オンプレとクラウドの違いを比較して自社に合う方を判断する方法

オンプレミスとクラウドの違いを「一言」で言うと

オンプレミス(オンプレ)とクラウドの違いは、ざっくり言えば「システムの置き場所と責任分界」です。オンプレは自社内(自社のサーバールーム等)にサーバーやネットワーク機器を置き、設計・購入・構築・運用までを自社(または委託先)が担います。クラウドは、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなどの事業者が用意した基盤を借り、必要な分だけ使って運用します。

ただし「クラウド=全部お任せ」ではありません。クラウドでも、アカウント管理、権限設計、バックアップ方針、ログ監視、アプリ側の脆弱性対応などは利用者側の責任です。反対にオンプレでも、保守契約や監視サービスを使えば運用負荷を減らせます。つまり重要なのは、流行りで選ぶのではなく「自社が背負える責任と、守りたい要件」から判断することです。

この記事では、ITに詳しくない方でも判断できるように、オンプレとクラウドを比較する軸(コスト、セキュリティ、スピード、運用、災害対策、拡張性)と、最終的な選び方を「チェックリスト」と「判断手順」に落とし込みます。情シスがある大企業でも、中小企業でも共通する「失敗しやすいポイント」も解説します。

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比較の前に押さえる:オンプレ・クラウド・ハイブリッド・SaaS

「オンプレかクラウドか」を考える前に、選択肢が2択ではないことを整理します。現場では次の4つが混在しがちで、言葉のズレが判断ミスにつながります。社内の会話で用語を揃えるだけでも、意思決定がスムーズになります。

  • オンプレミス:サーバーや機器を自社で保有・設置し、構築から運用まで主体的に管理する
  • クラウド(IaaS/PaaS):インフラや基盤をクラウド事業者から利用し、必要な範囲を自社で設計・運用する
  • ハイブリッド:一部はオンプレ、一部はクラウド(例:基幹はオンプレ、分析はクラウド)で連携する
  • SaaS:会計、勤怠、CRMなど「完成品のサービス」を利用する(例:Microsoft 365、Salesforce等)

「クラウドにしたい」と言っていても、実際に求めているのがSaaS導入(既製品に業務を寄せる)なのか、IaaS/PaaSでのシステム構築(自社要件に合わせる)なのかで、費用も期間も体制も大きく変わります。たとえば在庫管理を見直す際、「自社独自の商習慣をそのまま再現したい」ならカスタム開発寄りになりますし、「運用を標準化して属人化を解消したい」ならSaaS適用の方が近道なこともあります。

また「クラウド=安い」と断言できない点も重要です。クラウドは初期費用を抑えやすい一方で、使い方が雑だと月額が膨らみます。オンプレは初期投資が重い一方で、使い方が安定していると長期的に読めることもあります。結論として、まずは自社が欲しいのが“場所”なのか、“仕組み”なのか、“出来上がったサービス”なのかを言語化してから比較に進みましょう。

オンプレとクラウドを比較する6つの軸(コスト・セキュリティ・運用など)

ここでは、意思決定で必ず揉めやすいポイントを6つの軸に整理します。会議では「どっちが優れているか」よりも、自社にとって重要度が高い順に並べると決めやすくなります。

コスト:初期費用 vs 月額、そして“見えない費用”

オンプレはサーバー、ネットワーク機器、ラック、電源、空調などの初期費用が必要になりがちで、導入までのリードタイムも発生します。クラウドは初期費用を抑えやすく、早く始められますが、利用量に応じて課金されるため運用しながらコスト最適化する力が求められます。

見落としがちなのが「人件費」と「運用品質」です。オンプレは保守・障害対応・更新計画(保守期限の管理、機器更改)などが必要で、担当者の確保が課題になります。クラウドも、設定ミス(公開範囲、権限、鍵管理)や、使いっぱなしのリソース(不要なサーバー・ストレージ)でコストが増えます。どちらも“放置の代償”が大きい点は共通です。

セキュリティ:強い弱いではなく「設計と運用の適合」

「オンプレは社内だから安全」「クラウドは外部だから不安」という理解は半分正しく、半分危険です。オンプレでも、パッチが当たっていない、ログが見ていない、バックアップが検証されていない、といった状態なら事故は起きます。クラウドでも、権限を最小化し、ネットワーク境界を設計し、監査ログを保管し、暗号化を徹底すれば高いセキュリティを実現できます。

ポイントは「自社が求める統制(監査、権限、証跡)をどこまで担保できるか」です。たとえば個人情報や機微情報を扱う場合、アクセスログの保持期間、委託先管理、データの保管場所(リージョン)、バックアップの保管先などの要件を整理して、オンプレ・クラウド双方で実現方法を比較します。

