ざることがあります。表示だけを見て慌てて止めるのではなく、“本当にその資産が対象か”を資産台帳に照らして確認します。たとえば、既に廃止したサブドメインが検出されていたり、CDN配下で実際のサーバが異なる構成になっていたりすると、結果の解釈がズレます。

社内に技術者が少ない場合は、スキャン結果を「対応チケット」に落とすのが重要です。おすすめの項目は、対象(URL/サーバ名)、指摘内容、想定影響、対処案(更新/設定/停止)、期限、担当(社内/外注)です。こうすると、脆弱性の話が“怖い話”から“作業管理”に変わり、動かしやすくなります。

最後に、忘れてはいけないのが「再発防止」です。直したら終わりではなく、同じ種類の脆弱性が別の資産にもないか横展開して確認します。たとえばWordPressの更新遅れが原因なら、他のWordPressも同様にチェックする。一度の学びを全体に反映することで、少ない工数でも防御力が上がります。

社内で回る運用にする:月次ルーチンと外部委託の使い分け

脆弱性対策が続かない最大の理由は、「担当者の頑張り」に依存してしまうことです。詳しい人が異動・退職すると止まる。そこで、“運用の型”として固定化します。おすすめは月次ルーチン化です。

  • 月1回:端末・サーバ・CMSの更新状況確認、重要アラートの確認、管理者権限棚卸し
  • 四半期:外部公開資産の棚卸し(不要な公開停止)、バックアップ復元テスト
  • 半年〜年1回:脆弱性診断(外部)、インシデント対応訓練(連絡網・判断基準)

「予算はあるが詳しくない」場合、外部委託の使い分けがポイントです。社内でやるべきは、資産台帳の維持、MFAや権限管理などの“運用ルール”。外部に頼むべきは、脆弱性診断の実施、難しいサーバ更新、WAF設計、ログ分析などの専門領域です。社内は意思決定と管理、外部は技術実装と分けるとスムーズです。

委託時の注意点として、「診断して報告書をもらって終わり」にしないこと。報告書はあくまで材料です。対応が進まない原因は、担当不明・期限不明・影響不明になりがちなことです。契約の段階で、“改善対応(改修・設定変更)まで含めるか”を明確にしましょう。含めない場合でも、対応チケット化、優先度付け会議、期限設定まで支援してもらうと効果が出やすいです。

もう一つの現実的な論点が「責任分界」です。クラウドやSaaSでは、事業者が守る範囲と、自社が守る範囲が分かれています。自社側の設定(MFA、権限、共有設定、ログ監査)が弱いと、いくらサービス側が強固でも事故が起きます。“設定は自社のセキュリティ”という意識を持つことが、脆弱性対策を前に進めます。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

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まとめ

自社での脆弱性チェックは、専門家しかできないものではありません。まずは「守る対象(資産台帳)を整理」し、「外部から見える入口を減らし」、そして「更新(パッチ)を習慣化」するだけでも、リスクは大きく下がります。ツールは万能ではないので、結果をチケット化し、優先順位を付けて淡々と対応することが成功の近道です。

また、継続の鍵は“人”ではなく“仕組み”です。月次・四半期のルーチンに落とし込み、社内は意思決定と運用ルール、外部は専門領域の実装・診断という役割分担にすると、詳しくなくても回ります。今日できる小さな改善を積み上げることが、最大のセキュリティ投資になります。

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