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“とりあえずMA入れたけど動かない”を避けるために。成長期の企業がまず選ぶべき基準とは?
年商5〜10億の企業は、営業・マーケティングが本格的に仕組み化され始める“成長初期”のフェーズです。しかし、この段階で多くの企業が陥るのが、「MAツールを導入したものの誰も使いこなせない」「高機能すぎてメール配信機能しか使われない」「結局、既存の営業フローと噛み合わず属人的な運用に逆戻りしてしまう」といった、道具だけ立派で成果が出ない状態です。
その理由は明確で、“企業のフェーズに合ったMAツールを選べていない”からです。
この記事では、年商5〜10億の会社が「最初に入れるべきMA」を実務視点で解説し、選び方の基準、避けるべき落とし穴、導入の30日PoCロードマップまでをまとめます。
この記事のゴール
年商5〜10億フェーズに最適なMAツールを選び、すぐ成果につながる運用をスタートできる状態になること
なぜ成長フェーズでMA導入が“効く”のか:属人営業から卒業するための重要ステップ
中小〜中堅企業が成長するとき、最初に限界が来るのが「営業の属人化」です。トップ営業が売上を牽引する一方で、その他のメンバーは伸び悩み、全体として再現性がない状態が続いてしまいます。
MA(マーケティングオートメーション)は、この“再現性の欠如”を補い、誰が担当しても一定の成果が出る営業フローを構築するための基盤です。
具体的には、見込み顧客の温度感をスコア化して優先順位を付けたり、見込み客へのメール・ナーチャリングを自動化したりすることで、営業とマーケティングの情報断絶を防ぎます。また、資料請求から商談までの導線を仕組み化し、失注後のフォローなど“漏れやすい業務”を自動化することも可能です。
つまりMAとは、単なるメール配信システムではなく、営業人数を増やさずに売上を引き上げる“レバレッジツール”なのです。
年商5〜10億の会社に最適なMAとは? 最初に抑えるべき判断基準
MAツールは高機能なものほど良いように見えますが、年商5〜10億フェーズに必要なのは“シンプルで運用しやすい”ツールです。選定時は以下の4つの基準を意識してください。
基準①:メール配信とスコアリングが簡単であること
多くの企業でMAが失敗する最大の理由は、「設定が複雑すぎて誰も触らなくなる」ことです。最初は多機能である必要はありません。「メール配信(ステップメール含む)」と「リードスコアリング」の2つが直感的に操作できれば十分です。この2つが整うだけで、「温度の高いリードから商談化する」という理想の営業フローが回り始めます。
基準②:フォーム・LP作成が“ノーコード”で行えること
外注やエンジニアがいなくても、自社で完結できることは極めて重要です。スピードが出る会社の共通点は、マーケ担当者が自力で施策を試せる環境にあることです。フォーム作成、LP作成、セグメント作成がノーコードで扱えるMAは、成長初期の企業にとって大きな武器になります。
基準③:SFA/CRMとの連携が容易であること
年商5〜10億フェーズは、「営業の案件管理を整えるタイミング」とも重なります。もしMAがCRM(顧客管理システム)と連携していないと、スコアが営業に共有されず、「誰がどの見込み客を追うべきか」が不透明になり、運用崩壊を招きます。HubSpotのようにCRMまでセットになっている、あるいは連携が容易なMAを選ぶことで、この問題を一気に解決できます。
基準④:月額5〜10万円で始められること
MarketoやPardotのような高額で多機能なMAを入れても、現場が回せなければ意味がありません。年商5〜10億企業で最も導入成功率が高いのは、月額5〜10万円のシンプルMAです。費用よりも大事なのは、「現場が毎日ストレスなく触れるかどうか」。ここが最優先事項です。
候補になるMAツール:フェーズ別のおすすめ
成長初期の企業が最初に入れるべきMAは、現実的に以下の2つに集約されます。
● HubSpot(無料〜月額数万円)
CRM、MA、CMSまでが統合されており、「初めてのMA」としてはHubSpot一択といってよいほど使いやすいツールです。メール・フォーム・スコアリングが直感的で、CRM連携も標準装備されているため、営業フローと顧客管理がすぐに整います。成長スピードが速く、社内のITリテラシーが高い企業に最適です。
● SATORI(月額10万円前後)
日本企業向けに特化したMAで、サポートの手厚さや管理画面のわかりやすさに定評があります。最大の特徴は、問い合わせ前の「匿名アクセス(IPベース)」の分析に強い点です。BtoB向けのリード獲得を特に重視したい企業に向いています。
導入後に失敗しないための“30日PoCロードマップ”
MA導入は、いきなり全社展開するのではなく「まず小さく回す」のが鉄則です。次の30日間のPoC(概念実証)を実施すれば、運用が自然と安定化します。
【1週目】現状フローの棚卸しとMA設定
まずは既存の営業フローを書き出し、どこに課題があるかを確認します。その上で、フォームとCRMをMAに統合し、3〜5項目程度の最低限のスコアリングを設定しましょう。欲張って設定しすぎないことがポイントです。
【2週目】スコアリング検証×メール運用開始
ステップメールを最低1本作成し、配信を開始します。同時に、設定したスコアリングが適切かどうか、「高スコアのリードが本当に商談化するか」を検証し始めます。
【3週目】営業との連携テスト
マーケティング側だけでなく、営業側との連携を強化します。スコア情報の共有ルールを作り、「MA経由の商談化率」を週次で確認する体制を整えましょう。
【4週目】改善案の整理→本運用へ移行
ここまでの結果をもとに、スコアの重み付けを修正したり、ステップメールの内容を反応に合わせて最適化したりします。この改善サイクルが回るようになれば、本運用へ移行しても失敗しません。
MA導入で絶対にやってはいけないこと
失敗する企業には共通点があります。それは、「担当者を決めずに責任を曖昧にする」「メールなどのコンテンツを作らずスコア設定だけに没頭する」「フォーム管理がバラバラのまま放置する」そして「営業がMAをまったく見ない」ことです。
MAは「導入したら勝手に売上が上がるツール」ではありません。あくまで、“売れる仕組みの土台”を作るための道具であることを忘れないでください。
まとめ:成長期の企業こそシンプルなMAから始めよう
年商5〜10億フェーズは属人営業の限界が来る時期であり、ここで仕組み化できるかどうかがその後の成長を左右します。最初に選ぶべきは、「簡単・使われる・CRM連携が楽」なMAです。
HubSpotやSATORIなど、自社に合ったシンプルなツールを選び、30日間のPoCで“運用が回る状態”まで持っていくこと。これが最も失敗の少ない導入方法です。
あなたの会社が次のステージに進むための基盤として、MA導入は非常に効果的な投資です。まずは小さく、しかし確実に運用が回る仕組みを作っていきましょう。
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