スピード:調達と変更の速さが競争力になる

クラウドの強みは「必要なものをすぐ用意できる」ことです。新規事業やPoC(試行)では、まず小さく始めて、うまくいったら増やす、という流れが現実的です。オンプレは調達・設置・設定の工程があり、変更にも時間がかかりやすい一方、仕様が固まっている基幹系では計画的に運用できます。

注意点として、クラウドは速い分、ルールがないと乱立します。環境が増えすぎて誰も全体像を説明できない、コストが部門ごとにブラックボックス化する、といった事態が起きます。スピードを活かすには命名規則、権限、費用配賦(タグ付け)、変更手続きなどの運用ルールが必要です。

可用性・災害対策:停止が許されない業務かどうか

「落ちないこと」が重要なシステムでは、冗長化、バックアップ、監視、復旧訓練が欠かせません。クラウドは複数拠点への配置(マルチAZ等)を設計しやすく、災害対策も組み込みやすい一方で、設計しなければ単一障害点は残ります。オンプレは自社の設備に依存するため、停電・回線断・災害時の対応計画が重要になります。

ここでのコツは「止まったら何が起きるか」を業務で定義することです。たとえば「受注は止められないが、分析レポートは翌日でもいい」といった具合に、業務ごとに重要度を分けます。すべてを最高品質にするとコストが跳ね上がるため、重要なところに投資を集中させる判断が必要です。

拡張性:成長・季節変動・キャンペーン耐性

アクセスが急増するEC、キャンペーン、決算期に処理が集中する業務などは、クラウドの拡張性が相性良いことが多いです。オンプレはピークに合わせた設備投資が必要になり、普段は余っているのに費用は発生する、という状態になりがちです。

一方で、負荷が一定で数年変わらないようなシステムでは、オンプレや固定契約の方が予測しやすい場合もあります。クラウドでも「常時稼働の大きな構成」をそのまま置くと月額が高くなるため、スケールさせる仕組み(自動増減、停止、サーバーレス等)を前提に設計するのが重要です。

運用体制:誰が何をどこまで責任を持つか

最後に一番現実的な軸が運用体制です。オンプレはハード故障対応、保守契約、入退館管理なども含めてやることが多く、属人化しやすい面があります。クラウドは物理運用は減りますが、権限管理、コスト管理、設定レビュー、セキュリティ監視など“論理運用”が増えます。

情シスが少人数の場合は、クラウド+運用代行(MSP)や、SaaS活用で運用負荷を下げるのが現実解になりやすいです。逆に、厳格な統制や独自要件が強い企業では、オンプレやハイブリッドで「管理できる範囲」を残すことが合理的な場合もあります。結局は技術の優劣ではなく、体制に合わせた設計が成功の鍵です。

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自社に合う選び方:判断に必要な情報をそろえるチェックリスト

オンプレとクラウドの比較は、情報が揃っていないと“印象”で決まります。そこで、決裁前に最低限そろえたい情報をチェックリストにします。ここを埋めるだけで、ベンダー提案の良し悪しも見抜きやすくなります。

  • 対象業務:何の業務を支えるシステムか(受注、製造、会計、人事など)
  • 停止許容:止まって良い時間はどれくらいか(例:平日昼は不可、夜間なら可)
  • 性能要件:同時利用人数、ピーク時の処理量、データ量の増え方
  • セキュリティ・法務:個人情報の有無、委託先管理、監査対応、ログ保持
  • 連携:既存システム(基幹、SaaS、工場設備など)との接続の必要性
  • 運用体制:誰が運用するか、夜間休日の対応、委託の範囲
  • 予算の種類:初期投資(CAPEX)で取りやすいか、月額(OPEX)で取りやすいか
  • 移行難易度:データ移行、切替方式(停止して一括/並行稼働)、教育の手間

ここでの重要ポイントは、技術的な正解を探すのではなく「意思決定に必要な前提を言語化する」ことです。たとえば「止められない」と言いつつ、実は手作業で半日回避できる業務もあります。その場合、最初から高額な冗長構成にせず、段階的に強化する方が合理的です。

また「クラウドにしたい理由」が“周りがやっているから”だけだと失敗します。目的が「拠点増に備えて拡張したい」「BCPを強化したい」「新規サービスを早く回したい」など、業務の言葉で説明できる状態にしておくと、提案比較がブレません。

判断手順:迷ったらこの順番で決める(実務フロー)

