「API連携できない」と言われたときの原因整理と代替策の出し方

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「API連携できない」と言われたときに、まず確認すべき前提

取引先や社内のベンダーから「API連携できない」と言われると、非エンジニアの立場では判断材料が少なく、話が止まりがちです。ですが、API連携の可否は“技術”だけで決まらず、契約・運用・セキュリティ・データの持ち方など、複数の要因で決まります。まずは「何ができないのか」を言語化して、論点を分解するのが最短ルートです。

API連携とは、ざっくり言えば「システムAが、システムBに対して、決められた窓口(API)からデータを渡したり、取りに行ったりして自動処理する仕組み」です。たとえば「ECの受注を会計ソフトに自動で取り込む」「SaaSの顧客情報をCRMに同期する」「勤怠の打刻を給与計算に流す」などが典型例です。

同じ“連携”でも、以下のどれを指しているかで難易度も代替策も変わります。

  • 同期(データの整合性):両方のシステムで同じ情報が常に一致している状態にしたい
  • 転送(ファイル受け渡し):決まった時間にCSVなどを出して取り込めればよい
  • トリガー(自動実行):Aで操作したらBでも処理を自動で起動したい
  • 閲覧(参照のみ):Bの情報をAから見るだけで、書き込みは不要

次に、相手が言う「できない」が、技術的な不可能なのか、単に「今の契約・体制・工数ではやりたくない(またはできない)」なのかを見極めます。多くのケースで、後者(条件次第で可能)です。そのために、以降の章で「原因の型」と「代替案の出し方」をテンプレ化して解説します。

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原因を切り分ける:よくある“できない”の7パターン

「API連携できない」は、原因が混ざっていることがほとんどです。そこで、まずは代表的な7パターンに分類してみてください。ここで分類できれば、打ち手の選択肢が一気に増えます

APIがそもそも提供されていない/提供範囲が足りない

ベンダーがAPIを公開していない、または「閲覧はできるが登録は不可」「一部データ項目しか取れない」など、やりたいことに対してAPIが不足しているケースです。たとえば「請求書のPDFは取得できるが、明細行が取れない」「顧客の住所は取れるが、タグ情報は取れない」などが起こります。

認証・権限(ログイン方式)が壁になっている

APIはあっても、認証方式が厳しい/特殊で、連携先の仕組みと合わないことがあります。例として、IP制限、クライアント証明書、SAML/SSO強制、二要素認証の強制、管理者権限がないとトークン発行できない、などです。特に大企業の情シスでは、「セキュリティ要件を満たすか」が連携可否を決めることが多いです。

データ構造が合わない(マスタの持ち方が違う)

システムごとに「顧客」「商品」「部署」「勘定科目」などの概念や粒度が違い、単純に同期できません。たとえば、Aは商品をSKUで持つが、Bは品目コードで管理している/Aは税区分を明細ごと、Bは伝票ごとに持つ、など。ここを放置すると、連携は動いても会計や監査で破綻します。

リアルタイム要件が厳しすぎる

「入力した瞬間に反映してほしい」「在庫を秒単位で同期したい」などの要求があると、APIのレート制限(一定時間あたりの呼び出し上限)や、相手側の処理速度がネックになります。多くの場合、“リアルタイムである必要が本当にあるか”を見直すと、代替策が成立します。

運用・保守の観点でNG(障害時の責任分界が曖昧)

連携を作ること自体は可能でも、「止まったら誰が気づく?」「失敗したデータはどう再送する?」「仕様変更が来たら誰が追う?」が決まらないと、現場運用で事故になります。結果として、ベンダーが「できない(やらない)」と言うことがあります。

契約・料金プランの制約

SaaSでは、API利用が上位プラン限定、API回数が追加課金、監査ログやSSOが別オプションなどが一般的です。技術の話に見えて、実は契約の話だった、というのはよくあります。

個人情報・機密情報の取り扱いで止まっている

顧客情報や人事情報などを外部に出す場合、社内規程・委託契約・データ保管場所(国内外)・暗号化・アクセス制御などが要件になります。これも「API連携できない」の主要因です。ここは情シス・法務・セキュリティ担当と同じテーブルで整理すると、前に進みます。

相手に投げる質問テンプレ:最短で「できない」を「条件付きで可能」に変える

原因を特定するには、エンジニア向けの深い質問を投げる必要はありません。ポイントは「仕様」「制約」「代替案」を引き出す質問を、決まった型で聞くことです。以下をそのままメールやチャットに貼って使えます。

質問テンプレ(コピペ用)

