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相見積もりで失敗する理由7選:システム開発 見積が割れる構造と、ベンダー選定を“比較可能”にする実務ガイド
製造・物流・医療・小売などでDX/システム導入を任されたとき、まず立ちはだかるのが相見積もりです。複数社見積(相見積)を取れば適正価格が見える――そう思って動いたのに、出てきたシステム開発 見積はバラバラ。比較表を作ろうとしても「A社は運用保守込み、B社は別」「C社は連携が含まれていない」など前提が揃わず、結局は“いちばん安い案”か“担当者が安心できる案”に流れがちです。この状態ではベンダー選定を社内で説明できず、発注後に追加費用や運用費の爆増、納期遅延の火種を抱えます。
この記事は、成功事例の紹介ではなく、相見積もりで失敗が起きる構造を分解し、システム開発 見積を「比較できる情報」に変えるための実務手順をまとめたものです。読み終える頃には、①見積差が出る理由、②比較軸、③発注側でできる要件整理と運用費抑制、④契約・発注方式の落とし穴が、社内説明できる形で手元に残ることを目指します。
この記事で扱う“現場の悩み”
- 相見積もりを取ったのに、システム開発 見積が割れて判断できない
- 安い見積書に飛びついたら、後から追加費用が止まらない
- ノーコード/スクラッチ、改修/刷新の判断が社内で通らない
- ベンダー選定の根拠が「担当者の好み」に見えてしまう
1. なぜ相見積もりは失敗しやすいのか:見積差が出る“構造”
相見積もりで失敗が起きる最大の理由は、比較の前提が揃わないまま、価格だけを並べてしまうことです。そもそもシステム開発 見積は「値札」ではなく、ベンダーが抱える仮説の集合です。どの業務を、どの範囲まで、どの品質で、どの期限で実現するか。その前提が曖昧なほど、ベンダーは自社の経験で穴埋めし、リスクを積むか、逆に“抜け”を前提に安く出すかのどちらかになります。結果として相見積もりの金額差は、実力差ではなく「前提差」になります。
ここで重要なのは、発注側がベンダー選定の前に「比較設計」をしておくことです。比較設計とは、相見積もりに出す条件(成果物・スコープ・品質・運用・契約前提)を揃え、各社が同じ土俵でシステム開発 見積を作れる状態にすること。比較設計ができると、金額差は「設計方針」「体制」「リスクの見積り方」「運用まで見た提案力」の差に近づきます。つまり、相見積もりは、比較設計があって初めて武器になります。
たとえば製造業では、現場端末の制約(古いブラウザ、工場ネットワークの分離、夜間停止不可)や、検査・トレーサビリティの監査要件が後から出てきて、相見積もり後に設計変更が連鎖しがちです。物流ではWMSや配送会社APIなど外部連携の前提差でシステム開発 見積が割れます。医療では個人情報保護・アクセス制御・ログ保全などの品質要件が重く、安い見積書ほど“どこかが抜けている”可能性が高い。小売ではPOS/EC/在庫のデータ整合と移行が難所になり、除外事項の差が金額差に直結します。こうした業界差は、ベンダーの経験差でもありますが、発注側が前提を書き出していないことが原因で、比較不能な相見積もりになりやすい点は共通です。
逆に言えば、相見積もりの段階で「現場制約」「監査・セキュリティ」「外部連携」「データ移行」「運用体制(誰が運用するか)」を先に整理すると、システム開発 見積は“割れて当然”から“差の理由が説明できる”に変わります。ベンダー選定で迷う時間が減り、稟議や現場調整に使う時間が増えるので、プロジェクト全体の成功確率も上がります。
よくある“前提ズレ”の3点セット
①成果物(何が納品物か)、②スコープ(どこまで含むか)、③品質(性能・可用性・セキュリティ・保守性など)。この3点が揃っていないと、システム開発 見積は割れ、ベンダー選定は説明できなくなります。
2. 相見積もりで失敗する理由7選:症状→原因→回避策(社内説明の型)
ここでは相見積もりで頻発する失敗を、社内説明に使える「症状→原因→回避策」の型で整理します。7つは独立ではなく連鎖しやすいので、気になった項目から対策しても効果が出ます。
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(1)要件が曖昧で、各社が勝手に解釈する:同じ依頼のつもりでも、A社は“現場入力の簡略化”まで含め、B社は“画面を増やして対応”し、C社は“運用で回す前提”で出します。結果としてシステム開発 見積が割れます。回避策は、目的(何を改善するか)と、現行業務のボトルネック(誰が・どこで・何に時間がかかるか)を文章で明示し、質問の窓口を一本化することです。