比較軸を理解しても、最終判断で迷うことは多いです。ここでは、非エンジニアでも進めやすい「決め方の順番」を提示します。順番を守ると、議論が感情論になりにくいです。

  1. 対象を切り分ける:全社システムを一括で考えず、「基幹」「情報系」「データ分析」「社内ツール」などに分ける
  2. 必須要件を確定する:停止許容、データ種別、監査要件、連携要件を“譲れない条件”として固定する
  3. 候補を3パターン作る:オンプレ案、クラウド案、ハイブリッド案(またはSaaS案)を並べて比較する
  4. 5年目線で費用を出す:初期+運用(人件費含む)+更新/更改+障害対応を見積もる
  5. 運用の設計図を作る:監視、バックアップ、権限、手順書、担当範囲(自社/委託)を明文化する
  6. 小さく検証する:いきなり本番移行せず、PoCや一部業務から段階移行で“運用できるか”を見る

特に「費用」は、クラウドの場合は使い方次第で上下します。見積もり段階では、ピーク時の利用量、保管データの増加、バックアップ保持、ログ保管、監視ツールなどを入れないと、導入後に想定外の請求になりがちです。オンプレは更改タイミング(3〜5年)で大きな出費が来るため、更改費用を先送りして“安く見せる”見積もりに注意が必要です。

また、移行の難しさはシステム規模より「データと業務」に依存します。現場がExcelで補完している、入力ルールが部署ごとに違う、などの状況では、どの方式でも移行が難航します。技術の選択と同時に、業務ルールを揃える(標準化する)取り組みが成功確率を上げます。

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よくある失敗と対策:オンプレ派・クラウド派どちらにも落とし穴がある

オンプレにもクラウドにも、典型的な失敗パターンがあります。事前に知っておくことで、提案依頼(RFP)や社内稟議の段階で対策を織り込めます。

クラウドの失敗:請求が膨らむ、設定ミスで事故、構成が増殖

  • コスト肥大:検証用サーバーを止め忘れる、不要データを溜め続ける、ログを無制限に保存する
  • 設定ミス:公開範囲の誤設定、権限付与のしすぎ、鍵の使い回し
  • 統制不在:部署ごとに勝手に環境を作り、全体最適(セキュリティ・費用)が崩れる

対策は、技術より運用ルールです。具体的には、権限は最小、環境はテンプレ化(IaC等)、費用はタグ付けして部門別に見える化、ログとバックアップは保持期間を定義、定例でコストレビューを行う、といった“仕組みで防ぐ”ことが重要です。

オンプレの失敗:更改が先延ばし、担当者依存、災害対応が弱い

  • 更改先延ばし:保守切れの機器を使い続け、故障時に復旧できない
  • 属人化:設定や手順が担当者の頭の中にあり、退職・異動で運用不能
  • BCP不足:バックアップはあるが復元テストしていない、代替拠点がない

対策は、台帳管理(資産・保守期限)、手順書と構成図の整備、復旧訓練、そして「更改予算を毎年積む」などの計画化です。オンプレは一度作ると長く使うため、運用の“継続可能性”を最初に設計するのが重要です。

どちらにも共通の失敗:目的が曖昧で、手段が目的化する

「クラウド化すること」が目的になると、クラウドに向かないシステムまで無理に移して運用が苦しくなることがあります。逆に「オンプレが慣れているから」で固定すると、拡張や災害対策が遅れ、事業の変化に追いつけません。判断の基準は一貫して、業務価値(速く回る、止まりにくい、安全、運用できる、費用が読める)に置くべきです。

株式会社ソフィエイトのサービス内容

  • システム開発(System Development):スマートフォンアプリ・Webシステム・AIソリューションの受託開発と運用対応
  • コンサルティング(Consulting):業務・ITコンサルからプロンプト設計、導入フロー構築を伴走支援
  • UI/UX・デザイン:アプリ・Webのユーザー体験設計、UI改善により操作性・業務効率を向上
  • 大学発ベンチャーの強み:筑波大学との共同研究実績やAI活用による業務改善プロジェクトに強い

まとめ

オンプレミスとクラウドの違いは「場所」だけでなく、誰がどこまで責任を持つか(責任分界)にあります。比較では、コスト、セキュリティ、スピード、可用性、拡張性、運用体制の6軸で、自社の優先順位を決めることが重要です。

迷ったときは、対象業務を切り分け、必須要件を確定し、オンプレ・クラウド・ハイブリッド(またはSaaS)を並べて、5年目線の費用と運用設計まで落として比較してください。クラウドは「速いがルールが必要」、オンプレは「安定だが更改と属人化が課題」になりやすいので、どちらを選んでも運用の仕組み作りが成功の決め手になります。

自社の状況に合わせた最適解を短期間で整理したい場合は、現状棚卸しから要件整理、費用試算、導入ロードマップ作成までを伴走できるパートナーに相談すると、検討の抜け漏れを減らせます。

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