  • 「API連携できない」の“できない”は、技術的に不可能(API未提供等)でしょうか?それとも要件・体制・契約上の制約でしょうか?
  • 連携したいのは「参照のみ」「登録も必要」「双方向同期」のどれに該当しますか?
  • APIがある場合:対応している認証方式(例:OAuth2、APIキー、IP制限、証明書)は何ですか?
  • 取得・登録できるデータ項目(必須・任意)と、対象範囲(例:過去データ、添付、明細)はどこまでですか?
  • 呼び出し上限(レート制限)、バッチ推奨の有無、推奨頻度(例:5分ごと、1時間ごと)はありますか?
  • 失敗時の挙動(リトライ、エラー内容、再送)と、監視(ログ/通知)手段はありますか?
  • 上位プランや追加費用が必要な場合、条件と概算を教えてください。
  • 代替手段として、CSV/ファイル連携、Webhook、RPA、iPaaS(Zapier等)の可否はありますか?

この質問の狙いは、相手に「できない」で終わらせず、“できる範囲・条件・他の手段”を明示してもらうことです。回答が返ってきたら、次章の「代替策の出し方」で、最適解を組み立てられます。

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代替策の出し方:APIが使えないときの現実的な選択肢

API連携が難しい場合でも、業務としての目的(入力を減らす、ミスを減らす、スピードを上げる)を達成する手段は複数あります。ここでは「何を優先するか」で選べるように、代表的な代替策を整理します。結論としては、“100点の自動化”より“事故らない80点の自動化”のほうが成果が出ることが多いです。

CSV/ファイル連携(SFTP/クラウドストレージ)

多くのシステムがCSVの出力・取込を持っています。APIがなくても、日次や時間単位で「出す→置く→取り込む」を自動化できます。向いているのは、会計、受発注、在庫、勤怠など「多少のタイムラグが許容される」業務です。

  • メリット:実現しやすい、仕様が安定、監査・証跡が残しやすい
  • 注意点:項目名の変更や文字コード、改行コード、桁あふれなどの“地味な事故”が起こりやすい

Webhook(イベント通知)+受け側の取り込み

APIでの「取りに行く」が難しくても、相手がWebhook(イベント通知)を提供していれば、「更新があったら通知を飛ばす」形で連携できます。通知を受けて自社側で処理を起動するため、ポーリング(定期的に取りに行く)より効率的です。

  • メリット:リアルタイム寄り、呼び出し回数が減る
  • 注意点:通知が落ちたときの再取得手段(リカバリ設計)が必要

iPaaS(連携プラットフォーム)を挟む

「AとBを直接つなぐ」のではなく、iPaaSという連携基盤(例:MuleSoft、Workato、Zapier、Makeなど)を挟む方法です。コネクタ(既製のつなぎ込み部品)があれば短期間で実現できます。情シスでは、権限管理や監視の観点で採用されることもあります。

  • メリット:開発工数を減らせる、運用の見える化がしやすい
  • 注意点:月額費用、連携の複雑化、ベンダーロックイン

RPA(画面操作の自動化)

APIもCSVも難しい場合、最後の手として「人が画面でやっている操作」をロボットにやらせます。たとえば、Web管理画面にログインしてダウンロード、別システムに貼り付け、などです。短期で効果が出ますが、画面変更に弱いため、“暫定策”として期限を決めて使うのが現実的です。

  • メリット:最も導入が早い場合がある
  • 注意点:UI変更で壊れる、例外処理に弱い、属人化しやすい

中間DB・データ連携基盤(ETL/ELT)を作る

連携先が増えてくると、A→B、A→C、B→D…のようにスパゲッティ化します。そこで、データを一度中間DB(DWH含む)に集約し、そこから各システムへ配る方式が有効です。たとえば、売上・顧客・商品マスタを統一して、会計・BI・MAへ配信するイメージです。

  • メリット:拡張性が高い、データガバナンスが効く
  • 注意点:初期設計が重要、データ定義(何が正か)を決める必要

意思決定の軸:失敗しないための比較表(コスト・速度・安全性)

代替策は「どれが正しいか」ではなく、「自社の優先順位に合うか」で選びます。ここでは、非エンジニアでも判断しやすい軸に落とします。特に重要なのは“運用できるか(止まったら復旧できるか)”です。