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(2)スコープが揃っていない(含む/含まないが不明):データ移行、教育、端末設定、監査資料、マスタ整備などは「入っているつもり」で抜けやすい代表例です。回避策は、見積依頼に「含むもの/含まないもの(除外事項)」の仮リストを付け、各社に“差分だけ”追記させること。相見積もりの比較が一気に楽になります。
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(3)前提条件(連携・データ・環境)が未確定でリスクが上乗せされる:外部システム連携、ネットワーク制約、データ量・品質、現場端末のOSなどが曖昧だと、ベンダーは安全側に見積ります。回避策は「現状棚卸し(As-Is)」を先に一度だけやり、連携先・データ種別・件数・更新頻度・制約(例:夜間停止不可)を箇条書きで渡すことです。
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(4)品質要件が未定で“安いが危ない”が混ざる:性能・可用性・権限・監査ログ・セキュリティは、作ってから決めると高くつきます。回避策は、品質を「最低限の目標値」に落として合意すること。例:同時利用者数、画面応答、バックアップ、権限粒度、監査ログ保持期間など。これでシステム開発 見積の差は“品質差”として説明可能になります。
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(5)運用保守が比較から漏れて、導入後に運用費が爆増する:問い合わせ対応、マスタ更新、権限申請、障害一次対応、監査対応などは継続コストです。相見積もりでは初期費用ばかり見てしまいがちですが、回避策は「運用タスク一覧」を作り、誰が・何分で・月何回を仮置きして、運用保守の範囲と前提を見積依頼に含めることです。
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(6)見積書の内訳が粗く、比較軸がない:一式見積では、同じ金額でも中身が違います。回避策は、工程別(要件定義、設計、開発、テスト、移行、教育、運用準備)と成果物別に内訳を要求し、「前提条件」「除外事項」「リスク」を明記させること。これで相見積もりの比較が“根拠ベース”になります。
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(7)発注方式・契約がミスマッチで、追加費用の揉めが起きる:成果物が確定していないのに請負にすると、変更が揉めます。逆に、成果物が固まっているのに準委任で進めると、責任境界が曖昧になります。回避策は、フェーズを区切り「不確実性が高い区間は準委任+検討成果」「確定後は請負」と段階設計すること。ベンダー選定時点で変更手順(変更要求→影響分析→追加見積→合意)まで握ると、後の爆発を止められます。
社内説明テンプレ(そのまま稟議に貼れる形)
「相見積もりの差は、前提・スコープ・品質・運用の差で発生している。比較軸を揃えたうえで、システム開発 見積の根拠(成果物・内訳・除外・リスク)を横並びにし、ベンダー選定は“金額”ではなく“根拠と運用までの総コスト”で判断する。」
3. 比較できる相見積もりに変える:RFP(提案依頼書)と比較軸の作り方
相見積もりを比較可能にする鍵は、RFP(提案依頼書)で「揃えるべき情報」を先に渡すことです。RFPは分厚い必要はありません。中堅・中小企業のDXでは、A4で5〜10ページ程度でも十分効果があります。重要なのは、ベンダーが勝手に補完しなくてもシステム開発 見積を作れる情報が入っていることです。
最小構成としては、①背景と目的(なぜ今やるか、どのKPIを変えるか)、②対象業務の範囲(部署、拠点、対象ユーザ)、③現状課題(手作業、転記、属人化、監査対応など)、④連携・データ・制約(既存システム、データ量、ネットワーク、現場端末、稼働時間)、⑤要求事項(機能の方向性、優先順位、運用の想定)、⑥評価観点(比較軸)です。ここまで書けると、複数社見積(相見積)でも質問の質が揃い、ベンダー選定の議論が前に進みます。
RFPを書くときは、完璧を目指すよりも「誤解される余地を減らす」ことを優先します。具体的には、相見積もりの依頼メールに添付する形で、次の2枚があるだけでも効果があります。1枚目は“背景と目的のサマリ”(KPI、現状の痛み、期限、関係部署)。2枚目は“前提一覧”(連携先、データ、端末、稼働時間、セキュリティ・監査の必須条件、運用体制)。この2枚を起点に質疑を回し、回答を全社に同じ文章で配布すると、複数社見積(相見積)の前提が揃い、システム開発 見積の比較が成立します。
また、評価観点(比較軸)は「点数化」までしておくと社内説明が強くなります。例として、価格(初期+運用)20点、提案の妥当性20点、運用の回しやすさ20点、非機能(性能・可用性・セキュリティ)20点、体制と進め方20点など。点数化の狙いは“数学的に決める”ことではなく、ベンダー選定の議論を「好き嫌い」ではなく「観点の不足」に戻すことです。相見積もりの結果をこの表に落とすだけで、安い見積書が本当に得か、運用費を含めて妥当かを説明しやすくなります。
比較軸は「機能が入っているか」だけでは不十分です。おすすめは、相見積もりの比較表を最初から稟議資料の形に寄せること。列に「成果物」「スコープ」「非機能(性能・可用性・セキュリティ)」「運用保守」「移行」「体制」「リスク」「総コスト(初期+運用)」「変更の扱い」を置き、各社に同じ形式で埋めてもらいます。これだけで、システム開発 見積の比較が“金額”から“前提と根拠”に変わります。
Tips:比較表に必ず入れるべき“除外事項”欄
相見積もりで最も危険なのは「含まれていると思った作業」が後から請求されることです。除外事項欄が空白の見積書は、比較不能だと考え、再提出を依頼しましょう。
4. 見積書の読み解き方:内訳・前提・リスク・契約を“比較可能”にする
システム開発 見積を読み解くとき、最初に見るべきは金額ではありません。見る順番を固定すると、相見積もりの迷子を防げます。おすすめの順番は、①成果物(何が納品されるか)、②前提条件(環境・データ・連携・体制)、③除外事項(やらないこと)、④内訳(工程別工数と単価)、⑤リスクと対応(不確実性の扱い)です。これを各社で揃えて初めて、ベンダー選定の比較が成立します。
比較のためにベンダーへ投げる質問も、テンプレ化しておくと便利です。たとえば「このシステム開発 見積に含まれる成果物を列挙してください」「除外事項を“将来必要になりそうな順”に並べてください」「最も大きいリスクを3つ挙げ、回避策と追加工数の見込みを書いてください」「運用保守の範囲(SLA、対応時間、一次切り分け、改修の扱い)を明記してください」。この質問に対する回答が濃い会社ほど、相見積もりの段階で“運用まで見た提案”ができている傾向があります。ベンダー選定で迷うときは、価格差ではなく回答差を見にいくと判断が安定します。
特に注意したいのが「テスト」と「移行」です。テストは品質を担保する唯一の工程で、ここが薄い見積書は、後から障害対応や改修で運用費が膨らみやすい。移行は、データ品質や業務停止の制約で工数が跳ねます。相見積もりでは“移行の前提(データ件数、クレンジングの担当、停止時間)”を明記し、各社のシステム開発 見積が同じ前提で作られているかを必ず確認してください。
具体的には、工程別に「要件定義」「外部設計」「内部設計」「開発」「テスト」「移行」「教育」「運用準備」が並んでいるかを確認し、各工程の成果物が列挙されているかを見ます。たとえば要件定義に「業務フロー」「画面一覧」「帳票一覧」「データ項目定義」「運用設計」が入っているか。テストに「テスト計画」「テスト仕様」「受入支援」が入っているか。これらが薄い場合、後工程で品質問題として跳ね返り、運用費が膨らみます。相見積もりの段階で、見積書の中に“品質を作る作業”が含まれているかを確認することが、結果的に安くなります。
契約・発注方式もベンダー選定の比較軸に含めるべきです。成果物が確定していない初期フェーズは、検討成果(要件整理、プロトタイプ、リスク洗い出し)を目的に準委任で進め、確定後の開発は請負で成果物と検収条件を明確にする、といった段階設計が現実的です。特に、仕様変更・機能追加の扱いを文面で決めていないと、相見積もり後に「当初想定外」で増額しやすい。見積依頼時点で変更手順をテンプレ化し、各社に同意させると、システム開発 見積の“安さ”に潜むリスクを潰せます。
危険サイン(相見積もりで赤信号になりやすい)
- 除外事項が空白、または「一式」ばかりで根拠が見えない
- 運用保守が別紙・別契約で、範囲も単価も不明
- 連携・移行・教育など“面倒な工程”が極端に薄い
- 品質要件(性能・可用性・セキュリティ)に触れていない
5. コストを下げる実務:要件整理でシステム開発 見積を締め、運用費を抑える
相見積もりでコストを下げる最短手段は、値切りではなく「不要な作業を見積に入れない状態」を作ることです。そのために効くのが要件整理です。要件整理のコツは、いきなり“理想の機能一覧”を作るのではなく、現場の業務を「標準」と「例外」に分け、例外の処理を先に決めること。例外が曖昧だと、ベンダーはリスクとして見積り、システム開発 見積が上がります。逆に例外が決まると、標準処理はパッケージ・SaaS・ノーコードで寄せられ、総コストが下がることがあります。