  • 導入スピード:すぐ成果が必要なら、CSVやRPA、コネクタ付きiPaaSが強い
  • 総コスト:初期費用だけでなく、月額、運用、改修頻度まで含めて比較する
  • 安定性:UI依存のRPAは不安定になりやすい。API/CSVは比較的安定
  • セキュリティ・監査:誰がいつ何を動かしたか、データがどこに残るかが重要
  • 拡張性:連携先が増える将来があるなら、中間DBや連携基盤が効く
  • 業務影響(タイムラグ許容):リアルタイムが不要なら設計が一気に簡単になる

おすすめの進め方は、「最小構成で動かす→監視と例外処理を整える→対象範囲を広げる」です。最初から全社最適を狙うと、要件が膨らみ、いつまでもリリースできません。まずは、売上・請求・在庫など、効果が大きく、失敗しても影響を抑えられる領域から始めると成功確率が上がります。

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導入手順:要件整理から運用設計まで(非エンジニアでも回せる)

ここからは「結局、何をどう進めればいいのか」を手順化します。社内調整やベンダー交渉が中心になるため、開発の専門知識よりも、論点整理と合意形成が重要です。

業務目的を1行で固定する

例:「受注入力の二重入力をなくし、出荷遅延と入力ミスを減らす」。目的が曖昧だと、リアルタイム要件や項目追加が無限に増えます。“何を減らしたいのか(時間・ミス・遅延)”を定義します。

データの一覧(どの項目が必要か)を作る

「顧客名」「請求先住所」「商品コード」「税区分」「値引」「送料」など、必要項目を洗い出します。ここで重要なのは“必須/あれば嬉しい”を分けることです。必須が揃えば、まず運用開始できます。

更新頻度とタイムラグを決める

リアルタイムが必要か、日次でよいかを決めます。例えば会計連携は日次で十分なことが多く、在庫連携は業態によっては15分〜1時間でも運用できる場合があります。タイムラグ許容は、難易度と費用を大きく左右します。

例外パターン(イレギュラー)を先に決める

返品、キャンセル、手入力の修正、締め後の修正など、例外は必ず起きます。例外処理を決めないと、連携は「動いているのに現場が困る」状態になります。おすすめは、最初は例外を“手作業で処理する”と割り切り、件数が増えたら自動化範囲を広げるやり方です。

運用設計(監視・通知・再実行)を作る

最低限、以下を決めます。

  • 失敗したら誰に、どの手段(メール/チャット)で通知するか
  • どこを見れば状況が分かるか(ログ、管理画面)
  • 再送・再実行の手順(ワンクリックか、手順書が必要か)
  • データ不整合が起きたときの正(マスター)はどちらか

この運用がないと、「連携できた」は一時的でも、数ヶ月後にトラブルになります。

小さく検証してから本番へ

いきなり全データを流すのではなく、まずは1週間分、または特定の部署・商品カテゴリだけなど、小さくテストします。“想定外のデータ”が必ず出てくるためです(特殊文字、桁数、空欄、過去データの欠損など)。

よくある落とし穴と回避策:現場で揉めるポイントを先回り

最後に、実務で頻出する「うまくいかない原因」をまとめます。ここを避けるだけで、API連携プロジェクトの成功率が上がります。

  • 「連携=全部自動化」と思い込む:例外は手作業でよい領域を決め、段階的に拡張する
  • 責任分界が曖昧:どこまでがベンダー、どこからが自社(または開発会社)かを文書化する
  • 仕様変更で止まる:APIのバージョン、CSV項目、画面変更など、変更通知の受け方とテスト手順を決める
  • データの正が決まっていない:顧客マスタはCRMが正、請求は会計が正、などのルールを作る
  • セキュリティ審査が後出し:初期に情シス・セキュリティ担当を巻き込み、要件を固定する

「API連携できない」と言われた時点で諦めるのではなく、できない理由を型に沿って分解し、代替策を並べて比較し、最小構成で実装・運用する。これが、非エンジニア主導でも前に進める現実解です。

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まとめ

「API連携できない」は、APIの有無だけでなく、認証・権限、データ構造、リアルタイム要件、運用、契約、セキュリティなど、複数要因の結果として起きます。まずは“できない”を7パターンに分類し、質問テンプレで制約条件を明らかにすると、選択肢が増えます。

代替策は、APIにこだわらず、CSV/ファイル連携、Webhook、iPaaS、RPA、中間DB/ETLなどから、目的(ミス削減・工数削減・速度)に合うものを選びます。特に重要なのは、導入後に回る運用設計(監視・通知・再送・責任分界)です。

社内外の関係者が多いほど、「最小構成で動かして成果を見せる」進め方が有効です。要件整理や方式選定、運用設計まで含めて不安がある場合は、第三者として整理・伴走できるパートナーを入れると、意思決定が速くなります。

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