ノーコード/スクラッチの選定でも、相見積もりの考え方は同じです。ノーコードは初期のシステム開発 見積が下がりやすい一方、権限の細かさ、複雑な連携、監査要件、将来拡張で制約が出ることがあります。スクラッチは初期費用が上がりやすい一方、運用・拡張を含めた最適化がしやすい。大事なのは「今の要件」だけで選ばず、運用タスク(誰が運用し、どれだけ変更が発生するか)を基準にすることです。運用で変更が頻発するなら、変更のたびに外注が必要な設計は運用費を押し上げます。
改修か刷新かの判断でも、見積比較の軸を持つとブレません。改修は短期で価値が出やすい反面、技術負債や仕様の複雑さで工数が読みにくく、相見積もりでもシステム開発 見積が割れやすい。刷新は移行や現場教育の負荷が大きい反面、運用の標準化で長期の運用費が下がる場合があります。意思決定のポイントは「現行の制約(止められない、連携が多い、監査が重い)」「運用で変化が起きる頻度」「5年スパンの総コスト」。この3点を整理し、ベンダー選定の比較表に載せると、社内合意が取りやすくなります。
次に、運用費を抑えるための運用設計を要件の一部として扱います。問い合わせ対応、権限変更、マスタ更新、監査ログ確認、障害一次対応などを、誰が・どの頻度で・どの手順で行うか。ここが曖昧だと、導入後に「運用が回らない→改修→運用費爆増」のループに入ります。相見積もりの段階で、運用タスクの一覧をRFPに添付し、各社に運用負荷の見積り(作業時間や運用支援の範囲)を書かせると、ベンダー選定で“運用できる提案”が残ります。
変更管理もコストを左右します。プロジェクトが動き出すと、現場からの要望は必ず増えます。ここで「口頭で追加→いつの間にか増額」が起きると、相見積もりの意味が消えます。対策は、変更要求をチケット化し、影響分析(工数・納期・品質)→追加見積→承認、の順に必ず通すことです。これを発注側の運用に落とせると、システム開発 見積の精度が上がり、社内の信頼も増えます。
手順(発注側がやることを最小化した“相見積もりの回し方”)
- ①RFPの骨子(目的・範囲・制約・評価観点)を作る
- ②各社からの質問を集約し、回答を文書で共有(同条件化)
- ③前提・除外・品質・運用を揃えた再見積(2回目)を取る
- ④比較表でベンダー選定し、契約と変更手順まで握る
まとめ
相見積もりで失敗しないための要点はシンプルです。相見積もりは「価格を比べる行為」ではなく「前提と根拠を揃えて、システム開発 見積を比較可能にするプロセス」です。そのために、成果物・スコープ・品質・運用・契約の5点を揃え、見積書を“金額の紙”から“前提とリスクの文書”として読む。これができれば、ベンダー選定は説明可能になり、導入後の運用費爆増や追加費用の連鎖を止めやすくなります。
社内共有用チェックリスト(このまま貼れる)
- 相見積もりの条件(成果物・スコープ・品質・運用・契約前提)は揃っているか
- システム開発 見積に「前提条件」「除外事項」「内訳」「リスク」が明記されているか
- 運用保守の範囲と単価、運用タスクの想定が比較できるか
- 仕様変更の手順(影響分析→追加見積→合意)が決まっているか
- ベンダー選定の根拠を比較表で説明できるか
もし「相見積もりは取ったが比較できない」「システム開発 見積の妥当性が判断できない」「ベンダー選定の根拠が社内で通らない」と感じたら、第三者目線で“比較設計”から伴走できる相手を持つと、意思決定が速くなります。ソフィエイトでは、見積レビュー、RFP整形、方式選定(ノーコード/スクラッチ、改修/刷新)、比較表作成まで、発注側が社内説明できる材料づくりを支援できます。相談時は、対象業務、連携先、データ量、期限、現状課題(3つ程度)があると具体化が早いです。
株式会社ソフィエイトのサービス内容
- システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
- コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
- UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
- 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い
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